第7話 証拠と裏切り

   ◇進展◇

 濱嶋が面会に来てからもう1週間が経過した。

 つまり、俺が警察署に来てからまる1ヶ月になる訳だ。

 相変わらずあれ以降は進展がなく、最近心が折れかけている。


 そんな折、警官から再び面会の話がきた。

 これまでの流れ的に、また自白を強要する輩だろうか。

 俺は気を引き締めて面会室の扉を開けた。


 するとそこには、俺が盟約を結んだ女性がいた。


「やっほ〜。久しぶりに会えて嬉しそうだね、君」


「やっと来たか。まあこれまでのことがあるからお前に会えて嬉しいよ」


 俺は、相変わらずな性格の土田に呆れつつ、正直な気持ちを語った。

 すると土田は顔を赤らめながら


「急に素直になられると照れるよ…」


と言ってきた。

 意外だな、土田の性格上こういう展開ものらりくらりかわせるものだと思っていたが。


「そんなことより!君が無罪になるための証拠、見つかったよ」


「本当か!」


 急な展開に胸の高鳴りが抑えきれない。

 やはり土田と手を結んで正解だった、そう純粋に思った。


「まず凶器の包丁。これは現場に落ちていたから、指紋の解析ももう済ませてある。でも指紋からはあまりいい情報は得られなかった。何たって、君と怜奈さんの指紋しかついていなかったらしいしね」


 なるほど。

 確かに料理をするのは俺か怜奈ぐらいだからな。

 指紋がついていてもおかしくはない。


 だが…、


「凶器に犯人の指紋がないとは、どういうことだ?」


「そんなの簡単なことだよ。包丁を握る前に、手袋をつけたりだとか、指紋をつけない方法なんていくらでもあるよ」


 なるほどな。

 そんなに簡単に証拠を消せるのか。


「次に私が目をつけたのが監視カメラだけど、君の家には設置されていなかった。そこで私が最後に調べたのが、"タイムカード"さ」


「タイムカードだと?」


「うん。怜奈さんの死亡推定時刻は午後11時、その時君は残業していて、家にはいないはずでしょ」


「そうか!つまり当時のタイムカードに時間が記載されているから、俺の無罪が証明できるってことだな!」


「いや、タイムカードはうまく改ざんされていて、時間のデータが残っていなかったんだ。おそらく来田の仕業だろうね」


 …何だよ。

 結局それも証拠じゃないのかよ。そう沈んだ気分になった。


「でもそのおかげで私達は証拠を掴めた」


 …は?どういうことだ。


 改ざんされていたのに証拠をつかめただと。


「来田が改ざんする様子が映像に撮られていたんだよ。濱嶋団の団員によってね」

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