20XX年 12月18日 タイトル『対立』

 バベルの電波塔にたどりついた。

 しかし、わたしの前にはヒルデがいた。

「世界から争いをなくすには、この塔は必要です」

 生真面目な彼女のことだ。

 真実を知ってもなお、世界秩序を守ろうとするだろう。

 そうは考えていた。

「ヒルデ、どきなさい」

 でもわたしは人にもう一度、考えて欲しい。

 本当の幸せとはなんなのか。

 だから、

「どかないなら、戦うまでよ」

「世界を乱すな!」

 ヒルデが剣を構える。

 その漆黒の髪が揺れる。

 同時にツインテールビットが飛び交う。

 わたしは後方に下がり、スカートビットを放つ。

 ビット同士による攻防戦。

 ビームが爆音を鳴らす。

 ビットが一つまた一つと撃ち落とされていく。

「なんで人々から幸せを奪うのですか!」

「幸せってなに? 人から言われて決めるものなの?」

「人が死んじゃうの、嫌なんです!」

 そう言えばヒルデは病気で母を失っている。

「病気を治してきたのも、人の悪感情があったから。だから、変えていなきゃ。世界は残酷で美しいのだから」

「そんなの偽善です!」

 わたしはヒルデの懐にはいり、聖剣オーバーメイツをふり下ろす。

 気を失ったことを確認すると、バベルの電波塔の一番上を目指す。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る