第5話初めての進化

 蜘蛛三匹を倒したと思ったら巨大モグラが現れた。

 えっ、私が小さい? その通りですが何か?

 そんな事より、ここってもしかして蜘蛛じゃなくてモグラの住処だったってこと!?

 仲良くできるかなぁ? お邪魔してま~す……。


「グルルル」


 巨大モグラは私の存在に気がつくと、ジュルリと舌なめずりして涎を垂らした。

 あっ、ダメだこのモグラ、私のこと完全に食料として見てるわ。

 じゃあこれと戦うの? さすがにサイズが違いすぎない?

 取りあえず〖鑑定〗!


―――――――――――――――――――――


種族:ケイヴモール

ランク:E-

LV :5/10

HP :28/28

MP :12/12

攻撃力:20

防御力:15

魔力 :12

素早さ:19


通常スキル

〖気配探知LV1〗〖体当たりLV2〗〖暗視LV4〗


魔法スキル

〖土魔法LV3〗

〖ダート〗〖ダートウォール〗


耐性スキル

〖物理耐性LV1〗〖毒耐性LV2〗


称号スキル

なし


スキルポイント:50


―――――――――――――――――――――


 げええっ! 強さがダンチじゃんか!

 こんなのに勝てるかってえの!

 でもこのモグラ私より素早さが高い、逃げられるのか……?


「グオオオオッ!」


 モグラから目を逸らさずジリジリと後退りする私にモグラは雄叫びを上げて地面から姿を現し、私に向かって突進してきた。

 やばい〖体当たり〗だ! 緊急回避ーーーッ!


 巨体に見合わぬスピードに驚いた私は横っ飛びで回避を試みるが、モグラの〖体当たり〗が体を掠めて吹き飛ばされてしまう。

 モグラは私を吹き飛ばした勢いのまま洞窟の壁に激突した。


 グフォォ……ッ! 残りHPは……3!

 掠っただけでこれかよ! やっぱりデカさは強さに直結するのか!?

 スモールサイズの私からすると怪獣だよこのモグラ!


 しかもさっきの〖体当たり〗で私とモグラの位置が入れ替わった。ここから脱出するにはモグラの脇をすり抜けるしかない。

 もしかしてこれも狙ってたのか?

 だとしたら、あのモグラは私を逃す気がないんだ。


 いっそモグラを倒す?

 〖体当たり〗……はステータスも体格も差がありすぎて効かなさそう。〖尻尾攻撃〗も同じ理由で厳しいと思う。

 だったら遠距離攻撃だ!

 覚えたての〖火魔法LV1〗を食らえ! 〖着火ライター〗!


「グオウッ!」


 〖着火ライター〗の炎が巨大モグラの体表を焼くが、あまりダメージを受けている様子はない。

 効いてないのか? って、HP1しか減ってないじゃん!

 〖鑑定〗で確認するが、モグラには殆どダメージが入っていなかった。


 近づけば潰される……かといって魔法も効かない。どうすりゃ勝てるってのよ……!

 だが! だがしかしだ!

 諦めたらそこで私のトカゲ生は終わってしまう。せっかく異世界転生したのにそんなの絶対に嫌だ!


【スモールレッサーリザードは進化可能です。進化先を表示しますか?】


 状況を打破するため、必死に頭を回転させているところに突然天の声が聞こえてきた。

 えっ! 進化……? そうか、その手があった!

 ありがとう天の声のお姉さん。貴方のおかげで勝機が見えたわ!

 進化先を表示してちょうだい!


【レッサーリザード:ランクE-】

【スモールレッサーリザードの成長した個体。身体のサイズも大きくなり、可食部も多く幼体の頃より引き締まった身は食用として重宝されている】


【スケールリザード:ランクE+】

【硬い鱗を持つ耐久力の高い大型のトカゲ。頑丈な体から繰り出される体当たりは初級冒険者から恐れられている】


【マーヴェリックリザード:ランクE】

【異端のトカゲ。通常ではありえない進化を遂げる可能性を秘めた珍しい種族である。だが、現段階では戦闘種のトカゲよりも強さは劣る】


 へー、進化先を選べるんだ。これは大事な選択になるわ。〖思考加速〗をフル活用してよく考えて選ばなきゃ。


 まず最初のレッサーリザード。

 現在の正統進化って感じね。でも、他と比べると平凡すぎるしこれはないかな。

 より美味しくなってさらに狙われそうだもの。食料としてまで進化しなくていいっての。


 次はスケールリザード。

 硬い鱗を活かした防御寄りのトカゲって感じかしら?

 ランクも一番高いし、説明文を見てもこれはなかなか強そうだわ。


 最後はマーヴェリックリザード。

 将来性のあるレア種族か、モグラとの戦いを考えればスケールリザードの方が強そうだしいいんだろう。けど、将来性に魅力がありすぎる!

 だってSSRって事でしょ? そんなん聞いたら他なんて選べないわよ!

 よーし決めた! マーヴェリックリザードに進化するわよ!


 進化先を決めた瞬間、私の体が光り輝いた。

 そして、光が治まると私のマーヴェリックリザードへの進化は終了していた。


【スモールレッサーリザードからマーヴェリックリザードに進化しました】

【通常スキル〖鑑定LV1〗が〖鑑定LV2〗に上がりました】

【通常スキル〖気配探知LV1〗が〖気配探知LV2〗に上がりました】

【通常スキル〖思考加速LV1〗が〖思考加速LV2〗に上がりました】

【通常スキル〖鱗LV1〗が〖鱗LV2〗に上がりました】

【魔法スキル〖火魔法LV1〗が〖火魔法LV2〗に上がりました】

【各種耐性スキルのLVが1上がりました】

【通常スキル〖牙撃LV1〗を取得しました】

【通常スキル〖ファイアブレスLV1〗を取得しました】

【スキルポイントを取得しました】


 おおっ! スキルが凄い上がったわ!

 それに、力が漲ってくる……!

 ふっふっふっ……勝てる、これならあのモグラにだって勝てるわよ!

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