ちょこっと会話集 (その1)


ドンドスに着く直前、ふとこんな事を聞かれていた。


「なぁ魔法に資格がいるとか言っていたけどあれなに?」

「それかー、話せば長くなるけどいいか?」

「後学のためだ、聞かせてくれ!」


 クリスは得意げに話を始める。

 

 ……『魔法』と言っても様々なタイプがある。大きく分けると5つの種類に分けられる。

 

『通常魔法』……普段使ってる火を起こしたり、洗ったりする魔法だ。殺傷能力が少なく日常で使う魔法はだいたいこれに分類される。


『付与魔法』……武器、服、道具……生命以外ならなんでも魔法の効果を付与する事が可能な魔法。しかし付与する対象を間違えると大惨事になるため、魔法以外の知識量も問われる。


『錬金魔法』…… 魔法の中で1番金のかかる魔法だ。基本的に専門の道具を必要として、魔法を使い様々な物質を掛け合わせ、別の何かに変質させる。これも混ぜ合わせを間違えると、城1つ吹っ飛ぶほどの災害を起こすので、手を出す魔法術士は少ない。


『治癒魔法』……その名の通り魔法だ。対象は物、人問わず使えるためとても人気な魔法だ。しかし人に対しての治癒を間違えると、最悪人じゃないなにかが生まれてしまう為、基礎の勉強が最も必要になる。


『召喚魔法』……召喚と言っても、何か怪獣とか人間を呼び寄せるものでは無い。大規模な攻撃が行える魔法を総じて呼んでいるだけである。しかし1番花形の魔法で、周囲の安全を確認すれば、ある程度は安全に使える。戦闘に従事してる魔法術士は大抵これを使う。

 そのうち、召喚、治癒、錬金、付与は資格がいる。どれも扱いを間違えれば危険な可能性があるので、国が数を把握しているのだ。


「とまぁ、こんくらいだけど良かったか?」

「あれ?そういえばクリスは治癒の魔法使ってたけど、なんで使えるの?」

「大抵の魔法の基礎は使える。ただ使どうかは別なだけだよ」

「なるほど……じゃあ最後に1つ質問なんだけど!これ全部持ってる奴はいるのか!」 

「……一人いる」


 現世最高の魔法術士と名高い『オリアナ・へザトール』だ。皇都の貴族、へザトール家の次女にして、ギルドランク全体二位の龍人だ。圧倒的な魔法の知識量と永い歳月から得た経験にもの言わせて手数で押してくる。攻撃の範囲や威力も凄まじく、彼女いわく『竜宮国』の巨竜とも渡り合える……らしい。大人しく、物静かな人ではあるが、その魔法を見たものは皆恐れるため『魔王』なんて呼ばれてる。

 

 (……ちなみに俺の親父オーハムは彼女と互角の戦いをしたそうだ……イカれてやがる。)


「へぇぇ〜!ギルド二位のやつがそうだったんだなぁ。しかも貴族だなんて驚きだぁ!」 

「どうだかなぁ…。全資格を持ってるのが貴族だけとはできすぎだろ?どうせ競争を独占したい奴らが資格を操っている様にしか思えないけどな」

「へぇ、クリスって貴族に詳しいんだな」

「ま、まぁ魔法やってるとツテがあるからな……知る機会があるんだよ。ハハハ……」


(あっぶねぇ!少し喋り過ぎた!)


 2人の別れは近い……。

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