第5話 微睡み

 微かな話し声が聞こえて、陸は少し目をこすり、寝返りを打った。

 

「すみません、無理を言ってしまって」

「いや、構わないよ。君の意向を無視してしまったのは僕だからね。少しでも罪滅ぼしになればと思っている」

 

 夢うつつの中で男性の声が2人分、遠く響く。誰の声だろう。眠くて考えられない。

 

「それで、何か分かったかい?」

「いえ。まだ話せていません」

「そうか」

 

 微かに椅子を動かす音がして、カーテンが揺れた気配がした。

 

「くれぐれも無理はしないようにね。それじゃあまた顔を見に来るよ」

「はい。おやすみなさい」

 

 コツコツと足音が少しずつ遠ざかり、静寂に満たされると、陸は再び意識を手放した。

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