第4話拠点を探そう

 翌朝目を覚ましてステータスを確認してみるとHPとMPは全回復していた。

 元々が低いからもあるだろうけど、一晩休めば全回復できるみたい。

 さて、今日は危険な湖から移動して、この世界での活動拠点を探そうと思う。

 今は隠れてるからいいけど、ここで魔物に襲われ続けてたら命がいくつあってもたりないもんね。

 よーし! 拠点探しに出発だー!


 目的を決めた私は隠れていた茂みを飛び出し移動を開始する。

 おっ、このトカゲボディ意外と素早く動けるわ。

 考えてみればステータスで一番高いのは素早さだもんね。

 この世界のバトルはゲームと違ってターン制バトルじゃない。

 HPが低いから相手の攻撃を回避できる素早さが高いのは大きなアドバンテージになるわ。

 素早さの高さが私の強みってところかな。


 トカゲボディの動かし方を確認しながら進んでいると、大きな洞窟の入口が見えてきた。

 実際は私の体が小さいからそれほど大きいってわけじゃないと思うけど、ここは拠点によさそうね。

 まずはそっと中を確認してみよっと。

 ……お邪魔しまーす。


 入口からそっと顔だけ出して覗くと、中には小さな蜘蛛が三匹巣を作っていた。

 蜘蛛かぁ……蜘蛛は益虫だって言うし、こっちから手を出さなきゃ襲ってこない可能性もあるかな?

 そう考えた私が洞窟内に足を踏み入れると、


「キシャーーーッ!」


 蜘蛛は巣作りを止め、牙をむき出しにして襲いかかってきた。

 ひぃいいいッ! 怖いーーーーッ!

 なんでこの世界の魔物はこんなに好戦的なのよ!

 もしかしてあれか? 私の種族説明にあった【毒もなく弱いため、よく魔物の食料にされている。煮ても焼いても美味】ってやつか?

 みんなが私を食べようと狙ってるってことぉ!?

 とにかくやるしかない!

 〖鑑定〗!


―――――――――――――――――――――


種族:レッサーケイヴスパイダー

ランク:F+

LV :4/5

HP :8/8

MP :6/6

攻撃力:8

防御力:4

魔力 :6

素早さ:10


通常スキル

〖操糸LV3〗〖毒攻撃LV2〗〖気配探知LV1〗

〖暗視LV5〗


耐性スキル

〖毒耐性LV2〗


称号スキル

なし


スキルポイント:20


―――――――――――――――――――――


 一番身体が大きくて強そうな蜘蛛のステータスを鑑定した。

 げえーっ! こいつら結構強い! まーた格上だよ!

 複数相手に囲まれたらヤバいな、どうする……?


 思考を巡らす私に三匹の蜘蛛がどんどん近づいてくる。

 くそっ! もうそこまできてる!

 とにかく先制攻撃した方が有利!

 くらえ〖尻尾攻撃〗だ!


「キシッ!」


 先頭の蜘蛛に〖尻尾攻撃〗を繰り出すがジャンプで躱されてしまう。

 ヤバい躱された! ――ぁ痛ーいッ!

 〖尻尾攻撃〗を躱した蜘蛛はその勢いのまま私の背中に噛みついてくる。さらに、後ろを走っていたもう一匹が私の尻尾に噛みついてきた。


 先制攻撃するつもりが逆にやられちゃった!

 一番強そうなもう一匹の蜘蛛は動かない? 様子見しているようね。

 残りHPは……6! このままじゃ不味い! どうする……!?


「キシャーーーッ!」


 逆転の一手を考えていると、様子見していた一匹が動き出した。

 手下の二匹に動きを止めさせて止めを刺す。

 これがこいつらの必勝パターンか?

 そうはさせるか!


「キキキーッ!」


 蜘蛛たちに囲まれるのを回避するため洞窟の外まで退避すると、私に噛みついている二匹が悲鳴を上げた。

 何? こいつらどうしたの?

 調べてみるか、〖鑑定〗!


 噛みついている二匹を鑑定すると、HPが徐々に減っていた。

 えっ、どういう事? ――そうか!

 この蜘蛛の種族はレッサーケイヴスパイダー、洞窟の蜘蛛。太陽光でダメージを受けてるって事か? さては日の光に弱いんだな!

 ふっふっふっ、勝機!

 うりゃああああああッ!


「キイイィィ……!」


 私が蜘蛛を引きはがすため地面に転げ回ると、プチプチ音を立てて潰れていった。


【経験値を8取得しました】

【経験値を9取得しました】

【スモールレッサーリザードはLV3からLV4に上がりました】

【スキルポイントを取得しました】


 えっ! 簡単に倒せちゃった!

 そっか、日の光で瀕死までHPが減ってたのね。


「キシャアーーーッ!」


 洞窟内にいる蜘蛛が奇声を上げて飛ばした糸が私の胴体に絡みついた。

 これが〖操糸LV2〗の能力? 蜘蛛が出てこれない外だからって安心しちゃってた!

 ひっ、引っ張られる……! さては自分のテリトリーである洞窟内に引きずり込む気だな!

 あれ、これってカエルと戦った時と同じ状況かも?

 だったら、引っ張られる力を利用して〖体当たり〗だ!


「ギシャッ!」


 カエル戦と同じ、相手の力を利用した〖体当たり〗をどてっぱらにぶち込む。

 さ・ら・にー〖尻尾攻撃〗だ!

 私は〖体当たり〗を受けて体の浮いた蜘蛛に〖尻尾攻撃〗を叩きつけた。

 〖尻尾攻撃〗を受けた蜘蛛は吹き飛び、洞窟の壁に激突した。


【通常スキル〖体当たりLV1〗が〖体当たりLV2〗に上がりました】

【通常スキル〖尻尾攻撃LV1〗が〖尻尾攻撃LV2〗に上がりました】

【経験値を17取得しました】

【スモールレッサーリザードはLV4からLV5に上がりました】

【スキルポイントを取得しました】

【LVがMAXになりました。スモールレッサーリザードは進化可能です】


 よっしゃ! 複数相手でも勝てたぞ!

 でも、今回は洞窟の入口という地の利があったから勝てたってのもある。

 囲まれてたら餌にされてたかもしれない。気をつけなくちゃ。

 そして、LVがMAXになった事で天の声から期待通りの言葉が聞けた。

 やった! 進化できるぞ! やっぱり人外転生の醍醐味と言えば進化だよねー!


 そう思った時だった。

 地震と共に洞窟の奥の土が盛り上がり、巨大な顔が地面を割って姿を現した。

 何あれ? もしかしてモグラ? 頭だけで私よりでかいんですけど?

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