20XX年 12月22日 タイトル『準備』

「よし。オッケー。うまいうまい」

 わたしはヒルデとハヤトを褒める。

「でも、なんで私たちなんですか?」

「世界の守り手だからよ」

「そんなこと言って、本当は会いたかっただけっすよね?」

 ナルハはケラケラと笑う。

「そういうナルハくんはまだまだね。アップテンポになっているわ。この曲は静かなイメージを与えるものよ? わかっている?」

「き、厳しいっす」

 ナルハがショックを受けていると、ハヤトとヒルデはくすくすと笑う。

「まあ、理由はなんにせよ、俺たちは世界を守るために生きているからな」

 ハヤトが神妙な面持ちでそう告げる。

「それはそうです。私だって守りたい」

 静かに消え入りそうな声でうつむくヒルデ。

 未だにわたしへの罪が消えていないと思うのだろう。

「でも、この曲を聴いて思ったんです。私、まちがっていたって。きっともっといい方法があるはずなんです」

 偽りの平和ではなく、真実の平和のために。

「そう。私たちはわかり合う必要があるはずです。……もてる今の力で」

「そのためには――」

「歌おう。みんなで」

「はい」

「ちーっす」

「ああ」

「じゃあ、みんな頼むわね」

 後ろに控えていた歌手たちに投げかける。

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