第3話 冒険者ギルド
ここはガリルール帝国、ツヴァイ子爵領。
領主であるツヴァイは48歳を迎える獰猛な戦士である。
武に関しては非常に優秀であるが
頭の方はやや劣る。
領主の傾向のせいか子爵領は問題にならない程度の弱肉強食傾向である。
冒険者ギルドは神域の森から出てきた魔物で景気が良く、領主館を除けば街一番の大きさである。
近くに孤児院も兼ねた聖堂もあるが、そちらはみすぼらしい。
街に戻ってきたS級パーティ風の足跡の入門審査にて騒つく。
「お前らどうした!!」
「なにがあったんだ?」
そう3人とも血の気がない……
リーダーのカイル(魔剣使い)が
「冒険者ギルドでマスターに話す。
あとはマスターの判断に任せるから、そっちに聞いてくれ。」
と項垂れる。
兵士は了承し、冒険者ギルドに遣いを出す手続きをすることにした。
冒険者ギルドにて
風の足跡が入ってくると
またまた騒つく。
それだけS級パーティは少ないのだから仕方ない。
知り合いのA級パーティのゴンザが
話しかけてくる
「どうしたー?エリュクシルは見つかんなかったか?」
青ざめてる理由を知らないゴンザは気軽に聞いてくる。
カイルが
「後にしてくれ…先に報告だ…」
ゴンザはなんだあいつ。
なにかあったか?と思いつつエールを喉に流し込む。
S級およびA級パーティだけの受付カウンターがあり、並ばずカイル達の番になる。
と言うより、A級以上はこの街にはS級1組、A級3組しかいない。
S級に至っては世界に10組もいないとされている。
受付スタッフが空気の読めない感じで
「風の足跡の皆さん、素材の買取ですか?」
神域の森に2年間も挑んでいるカイル達は年に数回しか依頼を受けてくれない状態になっているのを知っているための質問である。
カイル
「あぁ、そうだ。牙2本と角3本合わせて5本だ。」
そうカイル達は銀色の狼魔物が食べ捨てた物も回収していた。
彼らは小型のマジックバックを持っているため本来なら半分になったタイラントボア丸ごと持って来れたが、死を覚悟するという異常事態に頭がパンクしていたのだ。
そのなかで一部の素材を持って来れたのはマシであった。
受付スタッフが初めて見る素材もあり、受付にあらゆる職員が集まってくる。でも、誰も分からない。
「あのー、申し訳ないんですけど
これはどんな魔物ですか?」
カイルが苦笑し
「おそらくタイラントボアだ」
集まったスタッフは首を傾げたが
一般受付に並んでたB級の冒険者が
タイラントボア!!??と叫んだ。
そのB級の冒険者は非常に真面目で愚直なせいかギルドに保管されてる魔物図鑑を隅から隅まで読み、複写してたのだ。
その複写した資料を受付に見せる。
するとさらに困ることになる。
買取価格が難しいのである。
A級を超す魔物は間違いないが、討伐記録もない。
ちなみにS級認定されている魔物はS級以上ってだけで強さは不明確。
どうすることも出来ない受付スタッフは、焦りながら紙になにか書き受付の後ろにある気送管(圧縮空気による情報伝達システム)でギルドマスターに送る。
マスター
「うん?なんだ?トラブルか?」
元S級であり、さほど衰えを感じないながらも歳だけ60も重ねた筋肉が隆起している魔法使いだ。
ただ一般の魔法使いと違うのは魔法戦が好きではなく剣撃戦に燃えるタイプなだけ。
紙を取り見ると
-風の足跡が神域の森にてタイラントボアの素材を持ってきたため、価格等含めての交渉をお願いします。-と簡潔かつ完璧に書いてあった。
タイラントボア!!!
食ってみたい!!!!
マスターはタイラントボアの存在を知っていたのだ。
ちなみにギルドは5階建でマスターの部屋は5階にあるため一階の受付に行くまで時間がそれなりにかかる。
マスターは食いたい気持ちが先走りすぎて、窓から外へ飛び出て無理矢理着地する。
地面がドーンっと凹む。
住民が何事かと思うところだが、強者が集まる子爵領の冒険者ギルドは喧嘩も絶えないことから住民からは無視される。
裏から来るのではなく、表からマスターが来たのを見た受付スタッフはまたギルド前通りの補修依頼(低ランク向け)出さなきゃと呆れる。
開口一番
「肉はーーー!!??」と叫ぶ。
スタッフはまた呆れる。
スタッフに怒られ、シュンってなり落ち着いたマスターは事情を聞くため、
2階の会議室まで風の足跡とともに行くことにした。
ついでに実質、全スタッフをまとめている副ギルドマスターのマジェンダも連れて。
「それで肉は?」とマスター
ドゴーン!!と副マスターに殴られる
机が大破。
副マスターも元A級の実力者である上、まだ29歳と若い。
彼は結婚を機に冒険者を引退した後に副マスターとなった身である。
すまねぇ。すまねぇ。とマスターが謝るコントが展開されてにも関わらず
風の足跡の面々は表情が暗い。
副マスターが
「経緯を説明してください」と一言
カイルが主に経緯を説明していくなかで両サイドに座っているナディア、タジキは俯くしか出来ない。
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