20XX年 12月8日 タイトル『論文』

 国立大学図書館。

 そこには数億冊の本とこれまでの全部の論文が納められている。

 わたしたち、人類が叡智を結集した知恵の実。

 なぜ人は果実に手を出したんだろう?

 他の動物とはどこか違う存在。

 神の祝福を受けて生まれし者。


 そこにヒントがあると思い、蔵書を読み解いた。

 論文の中に興味深いものがあった。

 スキアとは別なのだが「人の感情に基づく世界の秩序構造、あるいは修正案」という論文に目が向いた。

 今日、借りてきたので、明日の昼休みにでも読もう。

 一週間貸し出ししてくれるのはありがたい。

 しかし、スキアに対して大きな収穫はなし。

 どの論文もスキアの脅威性について書かれており、その本質に迫るような文言はなかった。

 ただスキアの分布と人の居住地区がかぶっている、とする論文は興味深かった。

 スキアと人間との関連性があるのか、もしくは人間が探査していないだけなのか。

 電子論文も当たり前になった昨今さっこん

 わたしは電波の良い場所で論文を開いて読んでいた。

 貸し出し期間が設定されているのは、蔵書の人気や有用性について調べるためと聞く。

 WEB小説のPVとかと似ているらしい。ダウンロード形式にすると、本当にどのくらいの人が読んでいるのか、分からなくなる……らしい。

 わたしにはよく分からない世界だ。

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