12

 紗へ


 お久しぶりです。姫乃です。

 紗がこの手紙を読んでいるってことは、私は死んだってことだよね?

 なんだかまだ死んだって実感ないから不思議だな。

 

 私がいなくなった後も紗は元気にやっていますか?

 きっと紗のことだから元気にやっているんだろうけど、辛い時があったらこの手紙を読んで欲しいな。


 紗は昔から強くて優しい子だったよね。

 ずっと言えなかったけど本当に自慢の妹だったよ。

 何に対しても前向きで、明るくて、どんなことだって出来ちゃう自慢の妹。

 だから辛いことがあっても紗なら乗り越えられるって私は信じてます。

 ただ……紗は一人で頑張り過ぎちゃうからちょっぴり心配です。

 助けて欲しい時があれば周りを頼ってもいいんだよ。

 みんな紗の味方なんだから。


 手紙だから言えるけど紗と過ごせた毎日は本当に楽しかったの。

 それは私の一生で一番の思い出。だから紗にはその思い出をいつまでも忘れないでいて欲しいの。いつまでも忘れないで憶えていて欲しいの。私がいたことを……。


 あ、それと紗。くれぐれも私の後追いなんかしないでよね。

 そんなことしたら紗とはもう絶対に口利いてあげないんだから。

 私が紗に思っているのは私の分も生きて欲しいってことだけ。

 死んだ後も私を悲しませるようなことしないでね。約束だよ。


 それじゃあ、最後に。

 紗、いままでありがとう。

 少しの間お別れだけど、私はいつも近くで紗を見ているの。

 だから、これからもよろしく。


 PS.

 雉間は私の探偵局の一番助手なの。

 だからもし紗に困ったことがあれば雉間を頼りなさい。

 絶対に力になるから。


 ああ、それと。

 月和高校入学おめでとう。

 私は死んでも紗が大好きです。


 雨城 姫乃

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る