第6話 協力と競争
◇暴力談◇
田嶋が面会に来てから、まる一週間が経過した。
あれから、土田が面会に来ることは無かったし、"ヤクザ"の誰かが俺に説得しに来ることも無かった。
そのため、今日も何も無いものだろうと思い、牢に戻った瞬間寝ようとした。
しかし、警官はそれを許してくれず、
『面会だ』
とすぐに叩き起こされてしまった。
少し憂鬱な気分で面会室に入ると、いかにもやんちゃしてそうな奴が待ち構えていた。
「よう、おっさん!待ちくたびれたぜ、さっさと座れよ!」
…入ってきた瞬間それか。
年上に対しての礼儀がなってないな。
なんて思いながらも、促された通り対面の椅子に座る。
すると、間髪入れずに男が話しかけてきた。
「おっさんさあ、罪を認める気ねえの?来田さんかなりご立腹だぜ」
「なんで俺をはめようとしている奴のご機嫌取りをしないでならないんだよ。俺は一刻も早くここから出たいんだ」
俺は当然の反論をした。すると男は、
「まあまあ、そんな反応すんなよおっさん。これを見てもそんなことが言えんのかな?」
と言い、1枚の写真のようなものを見せてきた。
その写真は、暴力団が路地裏で人をいたぶっている様子が写されたものだった。
「俺は、濱嶋団団長、濱嶋堂馬(はましまどうま)だ。これ見ても平常心でいられるか?あぁ」
…なるほど。
濱嶋は俺を恐怖で脅して、自白させようとしてるのか。
つまらないことを考えるもんだな。
「お前らも来田から資金を提供してもらった奴らか?」
そう聞くと濱島は驚いたように答えた
「おお!よく分かったなおっさん。俺たちは来田さんと協力関係にあるぜ。でも、この状況を知っているってことは、…チッ、海城組の奴らもうお前のところに来てたのかよ」
どういうことだ?
来田を協力する海城組と濱嶋団は協力関係にないのか?
不思議だな、絶対協力したほうがいいのに。
そう思っていたら、濱島は気になる独り言を口にした。
「海城組に資金数、負けるわけにはいかないからな」
資金数?どういうことだ。
俺は気になったため、濱嶋にそのことを聞こうとした。
したのだがタイミングが悪かった。
「面会終了の時間だ。席を立て」
警官はそう言い、俺のもとに近づいてきた。
「まあおっさん。自白の件、考えておいてくれよ」
濱嶋は立ち上がりながらそう言い、部屋を出ていった。
後少しで気になる情報が聞けたんだがな…。
そう思いながら、俺は再び牢へと戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます