20XX年 12月19日 タイトル『自爆』

 バベルの電波塔の中央ブロックにたどりついた。

 スカートビットは残り二つ。

 ビームでシステムを破壊しようと試みたけど、できないみたい。

 わたしはどうしていいのか立ちすくんでいた。

 でも、わたしにもやれることはある。

 バベルの電波塔といえど、もろい部分はある。

 柱だ。

 構造物である以上、柱はある。

 その柱を破壊する。

 アンチシステム皮膜が覆った樹脂、その柱をぶっ壊す。

 わたしは三本ある柱、それぞれにビット二つと、携行していた聖剣をかざす。

「これしか、方法はないよね」

 自爆装置を起動させる。

 自爆まで三百秒。

 これが世界を救うと信じて、わたしは喜んで捨て駒になろう。

 それで弟が生き残れるなら。

 彼が悪感情に飲まれないと信じているから。

 自らの力で未来を切り開くと信じているから。

 守るべき相手を信じなくてどうする。


 ツインテールビットが割り込む。

 わたしはヒルデにつれられる。

「ばか、あんたも巻き込まれるよ」

「もう、失いたくないから」

 自爆。

 閃光がわたしとヒルデを包みこむ。

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