ランニング27:希望に向けて出発

「どういうこと、カケル?」

「食糧難について、とりあえずは当座を凌がないといけないから、最初はそっちをサーチして、幾つも反応があったから、近いのから巡っていくつもり。

 でね、さっきも言った通り、存在するのなら見つけられるスキルだからね。ダメ元で試してみたんだ。土地枯れをどうにかできる何かが存在するのかどうか。

 で、こっちもいくらか反応は有ったんだけど、まだ黙っておいたんだ」

「どうして?そっちのが根本的な解決につながるじゃないの?」


 ポーラはぼくの首元を掴んでガクガクと揺さぶりましたが、イドルが解放してくれました。


「それが、枯れた土地全てを癒せるに足るのかどうか、分からないからですね」

「そうだよ。食糧はまだわかりやすいからいいけど、食べれば無くなっちゃうからね。土地が枯れてしまうのをどうにかしないといけないけど、どこも我先に欲しがるよね」

「10ずつ欲しがる人が群がってくるところに、1か2ずつとかだったら到底足りないし、癒やされた土地を巡って酷い争いになるかも知れないしね」

「食糧の当てがついたとしても、その時以上の争いが起きてしまうかも知れない。国が崩壊すれば、東岸から西岸へと難民が数え切れぬほど流れ込んでくるかも知れません。そうなれば、どこも酷い事になるでしょう」

「アガラさん、ラグランデの辺りから別れて、ドースデンに向かったでしょ?たぶんそこら辺の未来まで見えてて、抑えに行ってくれたんじゃないかな?」

「あの時は、様子を見ておいてきます、とはぐらかされてしまってたけど。アマリ姉様への手紙を託したり、アイテムボックスに色々詰め込んで渡したり、ポー達を護衛に付けたりもしたけど」

「私も、ドースデン皇帝への親書と、あの時の滞在先で融通してもらえた食糧などを、焼石に水な量にしろ、そのアイテムボックスに入れておきましたが」

「ポーラの眷属の護衛もついてるし、アガラさんならたぶん心配は無いよ。

 ポーラやイドルは基本的に安全な場所にいるだろうから、あまり心配してないんだけど、ちょっと気になってるのが、リーディアかな」

「どうして?彼女にも十分眷属は配置してるし、何かあればすぐに増援も送れるけど」


 ちょいちょいと招き寄せる仕草をして、メイドさん達からは見えない位置で、聞こえないような小さな声で内緒話をしました。


「神様が、今回だけ、チェックポイントを明示してないんだ。何か有った時に、面倒でも、やり直しが効くように。区切り位置を更新するかどうかの判断もぼくに任されてる」

「つまり、カケルがやり直しを選ばざるを得ない何かが起こるかも知れないと」

「そう考えてる。自分が何かをポカしてやり直すのなら気にしないけど、故意か偶然かは分からないけど、自分に近しい誰かか、その誰かに近しい誰かが狙われる可能性は高いかな、と」

「ミル・キハにも、ガルソナにも名前は知られたでしょうね。という事はカローザにも知られたことになります。私とポーラはそれなりに守られていますが、リーディアは三人の中では一番狙われやすいかも知れませんね」

「でも私の眷属が守りを固めてれば」

「相性の問題なんだ」

「あ・・・、そうか!リーディアが本気を出そうとすれば、強めの光魔法を使わざるを得ない。でもそれは同時に私から付けられた眷属の護衛を弱めるか消し去ってしまう。そしてミル・キハのワルギリィさんとか、同様にこちらの弱点を突ける誰かは用意されそう」

「カケルが不在な時は特に狙い目ですものね。いっそ、三人でどこかで固まっていた方が守りやすいのでは?」

「確かに守りは堅くはなると思うけど、同時にリスクも高くなると思う。さっきの話と同じで、ポーラとリーディアの力は互いを邪魔して相殺してしまうからね」

「みんなでカケルに付いて行くのは?」

「たぶんなんだけど、これまで以上に危険な旅路になるんだと思う。じゃなければ、神様からチェックポイント更新についてあんな注意をされなかったと思うし。

 ぼくは死んでも巻き戻るだけとも言えるけど、みんなも巻き込まれて殺される結末を見たくは無いかな・・・」

「これは今すぐには解決できない問題でしょうね。いずれ、私達が結婚すれば子供が生まれ、家族は増えていきます。襲われるタイミングがいつになるか分かりませんが、その時出来る最高の守りを構築していきましょう」

「だから、ポーラとイドル、二人で、いやリーディアとも眷属を通じてやり取りは出来るだろうから、三人で、どうしたら一番良いのか、考えて、準備を進めておいて。たぶん無駄になることは無いから」

「分かったわ。お父様やお母様達とも相談して、万全の態勢を築いて見せるわ!」

「カケルのこれまでの活躍への報酬は、キゥオラでも、イルキハでも、マーシナでも、金銭では贖えないレベルのものでした。この様な時ですから協力を要請すれば、相手方の負い目を相殺していく意味でも、役立つ筈です。

 というかですね、カケル。一つ提案があるので、真面目に聞いて考えて下さいね」

「そうしようと努力はしてみるけど、どんな提案?」

「恩賞の一部として、どこかに領地をもらい、陞爵されるのは、カケル的に、受け入れられない申し出になるのでしょうか?」

「ぼくが貴族様とか領主とか、務まるとはあまり思えないかな」

「統治に関しては私達や配下の者達でお手伝いできます」

「つまりはお飾りって事?まあ、イドルやポーラやリーディアがどうしてもそうしたいっていうなら」

「願望というよりは、都合ですね。国際的な英雄に無償のままではいられないのですよ。カケルほど活躍しても報われないのなら、どれだけ活躍してもタダ働きなんて事になってしまいますから」

「キゥオラとマーシナのどこか、もしくはイルキハがキゥオラの属領になるのならそこが一番都合が良い土地でもあるけど、私やイドル姉とリーディアとの位付けが面倒な事になるかな」

「その場合、リーディアは今でも仮の女王扱いですから、属領となった段階で女王を降り、単なる現地領主か代官の扱いに落とせば良いだけです」

「んー、ぼくはそういうの気にしないから、みんなで考えてみんなに都合の良いようにしてくれていいんだけど?」

「カケル。あなたが事の、私達の中心に居るお方なのですから、他人任せにし過ぎてはいけません。あなたが食糧難という難事を解決したとしましょう。ドースデンは当然、あなたを取り込もうとします。それはもう今でさえ、不可避の選択肢なのですから。

 国民の期待に応えられなかった現皇帝が後見役として退位し、適当な皇女なり元王女なりを見繕ってあなたを皇配として迎える。あなたが文字通り、帝国に不可欠の存在として認知されればされるほど、皇帝位そのものを譲位される可能性すらあります。

 あなたも、あなたと結婚することを望んでいる私もポーラもリーディアも、その現実から目を背ける事は許されていません」

「そっか、そういう事は、起こりそうだね・・・」

「起こりそうではなく、必ず、起こります。カケルが食糧の当てなどを着けた後であれば、それは不可避の未来として絶対に。

 だから、ポーラ、あなたとカケル、もしくはリーディアも同時に、カケルとの婚儀を済ませておいた方が良いでしょうね。私との婚約もその際に周知してしまった方が良いかも」

「ドースデンの横入りを防ぐために?こっちを邪魔しようとしたら、食料とか分けてあげないと脅せば、言う事聞いてくれるんじゃない?」

「そういう訳にはいかないのです。働きには、必ず、恩賞で報いる。それが上に立つ者の義務です。納税も、税を納める側の身命なり生活を守る義務が、納められる側には生じます。放棄するなら、納める側も放棄しても良い事になるのですから。

 そして、あなたは、決して、ドースデンの人々も見捨てないでしょう。食糧を分けないという選択肢は有るように見えて無いのですから。飢えれば、食べ物がある方へと、移住してでも、奪ってでも、手に入れなくては、死が待つのみなのですから」


 面倒だな〜、と思ってしまいました。

 それと同時に、だからこそ、次のチェックポイントの設定が任意にされたんだろうなとも分かりました。身近な誰かが全員無事で生き残ってても、取り返しのつかない事態が起きてしまっていれば、やり直すことを選ばざるを得なくなるかも知れない、と。


 ぼくは、自分の気付きを二人にも共有してから言いました。


「正直、お嫁さん候補は今でさえ多いんだから、特にこれ以上欲しいとは思わないんだ。お嫁さんにしておいて放置とかもしたくないしね。

 だからやっぱり、ドースデンとかに対してどうするのが一番良いのか、イドルとポーラ、それにリーディアが中心になって考えておいて。カローザやガルソナが攻めて来たらボコボコにしちゃってもいいし。

 ぼくはその時々で、ぼくにしか出来ない事を、やろうと思う。それ以外は、他のみんなにたぶんお任せするよ」

「まあ、それがあなたらしいわよね」

「そうですね。ただでさえ、カケルに過大な期待がかけられているのですもの。妻として、支えてみせます。あなたと、幸せな人生を歩む為に」

「ちょっと、そこで私とかを自然に排除しないで」

「省略しただけよ。さ、そろそろ寝ましょうか」


 内緒話もだいぶ長くなっていたので、壁際にいた筈のメイドさん達は、ぼくらの様子を異なる視点から確認できるポジションに移動してました。

 それぞれ別々の長椅子に寝るのは寂しいとイドルとポーラが主張して粘り、ぼくを真ん中に挟んでポーラとイドルが両脇について一緒に寝る事になりました。

 二人の腰に腕を回し、彼女たちの体温や髪の香りに包まれながら、とても幸せな眠りに落ちることができました。


 ぼくが目を覚ました時、ポーラはまだぼくの肩に寄りかかりながら寝息を立てていました。その反対側へと目を向けると、すでに目を覚ましていたらしい、というか、ちょっと寝不足なようにも見えるイドルが、ぼくを見つめていたので、至近距離で目が合いました。


 おはよう、と言おうとしたのだけど。


「お」まで言いかけた時には、イドルに唇を重ねられていました。

 二度の人生で初めてのキスです。

 嬉しくない筈も無いのですが、イドルの目から涙が零れ落ちているのが見えて。嬉しさの中にも戸惑う内に、しばらく重ねた唇が離れて。耳元で、本当は、片時たりとも離れたくは無いのですと囁かれて。

 ぼくは彼女を強く抱きしめることしかできませんでした。イドルもぼくを力の限り抱きしめ返してきて、それでポーラも目を覚まして。

 目をこすりあくびをしながら、ぼくとイドルに文句をつけました。


「朝っぱらから何してるのよ、二人とも。私もすぐ隣で寝てたのに」

「私はもうすぐ、カケルと離れ離れになり、しばらくは会えなくなるのですから。離れていても大丈夫なように慰めてもらっていただけです」

「もしかして」


 ポーラは何を思ったか、部屋の片隅で待機していたメイドさん達の方を見つめましたが、皆さん声を揃えて、


「何もございませんでした」


 と証言してくれました。

 ポーラは眷属を呼び出してでも確かめようとしましたが、


「ポーラが心配しなくちゃいけないような事は何も無かったよ」


 と言っておきました。

 ポーラは、ぼくらを覆っていた毛布を剥いで、寝る前と同じ着衣の状態が変わっていない事を確かめてからようやく納得してくれたようでした。


 それからは、朝食前の身支度に連行され、少し寝不足に見える二組の国王夫妻だけではなく、イドルのお兄さんとその奥さん、さらにイドルの弟さんにも紹介を受けました。

 二人はたまたま王宮外にいた為昨晩の話し合いに加われなかった事を残念がっていましたが、それでも早馬で連絡を受けて朝一には駆け付けてくれたそうです。

 イドルを助けた事その他諸々にお礼を言われたり、イドルとぼくの距離が近いんじゃ無いのかとか弟さんに文句をつけられたのをイドルが叱りつけたり、まあ全部話すと長くなるので割愛します。


 賑やかな朝食を終えた後は、キゥオラに戻る準備を整え、マーシナ国王夫妻だけではなく、イドル、そのお兄さんと奥さん、弟さんも一緒に、王宮上空のお散歩を楽しみました。

 最後にどうしてもと王様から頼まれて、一瞬だけ超加速もしましたが、全力ではありません。なるべく王都の住民の皆さんを驚かせないよう、ぎり音速超えず、ソニックブームが出ないくらいに留めました。もちろん、地上に影響が出ない高度で。


 昨日着地した王宮の庭に戻ると、国王夫妻同士が賑やかに感想を交換し、これからについても二言三言以上の言葉を交わしてる間。


 イドルが近寄ってきたので、ぎゅっとハグしました。イドルはぼくの腕の中で、お待ちしておりますと囁いてくれたので、本当のお迎えは一年後だけど、時々遊びに来るよと、耳元で囁き返して、ハグを解きました。


 その間、一秒も経ってなかった筈ですが、見ていた人はちゃんと見ていたようで、ポーラは仕方ないかという感じでイドルと何か会話してましたが、イドルの弟さんはまた騒ぎ出してお兄さんに首根っこ掴まれて引き戻されていました。


「さて、キゥオラに戻る方々はご乗車下さい!ぼさっとしてると置いてきますよ〜」


 あの、吹くとピーッとなる笛とか、駅員さんが持ってるようなの、異世界にあったら欲しいな。誰かに作ってもらえるのかな?


 そんなことを考えてたら、ポーラ、キゥオラ国王夫妻、在キゥオラ大使、同行してきた文官と武官が合わせて四人。もう二人はこちらに残るようで、お互い笑顔で挨拶を交わしていました。


「では揃ったようなので出発します!マーシナの皆さん、また今度です。イドル、またね!」

「ええ、カケル。またです。道中気をつけてね!」

「うん!じゃあ、行ってきまーす!」

「行ってらっしゃい!」


 神様による自動翻訳効果なんだろうけど、前世のまだ動けた幼い頃以来、ずっと憧れてたなんでもない会話が出来た事がとても嬉しくて、ぼくは涙ぐみながら高度上限まで超加速を起動。そして一度目のショートワープも続けて発動した事で、マーシナ王都の姿は遥か後方へと消えて行きました。


 帰り道では王様からのリクエストでアミアンの領都ポーヴェに立ち寄り、ドロヌーブの息子さんと娘さんに国王夫妻がご挨拶というかお詫び。

 タミルの首と遺体はポーラから二人に引き渡されて、その処置をどうするかは一族で相談して決める事になりました。

 いろいろ噂が届いているせいか、前回来た時とはだいぶ娘さんの当たりが違う感じもしましたが、時間が無いので当たり障りの無い受け答えをしたら、すぐに王都に向けて出発。


 行きで既にレベル71に到達していた事もあり、寄り道をしてもお昼前には余裕をもって王城へと帰還できました。帰還時のレベルは74。

 レベル70になって得たサブスキルは、弱くは無いのだけど、自分の今の最高速度的に使いこなすのは練習が必要そうです。この長旅の間に何度もその機会はあるでしょうから楽しみにしておきます。


 到着後、昼食の準備が出来る前に宰相さんに捕まって、お城の宝物庫に連れて行かれ、役に立ちそうな物はなんでも持って行って構わないと言われて、だいぶテンションが上がりました。


 アマリからポーラに渡され、今はアガラさんが預かってるのよりも高性能なマジックバッグ。雨に何時間濡れようが決して染みてこない防水マント。さらに耐刃や耐魔法と体温安定の効果が付与された特別な繊維で編まれた服。決して水の尽きない水筒。

 しかし一番の目玉はなんと言っても『鑑定』スキル付きのメガネです! パーティーグッズみたいな外見は残念だったものの、たいていの存在ならそれなりの情報を表示してくれるみたいです。ウェラブルデバイスっていうんだっけ、こういうの?

 他にもあれこれ持たされて、自分としては大満足だったんだけど、見栄え的には、茶色の地味なマントに、ピンクや紫が入り混じった派手なシャツ、ゴテゴテしたメガネなどなど、マーシナに向かった時の装いとは真逆な物で、昼食の席で合流したポーラは微妙な顔をしていました。


「これから行くのは人間たちがいるかどうかわからない場所だしね。仕方ないか」

「ポーラも、ぼくが着飾っていた方が良かった?」

「私が一緒にいて、私も着飾っている時ならね」


 昼食の席は、ぼくと、ポーラとそのご両親、宰相さん、それから複数の重臣の方々でした。とりあえず今は面通しだけでってことで、名前は覚えられませんでしたが。

 昼食の席での話題は主に、これから向かう先で得られるかも知れない食糧とかをポーラの影空間を通じて運搬できたとして、それをどう貯蔵して、どう配分していくかという難題についてでした。

 昨晩、マーシナの王様とキゥオラの王様が話し合っても、当然ながら名案は思い浮かばなかったそうですが、無いよりは有った方が選択肢は増える筈ですから、なるべく多くの選択肢を見つけ出すよう依頼されました。


 昼食後。

 ポーラの部屋で、ポーラと二人きりで出発までを過ごすのかなと思ったら違いました。

 出発の場所になる王城の中庭で、ぼくの同行者となるポーラの眷属、イプシロンとマッキーは名付けが済んでましたが、ワイバーンの中で一番体格が良い個体を、ぼくがダグラスと名付けました。

 宰相さんにかき集めておいてもらったらしい魔石をそれぞれ配分して吸収させてさらに彼らを強化。イプシロンは狼というよりはライオンよりも大きくなって、影分身とか使えそうな雰囲気まで出てきました。

 マッキーは倍くらい大きくなり、さらに賢そうになりました。今まではポケットにも余裕で隠れられるくらいでしたが、隠れられるポケットはかなり限定されてキツキツになりそうです。まあ影の中にいれば問題無いんですけどね。

 ダグラスは特にポーラが力を入れたのか、元の大きさからは三倍くらい逞しくなり、その分速く飛べるでしょうし、体全体が赤黒くなって、炎でも吐けそうになってました。楽しみにしておきましょう。


「危なくなったら、いつでも声をかけてね!」

「まあ本当に危なくなったらね。ポーラには、だいぶ負担をかけちゃうだろうけど、よろしくね」

「あなたにかかってる負担に比べたらまだだいぶマシよ。それより、ちゃんと約束を守ってよね!」

「約束って、無事に帰ってくるとかじゃなくて?」

「それは約束するまでもない大前提でしょう!違うわ!」


 えっと、何だっけと記憶を手繰って見て、思い出しました。


「今回一回で全部済むとは限らないけど、ちゃんと区切りが付いたら、一緒になろう」

「うん、ずっと、ずっと一緒だよ!」


 そしてポーラが抱きついてというか飛びついてきて、たぶんぼくにキスをしようとして、でも勢いがつき過ぎていたせいかお互いの歯がぶつかってしまい、ただひたすらに痛かったです。

 二人してしばし痛みに悶えた後は、ぼくからポーラにチュッとキスをして、行ってきますと言いながら上空へと駆け上がり、ポーラやキゥオラの皆さんに行ってらっしゃいと見送ってもらいました。


 みんなの声が聞こえなくなるくらい十分に高く登ったら、限界高度まで達するように超加速を起動。ソニックブームを後に残しつつ、一秒の超加速が終わったら、目的地へと示された方角へ74kmのショートワープを発動。


 およそ一万キロに及ぶ長旅は、その冒頭で約85kmを減らして始まったのでした。


 まあ、寄り道しても誤差程度だし、最初の目的地には、イルキハ王都を選んでおいたのですが。


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