Chapter 2-1

1か月後、私は国際地球生存連合組織の会議場に来ていた。

1か月前、全員と連絡を交換してから別れ、帰り道で通達者に連絡をしていた。

そちらの準備が遅れる場合は全員に連絡するから連絡ください、と。

連絡は無かったのでどうやら、遅れる事は無く準備が出来たようである。


自分の研究所に戻って今回の件を報告すると、チームリーダーになったお祝いの言葉を貰い、また、その日から行う研究も貰った。

人工惑星作製にあたり、地球についてや、チームリーダーになるにあたり、軽く調べておこうと思っていたのだが、やる時間が取れず、昨日の出発前までずっと研究に従事していた。

出発もギリギリになり、スーツも新しく買ったのに、下ろしている余裕はなく前回と同じとなってしまった。

糞ブラックな職場だと言いたいが、大抵の研究所は同じ様な所らしいので、半分以上諦めている。


会議場に入ると、他のメンバーは既にいた。

見渡すと、どうやら私が最後らしい。

私が入るやいなや、副リーダーとなったポール・ラビが近づいてきた。


「おう、リーダー。全員揃ってんぜ……って、顔のクマ、どうしたよ?」

話しかけてきたラビの顔と、後ろの研究者達の顔を見たが、全員健康そうな顔であった。

「……出発前まで、新しい研究をしていたんだ」

「おぉ、そうなのか。ご苦労なこった」

この男の発言はちょっと癪に障るが、今は良いかと思い「そっちは忙しくなかったの?」と聞いた。

「え?俺ん所?そりゃぁ、忙しいぜ。けど、出発の前々日までだな。壮行会をしてくれたし、出発の見送りもあったぜ。皆に聞いたら同じ感じだったぜ」

「そうなのね……」

私は自分の所が糞ブラックという事を再確認した。

壮行会?見送り?うらやましいとともに、皆良い研究所に居るんだなとも思えてきた。

「え?何?そういうの無かったの?」

「いやまぁ、その……」

私は言い淀んだ。

「あー……ブラック研究所ってやつ?」

「そう、ね」

返事をし、そのまま目線を反らし、床を眺める角度に首を傾けた。


研究所に所属してからの日々を思い出す。

24時間365日、実際は寝ている時間はあるが、仮眠室になり研究所が家みたいな状態になっていた。

それでも、研究によっては楽しいので問題無いだろうと思っていた。

目の前の研究者達の事を聞くまでは。

やっぱり、うちの研究所は糞ブラックだったのだろう。

そう思うと、ちょっとだけ悲しくなってきたりもした。


そんな様子を察してかラビは

「まーなんだ、優秀なんだな、リーダーって」

と私が予想だにしない事を言ってきた。


「……え?」

私は彼が何を言っているのか意味が理解できず、どういうことかと言うような顔でラビを見ていた。

ラビは両手で頭の後ろで手を組みながら答えた。

「え?いやだってさ、俺も他の奴らも皆下っ端みたいなもんだけどさ。作業指示はあるけどそこまで忙しくねーよ」

「えっと、私も下っ端だけど……忙しくないの?」

「おうよ。だから、優秀な奴イコール忙しいってのがこの業界の図式って訳だ。それが下っ端でもな」

そう言う事ならば一理あるのかもしれない。

「後、リーダーだけメールやチャットしても返ってこなかったしな」

「メール……チャット?」

1か月前、全員と連絡先とグループチャットツールのIDを交換していた。

そして、今の今まで自分の端末を全く見ていなかったのだ。

私は端末を開くと、メールとグループチャットに未読が数百件あるマークが付いているのを確認した。


「……ごめんなさい」

私はメールとチャットの対応をおろそかにしてしまったため、謝罪をした。

「良いって事よ。気にすんなー」

私は後ろのメンバーにも頭を下げた。

頭を上げ顔を見ると、やれやれと言う顔をしていたが怒っているという顔は無かった。

端末を再度見て、チャットを見ていると、私に対する暴言等は無く、ラビが言ったように忙しいのは優秀であるという事が書かれていた。

皆、この発言内容で納得してくれたという事にしておこうと思う。


「あれ?でもそれだと、通達者から連絡されてもわかんないんじゃね?」

ラビが聞いてきたのもっともな疑問だろう。

私は「それについては大丈夫」と答えた。


通達者には普段忙しさで出ない場合を考慮し、研究所の連絡先も教えておいたと説明した。

ラビや他の研究者達は「なるほど」と納得していた。


私はもう少し何か言おうと思っている所に、通達者が入って来た。


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「皆さん、お揃いですね」

入り口の扉からこちらを見るや、人数の確認を行ってきた。

私は通達者に向き直り「はい、全員揃っています」と答え、通達者は頷いた。


私とラビは席に座り、通達者は私たちの前へ移動してきた。

「さて、皆さんにはシミュレーション用の施設へ移動していただきます。そこから今後について話していきたいかと存じます」

そう言い、扉の方へ移動し「では、着いてきてください」と、移動を催促された。


私達は通達者に引き連れられ、移動し始めた。

施設は、会議場から徒歩で行ける所にあるみたいだ。

大勢で移動しているが、全員服装はスーツとなるため、特に珍しがられることは無く、目的地へ到着した。


「こちらになります」

施設はかなり大きい建物となっている。

1か月で建造したにしてはきっちり出来過ぎている様な感じである。

通達者に聞いてみると「既に建造されている施設を組織側で買収し、改装いたしました」と返答された。


施設出入り口には警備員が立っており、扉もかなり頑丈そうである。

通達者が言うには、セキュリティも強固にしたいそうだがそちらの手配がまだ間に合っていない所があるため、一部警備員が立っているということらしい。


中に入ると、エントランスロビーは2階分の高さがある程、広かった。

エントランスロビーで入館証を貰うため、ちょっとだけ待機する事になった。


私は後ろにいる科学者を見やる。

男性8名、女性6名となっている。

全員の顔や見た目から、同い年ぐらいになるのだろうかと推測する。

全員に共通することは、新しい事に対して目が輝いており、ラビ以外知性的なものを何かしら感じる。


今の私の風貌は、徹夜明けに近い状態のため、他の科学者を見ていると、キラキラしている目に消されそうな勢いである。

……と、これは私の妄想となるのだが。


通達者がトレーを持ちながら帰って来た。


トレーの中には人数分の眼鏡が入っていた。

説明によると、眼鏡型の認証デバイスとなるらしい。

色は全員共通で暗緑色に赤のラメが入っているそうだ。


渡される前に少しだけ眼鏡の説明を受ける事になった。

この眼鏡が認証デバイスとなっている。

この眼鏡を掛ける事により、外と中の扉を開くことが出来る。

レンズは全て度なしとなる。

初回認証アクティベーションして起動すると、視力が1.5未満の人は、1.5に合わせてオートフォーカスを行うようになっている。

1.5以上ある人は特に何もしない。

シミュレーション用端末――スパコンみたいだ――を操作するためのPCが個人個人に割り当てられるが、それとリンクさせるとARグラス機能AR空間が機能するようになっている。

実際は接続無しでも無線で使えるが、バッテリーが30分も持たないそうだ。

AR空間を使わなければ特に充電は不要となる。

充電については、眼鏡のツルテンプル先セルモダン鼻あてノーズパッドで、体温と脈を検知して発電するようになっているためだ。

レンズ表面部分に特殊なシールが貼られており、電灯レベルの明るさで発電が出来る。

AR空間を使用時は、先セルの先端に充電用ケーブルを接続して使うと安定して使えるようになるみたいだ。

現時点では試作品となっており、世の中には出ていないため無くさないようにしなくてはならない。

最も、この中で生活をすることはでき、外へ行くことはほぼ無いかと思う、とのことである。


通達者の話を聞いた他のメンバーは和気あいあいと話している。


「……でもこれ、盗まれることは無いにしても、他の人が間違って使うと認証して入れるんじゃないの?」

眼鏡を見てはしゃいでいたラビがふと止まり、通達者に疑問点を確認した。

最もな意見になるだろうか。

通達者は即答で大丈夫と答え、初回認証アクティベーションの説明を始めた。


初回認証は、使用者の網膜採取や、眼鏡本体を掴んだ際――特にツルは良く掴む――に指紋データ採取、掛けてた時に全身スキャンを行う仕様になっている。

そのため、使用者以外が掛けたとしても何もシステムは起動せず、ただの伊達メガネになるだけらしい。

そんな技術が世の中に存在していたのは驚きである。

連合組織側の技術になるようだが、かなり高度に発展しているのではないだろうかと私は思う。


トレーから全員が1個ずつ取り、眼鏡を掛け初回認証を完了させた。

ラビはふざけているのか「ちょっと変えよーぜ」と言ってきたが、私は「そのうちね」とだけ返事をしておいた。

……今はそんな暇はないと思うのだが、この男はちょっと考えが足りないのだろうか云々と、私はちょっとだけ思考を巡らせようとしたが、疲れるだけなので止めた。


私達は通達者に引きつられ、エントランスロビーからもう1つの扉をくぐり、中に進んだ。

この扉から認証は始まっていると、通達者は独り言のように言う。

誰が何処を通ったか等、怪しい行動が無いか監視とログ採取もしているみたいだ。


施設内の廊下を進み、鉄張りの扉の前で止まり、通達者が振り返り説明を始めた

「さて皆さま、ここがシミュレーションルームとなります」

鉄の扉で頑丈にされているのだろうかと思い「結構、重苦しそうな扉ですね」と、私は見たままの感想を述べた。

「ええ、シミュレーション用マシンもかなり良い物になりますので、盗難対策で頑丈にしておかなくてはならないのですよ」

「へぇー、そういうもんなんだ」と、ラビが感想を述べた。

少しだけ間を開けてから通達者は「ま、冗談です。元からこの施設に有る扉で、保管庫になっていたようですね」と言い、みんな内心、何それという顔になっていたに違いない。


扉の右サイド側に認証端末があり、そこに眼鏡を掛けた顔を向けると開くようになっている。

通達者も同じ眼鏡を持っているみたいで、ここまで来て初めて掛けた。

認証端末に顔を近づけ、扉を開け、私達は中へと進んだ。


中には、大きめのスパコンが複数台有り、私達が操作するPCも人数分用意されている。

その更に手前、つまり入り口から入ってすぐになる所に、会議用の長机が置かれている。


自分の役目を終えた通達者は踵を返し扉の前に移動してからまたこちらに振り向き、

「ここで本日から作業を行っていただきたいかと存じます。何かあればお呼びください」

そう言い、出て行こうとしたので、私は引き留めた。

「何でしょうか?」

「何点か質問があります」


私はちょっとだけ間を開けてから一気に早口で言った。

「ここで生活できるとか言ってましたよね?それって仮眠室みたいなのがあるってことです?それとも何か部屋があるのですか?

後、トイレや食事等もどうすればいいんですかね?」

通達者は目を見開いて硬直していた。

私の早口に更にちょっとだけ凄みがあったためかもしれないが、重要な事なのでここはご容赦いただきたいと思う。


質問から10秒ぐらい立ってから返事があった。

「ええ、確かにここで生活できるように揃えさせていただいております。

中の設備については、長机の上に館内見取り図を置いていますのでご確認ください。

トイレは直ぐに行きたいのでしたらここに来る道のりで、右に脇道があったでしょう。そっちになります。

食事は外へ行っていただいても構いませんし、食堂が上に有ります。

皆様の寝床ですが、少し狭いですが一人ひとり分をご用意いたしております」


私の問に対しての返答は、ちょっと怒気が混じっていた気もするが、丁寧に答えていただけたようだ。

……ここでの生活は館内見取り図を見ればいいという事の様だ。

私は丁寧にお礼をいい、通達者はやれやれというそぶりと共に部屋から出て行った。


-----


中に入った私達は、長机を男女対面になるように並べ、座った。

リーダー副リーダーラビは皆の前になるような位置合いとなっている。

男性側が1人多いため、1人だけ私の対面に座る形を取った。


「さて、それでは第一回円卓会議を始める!!」

ラビは立ち上がりながら2回手拍子をしてそう宣言した。

それを聞いた私は何を言っているんだという顔でラビを見た。

「で?」

ラビに先を言わせるために催促するように一言だけ発したが、何か?という顔でこっちを見てくるのみであった。


「いや、別に円卓でもないし、全員役職も同じなんだけど?いや、役職はまだ無いけど」

「いやま、ただのノリだ。気にすんな」

後頭部をガリガリとかく仕草をしながら席に座った。

ラビが座った所で両サイドの顔を見回したが、1か月前の帰りにIDを交換した時に名乗り合ったはずなのだが……全員の顔と名前が一致しない。

それに名前も忘れていたりもするのであった。

ラビだけは印象が強かったので覚えている。

記憶力は良い方と思っていたのだが、流石に大勢居て、1回だけしか会話していないと私でも無理な所があるものだなとしみじみと感じていた。


私はその辺を解消するため、まずは提案をすることにした。

「ではまず、改めての自己紹介をしたいかと思います。それが終わったら……館内見取り図を見ながら何処に何があるか確認したいかと思います」

長机の上の館内見取り図を取り、全員で見て回る事まで提案した。

館内見取り図を取るときに、スパコンやPCの書類も置かれているのに気づいた。

館内見取り図だけでは太いような気はしていたが、他のも一緒に置かれていたみたいだ。

長机を動かす時は気づかなかったな。


提案した事に、全員が賛成である事を示した。

早速自己紹介を行おうとしたのだが、対面に座っている男性が手を上げたので、質問ですかと確認をした。

すると、彼は立ち上がり議題を上げた。

「いえ、質問ではなく議題です。リーダー選任からやり直していただきたい」


私は驚いた顔をしていたと思うが、内心では1か月も連絡を見る事すらしないリーダーなんて不要と思われても仕方が無いよなと思っていた。

ラビは眉間に皺を寄せて何か言おうとしている様に見えたので――ラビの表情的には反論してくれるのだろうと思うが――手で制した。


「一応、理由を聞いてもいいかな?」

男性は立ったまま、眼鏡の位置を整える様に人差し指で触ってから理由を話し始めた。


「1か月前の時、ラビ君がリーダーは貴女で良いかと聞かれたので私を含めた全員、OKとしました。

仮のリーダーという事で捉えていたためです。

しかしこの1か月の間、ろくに連絡のやり取りは無かったため、今後、リーダーとしてやっていただくには問題があるのではないでしょうか?」


私が予想した通り――後半だけだが――となった。

彼の言う様に、新たに選出し直す必要はあるよなと納得した。


私はその議題を先に行う事にした。

誰をリーダーにするかと、全員に聞くことに下。

名前と顔が一致しないので時計回りに指さすので、その人がいいなら手を挙げてもらう事とした。


まずは先頭のラビから行ったが、誰も手を動かさなかった。

次に私の番だが、対面の男性も含めて、全員が私を指さした。


困惑する私の顔を見ながら対面の男性は胸を撫で下すように安堵していた。

「おお、皆さん。リーダーに不満は今のところないのですね。よかったー」

「えっと……つまり私で問題ないか確認したかった、と?」

「ええ。すみません勝手に。でも、何かしら不満があるのなら早めに解消した方が良いかなって思いまして」

笑顔で謝罪するのが微妙に憎いような気持になるが、全員の不満が無い事は判ったので特に良いかという気持ちになっている。


私はちょっとだけ考える様なポーズをし、ついでだからという事で副リーダーはラビで良いかという事を聞いた。

ラビ本人は真顔のまま硬直している。

リーダーが仮なら副リーダーも仮であるのは必然的であるはずだが、そうは考えていなかったのだろう。

他の皆はどうするべきかという顔をしていたが、ちょっとだけほくそ笑んでいた。

ラビは真顔からちょっと慌てる様な顔になっていたが、先程と同じ指さしで決める方法で行うと、全員ラビを指した。


ラビは少し涙目になっていた。

「……俺で良いのか?」と、皆に聞くと頷きが返って来た。

それを聞いたラビは目じりを軽く拭くと、満面の笑みで「よし、まかせろ」と大きな声で答えた。


……隣に居た私は煩いと耳を塞いで非難したが、ヘラヘラと笑いながらごめんごめんと言い、もういいわよとなった。


少し騒がしくしていたが、静かになったので私は次の提案に進める事とした。

「次の話ですが、初めに戻るけど、自己紹介しません?」


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自己紹介を行う事になったが、ここはやはり私から行くべきなのだろうと席を立とうとすると、ラビが勢いよく立ち上がり、自己紹介を始めた。


「んじゃ、まず俺から行くぜー。

ポール・ラビと言います。49地区出身です。

趣味は体を動かすことで研究とか座りっぱなしで退屈だぜ本当。後、副リーダーやらせて貰うんでよろしくなー」

かなりフランクに終わった。


趣味とか言わなくて良いような気がするがそれは良いとして

「49地区?っていうと確か、極東の島国、だっけ?」

と、出身地について聞いていた。


国際地球生存連合組織発足時に、今までの国名から地区番号ごとに呼ぶようになった。

そのため、未だに何処がどうなっているか覚えきっていない。

……地区番号になってからもう1つ。

元からある2バイト文字は1バイト文字のみとなり、英語で統一されるようになった。

今までは色々な言語が合って翻訳したりした楽しみが有ったのだが、これが無くなったのは楽しみを奪われたようでかなり嫌になる。

もっとも、周りの人達は1言語のみは読み書きや説明が楽なので喜んでいる。

まぁ、言語が統一されただけで、公の場では使えないってだけなんだけど。


「おうよ、旧日本自治州なー。この髪の色が黒いのも、そこに住んでた人の遺伝って訳だぜ」

「へぇー」


旧日本自治州……確か、かなり昔に日本という国が有ったけど、政治が駄目過ぎて崩壊、そのまま隣国が管理・吸収する形になったはずだ。

という内容を、学生の頃に歴史の授業でやったような覚えがある……うろ覚えになるが。

元から住んでいた民族は、他の国の人と結婚し、子供を産んだ。

つまりは、ハーフの子供が生まれていたという事だったかな。

その子供の1人がラビのという事になるんだろう。

ラビが席に座り

「49地区に来ることがあるなら案内するぜー。美味い飯屋とかいっぱいあってなー」

と話が進まなさそうなので、一旦区切らせた。


次こそ私と思って声を出そうとした所で、ラビが次は男性陣先頭からだと指名した。


先頭から、エミリオ・モット、ネヴィル・セグレ、ルドルフ・テラー、エドワード・アドベーン、ホーミィ・バーバー、フィリップ・アベン。

全員やせ型な上、髪型も似たような短髪となっている。

身長だけ少し違うくらいだろうかと、自己紹介を聞いていて私は分析するわけではないがそういう印象を受けていた。

出身地区は皆7中南米北寄り8カナダかアラスカ9南米 となっているらしい。

そりゃ全員、顔のバランス以外は、髪の色・肌・瞳の色まで同じとなる訳だと納得した。

最後に対面に座っている男性が立ち上がり、自己紹介を始めた。

フレッド・ホイル、3地区――EU圏内――出身。瞳の色や肌の色は他の人と同じだけど、髪の毛だけ明るめの緑にしている様だ。


男性陣の自己紹介が終わった。

私はラビの次に紹介された初め3人は、特徴があまりないので覚えきれるか微妙だなと思いつつ、女性陣の自己紹介を始める事にした。


初めに言っておくと、私以外の女性陣は色取り取りになっている。


まずは私は自分の自己紹介をした。

リナ・O・ハイマー、出身は1地区となる。

地区を言うとちょっとだけどよめきがあった。

1地区は他の所と違い、かなり優秀な人が集まっていると、聞いたことがあるのでそのためだろうか。

私や私が所属している研究所はそこまで優秀ではないのだが……。


続いて、女性陣も前から始めた。

まずはキャサリン・ジョンソン。6地区出身。

見た感じはそのままだが、いい感じの筋肉の付き方をしており、髪も長めにまとめている。

陽気そうな風貌をしているが、かなり落ち着いて見える。

落ち着いていると言っても、連合組織発足の前から、世の中の教育は合理的な思考で行くことになっているので、そのように教育されている人が大半だ。

その教育の影響もあるのかもしれない……つまり無駄な事はしないということになる。

例外として、私の横に居るラビは……まぁ、確定で例外だろう。


リリアン・オットー、31地区――オーストラリア――出身。

こちらも、見た目は6地区の人たちと同じで、髪はセミロングと言ったところか。


イリヤ・ランダン、20地区――ロシアらしいがシベリア辺りとかなり寒い所に居たそうだ――出身。

身長は高く、スレンダーな体型で、銀髪ロングヘア。

私が男だったら、デートに誘っているんだろうか。


マリア・メイヤー、マーガレット・マーリン、デボラ・ライムは6地区出身で、3人共幼いころから一緒らしい。

3人共グラマーな体型で、キャサリンとは大分違うなという感想だ。

髪型はベリーショートという所か。

カラーもそれぞれピンク、赤、緑と茶のグラデーションとなっている。


年齢について聞くと、なんと全員25歳であった。

全員年齢は同じなので、同期になるのだろうか……。


全員の自己紹介が終わった。


「皆ありがとう、大体……うぅん、頑張って覚えます」

私は立ち上がりそう言ってから頭を下げた。

正直、男性側は特にだが、間違う自信しか湧いてこない。


自己紹介も終わったので次に、館内見取り図を見ながら館内を見て回るが、ある提案をした。

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