18.幼い女神とクリアのご褒美
『みんな、おめでとう! これで初心者の洞窟クリアなの』
最初のボス『板コンニャク・モノリス』を見事撃破。
配信サイトのコメント欄にも健闘を称える声が届いています。
【おめでとう】
【おめ】
【あと1レベル上げてから行ったら、もうちょい安定するかな】
【人数少なくしたのが逆に良かった。大人数だとまとめて潰されそう】
【開発側までヤシンショシの洞窟って言わないの笑う】
そしてボス敵だけあってザコより格段に多い経験値やお金を持っていたようです。戦闘に参加したプレイヤーは全員レベル3まで上昇しました。更にボス撃破のご褒美はそれだけではありません。
「またレベルが上がったみたい。あと何だろこれ? メニューに『コンニャクスレイヤー』の称号を獲得したって出てるけど?」
「全員同じ称号ゲットしたっぽいね。なになに……『コンニャク系モンスターへの与ダメージ1%アップ』だって。おっ、説明読んだ感じだといちいちセットしなくても称号を持ってるだけで効果あるっぽい。セットし忘れの心配がないのは助かる」
「もっと強い敵と戦うようになったら1%差も馬鹿にならんからね。獲得条件がボス撃破だけかは分かんないけど、攻略に詰まったら称号集めに走るのもいいかも」
この称号システムが『ダンジョンワールド』の売りの一つ。
敵を倒すだけで手に入るモノから、特定の行動やイベントクリアで獲得できるモノなど。様々な隠し条件が設定されているのです。
【ドーモ、モンスター=サン。コンニャクスレイヤーです】
【アイエエ!? コンニャク、ナンデ!?】
【ねえ、これ大丈夫なやつ?】
【職業にニンジャってないんだっけ。アプデで追加されんかな】
【コンニャク殺すべし。ハイクを詠め】
【ねえ、これ本当に大丈夫なやつ!?】
コメント欄にも称号システムへの様々な反応が寄せられています。
なお、もし大丈夫なやつじゃなかった場合は、この前後の文章が丸々消えることになるでしょう。そうなった時は察して下さい。
ちなみに称号は他にも、コンニャク系ボスをソロ撃破で獲得できる『コンニャクキラー:コンニャク系モンスターへの与ダメージ10%アップ』や、ボスから合計1000回攻撃を喰らうことで入手できる『鉄壁のコンニャク:コンニャク系モンスターからの被ダメージ10%減』など現段階でも千種類以上。今後もユーザーの反応を見ながら更にどんどん増やしていく予定です。
もちろんコンニャク以外のモンスター用や、戦闘用以外で役に立つ種類もあります。称号の効果はどんどん加算されていくので、そのうち強敵相手の攻略に詰まったら同系統の弱い敵を集中して狩ったり、食べ歩きやショッピングなど一旦別のことをする方針も効果的でしょう。
『それじゃ、入口まで戻ったら解散ね。我はそのまま次の組を撮りにいくから』
「はいっ! ウル様、ありがとうございました!」
元々、分かれ道もほとんどない単純な構造の洞窟です。
レベルが上がって戦闘慣れした今なら、最深部のボス部屋から入口まで戻るのに、走れば五分とかかりません。あっという間に、順番待ちのプレイヤー達が待つ洞窟外の草原まで戻ってこれました。
ちなみに外で待機していた彼らはあれからずっと野球を続けていたようで、今は五回裏まで進んでいました。この様子を見るに、スポーツ用品やら何やらを新アイテムとして実装して、誰でもプロ選手並みの身体能力で動けるスポーツゲームとしての可能性を検討するのも案外アリかもしれません。
「あれ?」
「おっ?」
ボス撃破済みの面々が洞窟の外に出た瞬間、ピロンッ、というシステム音が鳴ると同時に追加で新たな称号を一つ獲得。彼らの最初の冒険はこうして無事終わったのでありました。
称号:『ヤシンショシの洞窟制覇者』。
効果:以後このダンジョン内での戦闘時に全ステータス30%アップ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます