ティッシュ一箱から始まる異世界冒険譚

藍無

第1話 転移!?

「ティッシュってかみすぎると鼻痛くなるんだよねー。」

そう呟いて、仕方がなく鼻をかむ。

花粉症ってつらいなー。

去年まで花粉症じゃなかったのに。。

油断してたぜ。

「はっくしゅん」

うう、、くしゃみが。。

まじで鼻かみすぎて花が痛くなってきたわ。

花粉症つらい、、。

市販の薬飲んでいるのになー。

「目もかゆいんだよねー、」

俺はそう言いながら目に目薬をする。

『異世界に転移しますか?

Yes / No』

「え?」

やばい、目が目薬をさしすぎたせいでバグったか?

変な大きな文字が視覚の真ん中に見えるんだが。

『否、バグってはいません。これは現実です』

うわ、ちゃんと答えもかえってきてる。

病院に行ったほうがいいかな。

『10秒以内にこたえてください。答えないと花粉症は一生治りません。

異世界に転移しますか?

Yes / No』

何だこの馬鹿げた文章。

そんなことあるわけないだろう、と思いつつも異世界に転移することにはあこがれていたので適当にYesを選択してみた。

すると、

「うわっ、まぶしい。」

その選択したYesの文字が光りだして_そこで俺の意識は途絶えた。

―――――――

「えっと、、ここ、どこだ?」

俺がそう尋ねると、

『異世界:セイルナール国、リーシュの森』

と、いう文字が視覚の端っこのほうに移った。

「本当に異世界に転移したのかよ、、、」

『Yes』

「なあ、なんかスキル的なやつってあるのか?」

手元には転移直前まで花粉症のためにもっていたティッシュ箱一箱しかなかった。

『複製スキル、知恵者チエノアルモノ、などがあります』

「複製スキル?何かを複製できるのか?」

『Yes』

「じゃあこのティッシュは?」

『できます。複製しますか?

 Yes / No 』

「じゃあ試しに複製してみてくれ。」

俺がそう言うと、その場にあったティッシュは一箱だけだったはずなのに、二箱に増えている。すごいな。

「すげー。本物そっくりだ。」

見た目は本当に本物のティッシュと見分けがつかないほどそっくりだった。

「ちなみに異世界転移したから俺の花粉症って治っていたりする?」

『異世界には花粉、というものはありますが人間に害を及ぼすことはないようになっています。』

「へー、じゃあ治っているも同然、っていうことか。」

『まあその認識でいいと思います。』

なんか自分の疑問に対する答えが、視覚の端っこに見えるって言うのが不思議な気分だな。

「うがー!」

え?なんかクマの鳴き声的なもの聞こえたんだけど。

そう思いつつ、振り返るとそこには大きなクマがいた。

え、これ殺されちゃうタイプ?どうしよう。どうしよう。

『ティッシュをそのクマに投げつけてみてください』

視覚の端っこにその文字が移った。

っていうか、はぁ!?ティッシュごときで攻撃できるはずもないだろうよ。

何のダメージも与えられずに逆に刺激してしまって殺されるんじゃないのか?

『否、そんなことはありません。投げつけてみてください。早く』

、、、まあこのままおとなしく殺されるよりかはいいのかな。

今持っている武器なんてティッシュ以外ないし。

まあティッシュが武器になるとも思えないけど、投げてみるか。

俺はそう思い、ティッシュを一枚、ティッシュ箱から取り出し、大きなクマめがけて投げた。

「うがー!うああああ」

俺の投げたティッシュがクマの腕に当たり、クマの腕がティッシュで切られる。

クマは大きな悲鳴とも思えるような声をだして、その場に倒れた。

「_え?」

『なんとかなりましたね。とどめとしてもう一枚ティッシュをクマに投げちゃってください。』

俺の視覚にその文字がうつる。

「え?いやいやいや、、、おかしいでしょ。なんでティッシュ投げただけでクマの手が切れるんだよ。おかしいでしょ。」

『あ、伝え忘れてました。そのティッシュ、異世界に転移するときにしておきました。なので、そのティッシュはこの世界にある剣などの武器よりずっとはるかに攻撃力が高いですよ。』

「え?」

あの、攻撃力皆無のへろへろでよわっちい(もともと武器のために作られてない)ティッシュが?剣よりも強いってか?嘘だろ?どれだけ強化したんだよ。

『お役に立てましたか?』

視覚にその文字がうつる。

なんかすごく雰囲気が子犬みたいだ。尻尾を振っていそう。

ここは素直にお礼を言おう。

「ああ、役に立ったよ。ありがとう。」

『、、、なら良かったです。』

嬉しそうな声で答えてくれた。

ティッシュをもう一枚クマの首に向かって投げた。

すると、見事命中し、クマは叫び声のようなものを上げて消えた。

どうやら魔物だったらしい。

『経験値が増えました』

おお、経験値なんてものがあるのか。

ゲームっぽいな。

っていうかこの答えてくれているやつ、名前あるのかな。

「あのさ、お前、名前ないのか?」

『言い忘れていましたね、私は先ほど紹介したスキル、知恵者です。これからよろしくお願いします。』

「あ、そうなのか。よろしくな。」

『はい。』

「なあここってさ、森、なんだよな?」

『はい。』

「この森からどうやったら人のいる町まで行けるのか案内してくれないか?」

『では、この地図通りに進んでください』

視覚に地図が表示された。

なるほど、書いてある通りに進めばいいのか。

そう思い、俺は歩き出した。

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