第五話 実行

車で5分ほど走り、ナビアプリにセットした問題のポイントは、

この先の道路上のようだ。


「この辺だよね。もうちょっと先かな、、、、」

ローカルでちょっと有名な、大仏様が見守ってくれている踏切で一旦停止。

右、左、右、確認して再スタートすると、急にめまいが。


「あれっ。」

そして視界は真っ白に霧がかかったように。


「ホワイトアウト!?」

だが、一瞬で晴れた。


何事もなかったかのように、車は走行し続けている。

「あれ、カードが無くなった。」


手にしていた鍵となるカードが消えていた。

「あれ、が、そうだった、のかな。」


時計を見ると時刻はそのまま進行しているようだ。

「日付は?」

片手ハンドルで走行しながら、スマホを開いて年、月、日を確認。

「20●●年●月●日。そのままだ。」

「これで成功なの?やっぱりデタラメだったのか?」


その時、すれ違ったパトカーが急にUターンした。

静かだったパトカーは回転灯とサイレン全開!

「そこの車、止まりなさい!」


「しまった!スマホ見てたのがバレたか!」

車を停めて、外へ出る。


「ごめんなさい。ちょっとだけ見てました。」


と言い終わらないうちに、お巡りさんに囲まれ、両腕を抑えられ、

朋皐ともおか 由希ゆきだな。」


「は、いー?」


カチャンと手錠。逮捕された。


「えぇーーーー。スマホ見てただけですよ。」


「取り調べ中に急に消えては、ダメですよ。」


あおってきた車をあおり返して暴走を繰り返して、

さらに取り調べ中に逃げるとは。」

「しばらく帰れませんよ。」


「えぇーーーー。」


警察署で夜遅くまで取り調べが続く。

聞けば、私は、あの車にあおられて、あおり返して、

街中を走りまわったらしい。

それはあの事故が起きたはずの時刻の5分ほど前、

14時45分ごろに始まって、パトカーも交えてのカーチェイスだったと言う。


と、言われたところで、全く!!!!記憶がない。


私がいた世界とは、違う世界に来たと言うことなのか。

しかもその後の取り調べ中に突然消えた、車も消えた、と言う。

消えた!?

タイミング的にはちょうどホワイトアウトの時刻だ。


転移とは、そう言う仕組みなのか?

私や車が重複して存在しないような仕掛けがあるのか?


「あのー、私の暴走で被害にあった方とかいますか。」


「幸い、巻き添えとなった人も車も無いよ。ほんと幸いにね。」


「あのー、他に今日は交通事故とかなかったですか?」


「今日は、、、、、横断歩道で自転車の82歳女性が転んだ、

自損事故、全治一週間。それだけかな。」


「小学生の男の子の事故は?」


「、、、、うーん。そんな報告は無いねぇ。」


「《あーーー子供は亡くなっていない。よかった。》」

「《あーでも、免許がなくなるのかな?》」

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