ランニング26:ポーラの両親と、イドルの両親と

「良かった。荒らされてたり、物を壊されたりしてなくて」


 ポーラの自室は、いわゆる、お姫様のお部屋、って雰囲気はかけらほどにはあるとしても、どちらかと言えば図書室と学習室と理科の実験室を混ぜて割った余りにお姫様要素がほんの少し、という感想に困る部屋でした。(ぼくは学校通えなかったので、アニメや漫画で見ただけですけど)


 イドルが、やれやれ、という感じでかぶりを振っていましたが、ポーラは無言の抗議しかできず、ぼくに視線で援護を頼んできました。


 ほら、早く!と迫られても、コメントに困るものは困るので。

 本棚に近付いて、収められてる本のタイトルから会話の繋ぎにしようとかと思ったのですが・・・。


「 『闇魔法大全』、『闇魔法とは』、『初級闇魔法を使いこなすには』、『闇魔法使いは光魔法使いには勝てないのか』。うん・・・、勉強熱心なことは、伝わってくるね」


 と言うのが精一杯でした。イドルもよく出来ました的な視線を投げかけてくれてるので悪くはない対応だった筈ですが、評価判断をポーラではなくイドルの方に求めたことで拗ねてしまったようです。


 えええ、これどうしたらいいの?と思っていたら、ドアがノックされて、メイドさん達が入ってきて、その内の一人が黒髪でした。黒目では無かったけれど、ポーラの前に進み出て膝を折り曲げて一礼して言いました。


「ポーラ姫様。よくぞご無事で戻られました。方々でご活躍されたとも聞き及んでおります」

「アザーディア・ウィキッド!あなたこそ、大丈夫だったの?!」


 どうやら、ポーラ付きのメイドさんだったのでしょうか。二人は親しげな様子に見えました。


「あのタミル王子、いえ僭王になってましたが、私はポーラ姫に対する、数少ない人質足り得る者でしたからね。監禁こそされていましたが、食事なども与えられておりましたし、特に酷い仕打ちも受けずに済みました。これもそちらのカケル様がポーラ様と共に、後ろ盾であったイルキハを砕いて頂いた結果ですね。

 私を、ポーラ姫を、そしてキゥオラをお救い頂いた事に、心の底から、御礼申し上げます」

「いえ、ぼくもポーラには助けられてるので、お互い様って事で、気にしないで下さい」

「わかりました。謙虚な方なのですね。それはそうと、大事な事を伺ってもよろしいでしょうか?」

「答えられる事なら」

「お二人とも、娶られるおつもりなのでしょうか?」

「へっ?」

「先ほどの謁見の間でのお話からすると、イドル姫の御身だけでなく、マーシナの危地までも救われてきたとなれば、当然の流れではありませんか?いえ、イルキハの新女王となられたリーディア様もそうだと聞いたので、お三方とも娶られるのでしょうか?」

「アザーディア!あなた、遠慮が無さ過ぎるわ!」

「おや。貴族的な迂遠なやり取りを嫌われるポーラ姫様とは思えないお言葉。あなたのお世話を長年勤め上げるには、遠慮などという言葉は忘れ去るしかありませんでした。どのようなやり取りが、この部屋で、毎日毎晩、繰り返されていたのか、カケル様にお伝えしても?」

「止めて!それだけは、お願いだから!」

「では、ポーラ姫様からお聞きしましょうか。カケル様をお慕いしておられますか?」

「う、それは・・・、うん。そうだよ。何か悪い!?」

「いいえ。色恋など下らない。私は魔法の研究と研鑽に一生を費やすのだと言っていたポーラ姫様が恋する乙女になるなぞ、この私めも夢想だに出来ませんでした。申し訳ございません」

「あなた、失礼過ぎない?」

「以前からこんな感じだった筈ですが何か?」

「それは、そうかも知れないけど、でも!」

「はいはい、それではポーラ姫様はそうだとして、イドル姫様は?」

「私も、カケル様を心の底からお慕いしております。喪に服す期間を空ける必要はあるにせよ、他の誰にも、私の残る生涯を捧げるつもりはありません」

「これはこれは、これ以上無い真っ直ぐな愛の告白をありがとうございます。ポーラ様、せいぜい危機感を抱いて、魔法の研究の一割の関心と労力でも、女らしさの追求に傾けて下さいませ。いえ、十割傾けたところで到底足りないかも知れませんが。せめて二十割は傾けないと、既にある差が埋まっていく事も無さそうですが…」

「二十割って…」


 気心の知れた主従のじゃれ合いは見ててほのぼのとさせられましたが、宰相の遣いの人が来て、別室へと案内されていきました。


 王族のプライベート区画にある、おそらくは家族団欒用の一室なのでしょう。かつてここでイドルはその婚約者であったアルクスとも語らっていた時がある筈で、部屋の様子を見て懐かしそうでいて辛そうな、そんな表情が浮かんでいました。

 イドルは、ぼくの視線に気がつくとそっと寄り添い、あなたがいれば大丈夫ですから、と囁いてくれたので、その場でぎゅっと抱きしめたい衝動に駆られましたけど、大丈夫です。

 ポーラのご両親や宰相さん達がぼくらの様子を観察していたし、ポーラ付きのメイドさんがさっきの会話内容の要旨を彼らに耳打ちして、壁際へと下がりました。


 お茶の準備とかもされて、それぞれが着席し、王様からカップに口をつけ、お茶会というか報告会が始まりました。


 ポーラからはさっきのおさらいに加えて、王様や宰相からの質問を受けて答えていき、イドルも同様の手順を踏み、クーデターが起きた日から今日までにあった出来事をおおよそ伝え終えたら、表向きに話せる部分は一旦お仕舞いです。

 ここからは内密なお話とポーラから伝えてもらい、書記官の人や給仕の人達にも退出してもらいました。アザーディアさん一人を残して。


「一番気になってるのが、カケルって何者なの?って事だろうけど、それは本人から聞いて。信じられない事もあるだろうけど、私も一緒に体験してたりするから、信じて」

「わかった。ではカケル殿、話して頂けますかな?」


 ぼくは頷き、なるべく簡潔に話すよう努めました。この世界からすれば異世界になる元の世界や、自分がかかっていた病気の事もぼくは全部理解していた訳ではありません。

 なので、だんだん動けなくなる不治の病でほぼ十年を寝たきりで過ごした後、ようやく死ねて苦痛から解放されたと思ったら、この世界の神様に拾われて、ランニングというユニークスキルを与えられ、走っていけばいくほどに強化されていき、今では音速を超え、数十kmを一瞬で移動したり、結界などをすり抜けたり、世界中のどこにあってもそれが必要な存在なら方角と位置を割り出せたり。


 ポーラや、イドルも時々合いの手を入れてフォローしてくれたので、作り話ではないものの、普通なら到底信じられないよね、って視線を王様達は交わしていました。信じてくれたみたいですが。


「全ての結果が伴っているのだ。疑う余地も無いが、そうか、唯一神様が」

「土地枯れの原因もそこにあるとするなら、カケル殿への負担が過大になりますな」

「はるか遠くの大陸まで行かれて、そこで食糧を得るにしても、手が足りるのでしょうか?」

「私や眷属は、互いのいる位置へと影渡りで移動したり、影空間を繋げたりも出来るから、収穫や輸送なんかは私が手助け出来ると思うわ」

「それら全てが人類全てに貢献する偉業と称えられるべきものですが、得た食糧をどのように配分すべきなのか。ドースデンに一括して渡して対価をどのように得るべきなのか、詰めるべき事は多そうです」


 宰相の方が、立派な顎鬚を扱いて考えに耽りました。こういうお髭、かっこいいよね!


「まあ、どっちにしろ一箇所だと賄いきれないらしいし、あちこち巡る必要もあるので、なるべく早く出発して、現物を手に入れて融通可能にしないと、話せるものも話せないし、交渉なんかも進まないと思うんです。

 だから多分、明日にはマーシナに行って、そのまま出発しますけど、残る皆さんにはその間にどうドースデンを抑え、カローザやガルソナやミル・キハにも何をどう伝えるか伝えないか、決めておいて頂きたいんです。

 ぼくは走ったりすることは出来ますが、それ以外は基本的に普通ただ子供がきなので」


 お前みたいな普通の子供がいてたまるか的な視線をいくつも受けましたが、まあ正直な自己評価というか感想なので。


 王様がボソボソと宰相さんと内緒話をした後、宰相さんは少し渋い顔をしましたが、頷くと、王様が問いかけてきました。


「キゥオラ王都から、マーシナ王都まではどれくらい離れていて、カケル殿ならどれくらいで行って帰って来れるかのう?」

「ええと、少しお待ち下さい」


 サーチを起動。念じるだけでワールドマップにマーシナ王都のカーソルが表示され、方角は南南東、距離は350kmくらいでした。

 今のレベルが69で、ショートワープ分を含め、一時間でレベルの数の倍の距離進めるなら・・・、69x2で138km、70x2で140km、71x2で142km。最後ショートワープだけで十分ですね。


「おおよそ350kmなので、二時間くらいで着ける計算になります」

「いやはや、凄まじいですな」

「では、私と妃とをマーシナの王都まで同行させて頂けませんぬか?」

「可能と言えば可能ですけど、その、大丈夫なんですか?」


 何が、というのはあえて言わずに宰相さんを見たけど、苦笑されただけでした。


「安全性なら、ポーラやイドル姫をここまで連れ回してきた実績が保証してくれているだろう。留守も、宰相が残っていればしばらくは」

「なんなら今日これから出発すれば夕食時くらいには着けるかと。そのまま向こうで一泊して、向こうを朝に出れば、こちらの昼前には帰って来れますが」

「ううむ、感覚が狂うが、このような機会は二度あるかどうか」

「状況が落ち着いた後なら、どこへでもお連れできますよ」

「そうだがな。盟邦と言えるマーシナ王家へ、わしと妃とで向かい、一連の騒動への謝罪と、これからの対応を直に相談しておきたいのだ。これを普通の馬車で移動という事になれば、好機を逃してしまう事になる」

「ぼくはいつでもどのようにでも動けるので、いつ出発するかだけ決めて頂ければ」

「うむ、では手土産を見繕うなどするのに一時間ほどくれ。その間、ポーラもイドル姫もカケル殿も手短とはいえ旅の垢を少しでも落としておくと良い」


 まあそんな一言があったおかげで、小姓さん達(とは言っても自分よりは少し年下くらい)の何人かに浴場に強制連行され、いろいろ文句を言われながらも丸洗いされました。(文句というのも、なんでこんなになるまできっちり洗わなかったんだ!?、って感じのものだったので、ひたすら謝ってました。そしたら恐縮されてしまいましたけど)


 洗濯乾燥まで30分の超特急コースに叩き込まれた後は、お城の古着ストックから着替え服の選定です。イドルが主導しポーラが意見するという感じで、その脇でぼくはメイドさんたちに髪やお肌の手入れを受けて、時々着替えてましたが、最終的なコーディネートが確定したのは、出発の五分前でした。

 女性の買い物は長いと、いろんなラノベやアニメや漫画とかでくどいほどに教え込まれてきましたが、あれは間違っています。ただ、こだわる対象が人によって違うというだけで。ポーラもお姫様という属性を持つ女性ですが、服装に関してはかなりズボ・・、いえ、好きな服装を好きなように着ていたそうです。ポーラ付きのメイドさんが、お嬢様が服装に関心を持つだなんて、と目端の涙を拭うそぶりをしていました。


 王様や宰相達もギリギリのスケジュールで動いてたようで、文官さん達と共に、マーシナ王国へのお詫びの品などをポーラの影収納にポイポイと放り込んでいきました。

 そして、さすがに、キゥオラの王様と王妃様だけを遣わすのは体面が酷すぎるという事で、文官と武官が三名ずつ、マーシナから駐在している大使の貴族の方も呼ばれ、その人とイドルの涙の再会な場面もありましたが、七名の追加乗客を加えて、列車ごっこは出発しました。

 いつもと違うのは、自分のすぐ後ろにいるのが、ポーラではなくイドルという点でした。名目としては、自分の両親の間に入って二人に何かあってもフォローできるように、ということだったけれど、


「私が譲ってもらったんです。この後しばらくは、一緒に空を駆ける機会はお預けになってしまいますから」


 そんな事を少し寂しそうに言われたら、ねぇ?

 イドルを思わずギュッと抱きしめて、抱きしめ返されたら、ポーラからの抗議の声はスルーして空に駆け上がりました。


 最初は歩くくらいの速度で、お城の上空へと段々と高度を上げていき、パニックに陥ってる人がいないことを確認して、上限速度へと達したら、ショートワープを起動。

 一気に69km先へと転移して王都ははるか後方に置き去りにしたのですから、王様達も大興奮です!ポーラが二人を宥めるのに大活躍してました。

「エーネ、見よ!王都がもうあんな小さく!」

「ルッス、見て!私の故郷の町が一瞬で見えてきてしまったわ!」

「二人とも、はしゃぐのはいいけど、ロープからは絶対に手を離さないでよね!あと、足も絶対に止めないでよ!後ろが大変な目に遭うんだから!」


 まあ、今がこんな状況でなければ、もっとゆったり遊覧旅行みたいなことも好きなだけ出来るんでしょうけど。


「いつかまた、カケル様と二人きりで空を旅したいですね」

「生きてれば、これからいくらでもそんな機会はあるよ」

「そうですね。その日が来るのを心待ちにしております」

「ぼくもだよ」


 列車ごっこの最中にイチャつくのは難しいのです。

 自分が止まってしまうと続いてる全員も強制停止してしまうし、完全に立ち止まると全員自由落下を始めることになってしまうから。

 それを知ってるイドルがしてくれたのは、ただほんの少しの間、ぼくの背中に彼女の掌を当ててくれただけだったけど、それでも暖かな気持ちが伝わってきたし、これからも頑張ろうと思えました。


 超加速やショートワープを挟みながら、二時間ほどでマーシナ王国首都上空に到着。直に王宮に突撃することをイドルは当初提案していたのですが、さすがにワンクッション挟む事にしました。

 キゥオラの宰相さんからの書状を持たされたドロヌーブと近卒の眷属たちが、王宮正門の番兵さんの前に影渡りで現れ、手紙を渡し、ぼくらやキゥオラ王夫妻が上空にやってきている事を伝えてもらいました。


 それから緩やかな速度で王宮の庭園へと降下していきました。

 書状にはそうする旨も書いてもらってあったので、警護の兵士さん達がわらわらと集まってきたものの、攻撃される事は無いまま、無事に着地できました。

 在キゥオラ大使の貴族の人が兵士の隊長らしき人へと走って行っていろいろ告げると、兵士さん達の動きは慌ただしくなり、戻ってきた大使と隊長さんに、王宮内部へと案内されていきました。


 客室に到着する前に、一人の中年女性がイドルに駆け寄ってきて抱き締めました。その後ろから現れた壮年の男性は、王冠は邪魔になるので手に持って走ってきたようです。脇腹押さえて苦しそう。


「イドルっ!ああ、イドル!良く戻ってきてくれました!神様、あなたに無限の感謝を捧げます!」

「お母様。お出迎えありがとうございます。カケル様とポーラ姫様に助けられて、戻ってくることが叶いました。キゥオラ王ご夫妻もいらしてますから、まずはお客様の紹介から済ませてもよろしいですか?」

「ええ、ええ」


 イドルがどのような目に遭わされたのか、いろいろな憶測混じりの話も聞かされてきたのでしょう。それでも立ち直っている姿を見せているイドルを前に、ただもう一度抱きしめて身を引きました。


 久しぶりに走ってきたのであろうマーシナの王様は、脇腹を押さえつつ息を整えてから王冠を頭に乗せ、イドルの肩を軽く抱いてから、進み出たキゥオラ王と王妃に向き合いました。


「お久しぶりでございます。マーシナ国王グルゼイユよ。壮健そうで何よりだが、まずは心よりのお詫びを」

「申し訳ございませんでした」


 キゥオラ王夫妻の謝罪を、マーシナ王夫妻は、下げていた頭を上げさせて、固辞しました。


「凶事は確かに起きた。そこで後継者たる愛息子を喪ったのは其方達の方だ。その後も幽閉されていたと聞く」

「西岸諸国、カローザやガルソナやイルキハやミル・キハの思惑と策動が絡んでいたとしても、息子達の間の争いが、其方らの愛娘に苦難を与えてしまった」

「しかし、ここにこうしているという事は、一連の政変の動きは解決されたのであろう。積もる話もあるだろうが、まずは部屋へ。そこでゆっくりと話を聞かせて欲しいが、その前に」


 マーシナ国王夫妻が、ぼくとポーラの目の前にやってきて跪きました。


「あなた達がイドルを救い出すだけでなく、ガルソナから侵入して略奪を繰り返していた蛮兵どもを駆逐されたという早馬が、ボツボツと届き始めておりました。マーシナ王国を代表して深く御礼申し上げる」

「言葉には尽くせぬ感謝を捧げます」


「あの、ええと、とにかく」

「お父様、お母様。カケル様は奥ゆかしい方なのです。いろいろ込み入った事情もお持ちなのですが、万人にそのまま明らかにするのも差し障りがある為、全てを知っても問題の無い方だけ集めて頂けますか?」


 あわあわと戸惑っていたぼくに寄り添ったイドルの姿で、お二人は何かを感じ取ったらしく、家臣の皆さんにいろいろ指示を出して、一旦別れました。が、名残惜しくこちらを振り返っていたイドルのお母さんの姿を見てしまったから、イドルに提案しました。


「イドル。こっちはたぶん大丈夫だから、お母さんたちと一緒にいてあげれば?」

「・・・そうしてあげたくなくもないのですが、母は涙脆い人でもあります。私の身の上に起きた事を聞かされるだけで数日は泣き崩れるでしょう。今夜一晩なぞきっと離してもらえません」

「でも」


 イドルはぼくの腕に縋るように服の袖を引きながら小声で言いました。


「明日には、カケル様と別れなければなりません。しばらくは離れ離れの日々が続きます。カケル様が発たれた後であればいくらでも母にも付き合いましょう。しかし、今は」

「じゃあ、どうせすぐ後で合流するだろうから、それまでなら?」

「わかりました。では、また後で」

「うん、またね」


 イドルは少し離れたところで待つように立っていたお母さんのところに走って行き、二人はまた抱き合ってから、どこかへと向かいました。


 キゥオラ国王夫妻の突然の来訪とか、それだけでも一大事でしょう。そこに、行方不明になってた王女や、ぼくやポーラといった扱いの難しいだろう賓客?まで混じり、どういった対応をするのが正解なのか、判断はさらに難しかったでしょうけど、一時間も待たずに、円形の小さなホールに案内されました。


 そこには夕食も準備はされていたものの、会食というよりは話し合いがメインで、とにかく全体として時間が無いのだという危機感が伝わってくれてる印象を受けました。


 その席は、マーシナ国王夫妻と、キゥオラ国王夫妻の挨拶から始まり、ポーラとイドル、それからドロヌーブなど適宜適切と思われる眷属が影の中から現れて説明の補足に加わって、キゥオラでクーデターが起きた後に何がどう起きて、ぼくやポーラやリーディアやイドルなどがどう絡んできたのかが語られました。

 ぼくの出番は後半ということで、ちょこちょこと食べ物を摘んで食べさせてもらってました。あ、マナーを知らないとかは予め伝えてもらってたので、そこは気にしませんでした。


 駆け足で説明しても30分はかかったその間にぼくは食事を終え、ぼくがしてきたことをダイジェストで(ポーラやイドル達が十分詳しい説明を終えてましたし)語り、これから何をしようとしているのかの方に重きを置いて話しました。


 チェックポイントでの神様との語らいの内容とかは全部話せないにせよ、ぼくのユニークスキルや出自なんかは伝えないと話が進まないので、必要最低限の情報だけ伝えました。


 開始一時間くらいでおおよその話が済むと、その後は、王家の皆さんとぼくだけが残り、最低限の給仕の人と護衛の人達も室外へと退去しました。


「まあ、なんというか、凄まじい、の一言だな」

「キゥオラ王都を午後に発って夕食時には着いてしまうのですものね。ミル・キハからイドルを救い出したその足ですぐに、ガルソナから侵入してきた傭兵達をマーシナ南端に至るまで駆除して行けたというのも頷けます」

「ミルガンもオーティアも、一度体験させてもらっておくといいぞ。人生が変わる」

「そうですわね。音の速さを超え、数十里を一歩で踏み越え、雲の高みの空を駆ける感覚など、夢見る事だけが普通は許されますから」

「・・・頼めるかな、カケル殿?」

「はい。出来ると言えば出来るのですが、数十kmを一歩で移動するスキルは一時間に一度しか使えず、明日朝にはここを発って、キゥオラ国王夫妻を王都まで送る予定なので、ただこの王都の上空を駆けるくらいであれば」

「お父様、お母様。いずれまた味わい楽しめる時は遠からずやってくる筈ですから、明日はその触りだけで我慢して下さいませ」

「イドルはもう何度も味わってきたのでしょう?楽しかった?」

「はい。それはもう。カケル様から助け出される時に、その手を取るかどうか悩みはしましたが、そう決意して大正解でした。私のこれまでとこれからの人生で、一番の」


 イドルはにこりと微笑み、そのご両親も意味深な視線を交わした後、マーシナ王がイドルに尋ねました。もう何となく伝わっているけど、はっきりと言葉にもしておいてもらいたかったのでしょう。


「イドル。お前は、カケル殿に嫁ぎたいと望んでいるのかい?」

「はい、お父様。私に起きた全てを伝えた上でも、カケル様は私を受け入れて下さいました。アルクス様や、私の身の上に起きたことは確かに不幸でしたが、乗り越えていかねばなりません。

 先日駆除したガルソナの傭兵たちは尖兵に過ぎません。食糧難が続く限り、ドースデンは動かざるを得ません。マーシナ一国で彼らの胃袋を満たせはしないと分かっていても。

 カケル様は、唯一神より啓示を受けて動かれています。明日キゥオラ国王夫妻とポーラ姫を王都に送り届けた後、万里の彼方にまで向かわれ、その地にあるという食糧を確保される予定です。

 当然、一箇所だけでは難しいので、方々にあるだろう別の地点にも向かわれる事になるでしょう。

 私やマーシナの民を救っても、ガルソナの兵を駆逐しても、何も誇らず、驕らず、対価も求めず、ただ己の心の向くままに動かれるカケル様に私は心惹かれました。お慕い、いえ、愛しております。

 私は、一年の喪に服した後、カケル様に嫁ぎ、残りの生涯を捧げます」


 キッパリと言い切ったイドルを前に、ご両親は決意を翻すよう勧めはしませんでした。ただ小さく頷いた後、ぼくに向かって尋ねました。


「カケル殿は、イドルの意思を受け止め、残る一生をイドルと共に歩んで頂けますか?」

「喜んで。その日が来るのが待ち遠しいです」

「ありがとう、ありがとう存じます。カケル殿」


 イドルのお母さんがまずボロボロと涙をこぼし、イドルもつられて涙をこぼしたのだけど、涙を拭うと、キゥオラ国王夫妻に向けて頭を下げて言いました。


「婚約者を喪ったばかりですぐ次の嫁ぎ先を見つけるなど、世間からどのように謗られたとしても、私の決意は揺るぎません。どうか、お許し下さい」

「どうか頭をお上げ下さい、イドル姫様。あなたに何の落ち度も無かった。マルグがあなたを諦めきれなかったのも、イドル姫の責任ではない。マルグにのみあり、愚かな息子はその命を落とすことになりました。どうか、カケル殿と幸せにおなり下さい」

「そうですよ。あなたが輿入れしてきたら、新たな可愛い娘が出来ると楽しみにしていたのに、諦めさせられたと思ったら、カケル殿はまた引き合わせて下さったのですからね」


 えっと、それってどういう意味ですか?、とぼくは頭にはてなマークを浮かべてると、ポーラのご両親が、ポーラを促しました。


「ほれ、出遅れている場合ではないぞ?イドル姫よりも早く出会い、長く旅路を共にしてきて、気持ちを既に伝えてもいるのであろう?」

「そうですよ。イドル姫といい、リーディア女王といい、女性としてあなたよりもずっと格上なのですからね。せめて心持ちくらいは一番を示せるよう努力なさい」

「わ、私だって・・・、誰にも、負ける気なんか無いわ」

「だったら、ここで、カケルにちゃんと求婚なさい」


 イドルに退路を断たれたポーラは、顔を真っ赤にして、しばらくウーウー唸ってましたが、やがて決断して顔を挙げましたが、顔どころか耳の先まで真っ赤なままでした。(まあ比喩だけど誇張ではない程度には)


「私ね、カケルに最初に会った時、なんだこいつ、怪しい奴だくらいにしか思わなかった」

「それはそうだろうね」

「神様にもらったユニークスキルって言っても、最初は歩くくらいにしか早くなかったし」

「そうだね」

「武器や魔法を使って戦える訳でもなかったし」

「それは今でもそうだね」

「それでも、そんな弱っちくて頼りなく見えても、何度死んでも、殺されても、私を助けようとしてくれた」

「でも、それは」

「神様との約束事で、ずっとベッドの上で十年も動けずに、苦痛に苛まれ続けながら死を迎えた後に、決して諦めそうに無いからって、神様に拾われた。元気な体と、好きなだけ外を走り回れるユニークスキル。それしか、あなたは望まなかった。私や他の誰かを助けたのも、その都合があってのことだってのは理解してる。受け入れようと努力はしてるの」

「・・・・」

「武器も魔法も使えないカケルが、ほんのちょっと走れるくらいしか出来ないのに、自分よりもずっと強そうな兵士達に立ち向かっていくのを見て、すごいなって思ったの。絶対勝てそうに無いのに」

「ポーラの協力もあるなら、やりようはあるかなって思えたから、試せただけだよ」

「確かに私も少しは役立てはしたけど、決定的な働きをしたのはあなたよ、カケル。王都から脱出した後に追われた騎馬に乗ってた奴とか、あの時の私では勝てなかったろうし。もし捕まってたら、タミル兄のところに連れ戻されて、アガラさんに言われた未来が待ってたと思う」


 ぼくが最初のチェックポイントまでに辿り着かずに死んだ将来では、ポーラはその運命を辿ったのでしょう。たぶん。

 ここでは口にしないけど。


「それにね。オークの村で眷属を増やした時にも、あなたは幼いオーク達を見逃そうとした。アミアンの地で暴れた盗賊団を成敗した時も、首領のハーボの相方の女性はアンデッドにしないよう私を止めた。オークの村長や、ハーボは、今でもあなたに感謝し続けている。隷属しているのは私に対してだけど、感謝の念を向けているのはあなた。

 そんな風に、どこまで深く考えてるかはわからないけれど、ほんのひとかけらでも優しさを失わないのがあなたなの。イルキハの千人の兵を蹴散らした時も、なぜかリーディアを見つけて拾ってきたし、あれはイルキハの王族や民にとって、とても大きな違いになった筈」

「リーディアは、偶然だよ。なんとなく見つけて、そうした方がいいかなって連れ去っただけで。オークの村長が息子夫婦やその子や他の幼い子供達を守ろうとしたのも、ハーボがポワゾには生きてて欲しいって思ってたのも、何となく伝わってきて、そのくらいなら尊重してあげられただけで」

「でもね。闇属性の魔法使いには、そのほんの少しの違いが、大きな違いをもたらすの。黒髪黒目の忌み子なら尚更。なんでかって言うと、その力の性質から、闇や死にどんどん引っ張られて、普通の人間としての生活に意味を見失っていって、誰をどれだけ殺しても、どれだけ眷属を増やしても、何も感じなくなっていくの」

「ポーラ・・・」

「まだ大丈夫よ。あなたが私と共に在る限り。時々は離れ離れになるくらいなら耐えられるから」

「本当に、平気なの?」

「ええ。典型的な闇魔法使いの末路って、特に強い力を持つ者であればあるほど、影の中に潜って、そっちでずっと過ごすようになるの。誰も邪魔者は入って来ない、聞きたくも無い雑音は聞こえて来ない、必要な物は必要なだけ他のどこかから好きなように奪い、影の空間に収納しておける。そんな生活を続けていったら、どうなると思う?」

「どう、なるの・・・?」

「いくつかのパターンがあるけど、消息不明になって忘れ去られるのも多いし、人で在ることを辞めてアンデッドになって永劫に影の中を彷徨うことを選んだ者達もいるそうよ。歴史上には、そんな誰かが大きな被害をもたらして討伐された記録がいくつもあるそうね」


 ぼくが読んだことのあるラノベとかでも、そんな末路を辿った主人公や登場人物たちはいた様に覚えてます。


「でも、ポーラはそうならないんだろう?」

「もちろんよ。私がなりたいのは、人ではなくなった誰かではなくて、あなたの隣を、お、お、お嫁さんとして、歩ける誰かだもの!」

「そうなんだ」

「そうよ!確かに私はリーディアみたいに光り輝くような外見じゃないし、イドル姉みたいな女らしさも無いわ。でも、世界中の誰よりもあなたの傍にいれるし、すぐに駆けつけられるし、これからの食糧探しや採集や運搬に関してだって、私は他の誰よりも手助け出来る。カケルが留守の間の各地の警戒とかだって同時にこなしてみせる」

「そうだね。どれも、ポーラとその眷属達にしか出来ない事だね」

「だから、だから、私をカケルの一番にして!」

「ポーラがぼくの一番というのにどんな期待をしているかはわからないけど、ぼくの一番はたぶんポーラしかいないだろうね」

「えっ、それは、どうして?」


 ポーラ自身も、イドルも、二組の国王夫妻も驚いてたけど、答えは単純なのです。ぼく自身が単純な存在だからね。


「これは例え話で、神様からもそんなことはしないって言ってもらってるけど、ぼくがユニークスキルを失って走ったり出来なくなっても、ポーラなら今と同じ感じで接してくれそうだから」

「そんなの、当たり前じゃないの!カケルだって、私が闇魔法を使えなくなったって、それで離れていったりしないでしょう?私を捨てたりしない、よね?」

「するわけがないよ。ポーラはね、普通の、少し可愛い、黒髪黒目の女の子だからね。闇魔法は、たまたま使えるだけ。闇魔法が使えなくなっても、ポーラがポーラじゃなくなるわけじゃないもの」


 ポーラは、瞳を潤ませたと思ったら、唐突に抱きついてきて言いました。


「好き!カケルのこと、大好き!カケルは、私のこと、好き?」

「好きだよ。だけど、同じくらいかどうかは自信無いけど」

「もうっ!ここはもうあなたから私にプロポーズする流れだったでしょう?!」

「そういうのはもう少し待って、ってこの間言った通りだよ。ぼくはずっと寝たきりだったし、中身はほとんどまだ子供のままなんだ。神様の恩恵で、たまたままた動けるようになっただけの」

「私は、今すぐにでも、カケルのお嫁さんになりたい。カケルは、いつになったら、私と結婚してくれるの?」

「イドルと同じくらい待つ必要は無いだろうけど、せめて、当座の食糧の当てをつけて、この大陸がこれ以上酷い事にならないよう、目処がついてからにしたいかな」

「それこそ、いつになるかわからない可能性だってあるじゃないの」

「そうなんだけどね。レベルが100にまで上がれば、あとはサクサク進められると思うよ。レベル100も今回の旅に出発すれば数日で到達できるだろうし、だから、数ヶ月もかからないんじゃないかな。たぶん」


 この場にいるみんながポカンとした表情を浮かべましたが、ポーラが一番先に再起動がかかりました。


「ふふっ、さすがは私の将来の旦那様ね!じゃあ、それまでに根回しとかを終えておかないとね!」

「出遅れてしまいましたが、そうですね。むしろ根回しの方が間に合わない事態さえ起こるのかも」

「まあ、たぶん世界中を走り回ってくることにはなると思うから、それなりに日数はかかるよ。だから焦らないで進めておいて」


 夜もそれなりに遅くなってきたので、二組の国王夫妻から先に寝室に引き取ることになりました。王様は王様と、王妃様は王妃様と、それぞれの二回戦というかに臨む感じで出て行きましたが、まあそこら辺は好きにされて下さい。


 で、ぼくら三人はこれまでも一緒に野営とかしてきた仲で今更ではあるのですが、王宮の庭園が見渡せる一室に移動。そこに横になれる長椅子を三つ運び込んで、メイドさん達を何人も見張りに付ける事を交換条件に、今夜も三人で過ごすことが許されました。


 月明かりに照らされた庭園は、様々な幾何学模様の形に刈り込まれた植え込みや池や噴水とかが散りばめられていて、とても綺麗でした。

 イドルは、その庭園の見所をいくつも教えてくれましたが、それらが一息ついてから、ポーラに幾分恨みがましく言いました。


「ポーラ。さっきのは、ずるいです」

「ずるいって、何が?女らしさとかで言えば、私とイドル姉なんて比較にならないでしょうに、どっちがずるいのよ」

「そういう外見的な何かだけでカケルが判断するような誰かならともかく、そうではないでしょう?」

「まあそうだろうけど、だったら何がずるいって言うの?」

「せっかく私がいい感じに盛り上げて、有無を言わさず両親にも結婚の承諾を得たと言うのに、あなたが全部掻っ攫っていった感じになってしまったではありませんか」

「あー、あの一番かどうかとかの?」

「その前です。カケルがその恩寵を、ユニークスキルを失っても変わらないでいられるかどうか。口では、何とでも言えます。婚姻の儀式での誓いも似たようなところがありますしね。

 でも、本心でそう言い、実際に守れる人ばかりではないでしょう」

「それはそうだろうけど、まだ何がずるかったのか分からないんだけど?」

「カケルの場合はそのユニークスキル。ポーラの場合は闇魔法。

 なら私の場合は?」


 自分もそこまで考えて話していませんでしたが、ポーラにも、何がずるかったのか分かったようです。


「あなた達のそれと比べるのなら、私の容貌なり人となりなどが、天の賜物とされるのでしょう。実際、多くの人からそう言われて、それはそれで少なからぬ苦労もさせられて来ましたから」

「ごめん、イドル姉。そこまで気が回ってなかったというか、そんなつもりじゃなかったというか」

「ぼくもだよ。ごめんね、イドル」

「私がこの容貌を、人から讃えられたり羨ましがられたりする外見を傷付けたり失わせたりすれば、二人の例えに近くはなるのでしょうけど、その例えを私が持ち出すのは卑怯だとは思いませんか?」


 卑怯、なのかな。そうかも知れない。

 よく分からないけど、そう感じました。


「外見など、齢を重ねていくにつれて衰えていってしまうものに過ぎません。恋に年齢など関係無いという輩もいますが、老婆に言い寄られて喜ぶような若者はいても極小数でしょう。逆もまた然りです。そんな、いずれ衰え、枯れ萎んでしまう何かでしょう。

 それでも、私の人となりの大切な一部です。わざと損なうようなことはしたくありません。カケル様から命じられてさえ、躊躇うでしょうね」

「そんなことは間違っても頼まないよ。絶対」

「だからこそ、そんな例えを持ち出すことが卑怯と、ずるいと言ったのです。もうあの場では終わった話ではありますが、これからの私達に密接した話でもあります」

「それは、どうして?」

「東岸諸国を統一したドースデンと、マーシナやキゥオラなどの西岸諸国の行末を左右する食糧調達を、カケルは捜索を、ポーラは運搬を担当できたとします。

 その圧倒的な貢献度に比べて、どうしても、私や、リーディアでは、劣ってしまうのです。比肩する様な貢献は、どうやっても、出来ません」

「でもマーシナで生産可能な農作物が、これから数年の下支えになるんだから、地味かも知れないけど、功績なんて比べられるものじゃ無いんじゃ?」

「そう言って下さるカケルは本当に得難い人ですね。でも、東岸地域の土地枯れはさらに深刻さを増し、西岸地域でも発生割合は増えていくでしょう。そうなれば・・・」

「そこも、少しは当てがあるかも知れないから、まだそんな焦らなくても大丈夫だよ」

「え?それは、どういう事ですか?」

「異世界ならではの肥料というか、土地とかを癒す効果を持つ何かを試したら、ある程度は効果を望めるんじゃないかなって」

「それは、ドースデンが帝国となるずっと前からも、マーシナでも他の国々でも、試されてきた事ですよ。しかしどんな肥料でも農法でも魔法でも、土地が枯れる現象そのものはどうしようも出来なかったのです」

「うん。ぼくも、農業とかに詳しい訳じゃないから、これまでに頑張ってきた人達の努力とかを否定できるような立場にはいないけど、神様のユニークスキルから生まれた『サーチ』だよ?

 これまでは世界中の他の誰にも見つかって無かった存在でも、それが存在さえしていれば、ぼくが必要だと感じれば、どこにあるかは分かって、ぼくはそこに辿り着ける力を与えられてるんだ。

 そして見つけられさえすれば、後はポーラやその眷属達と協力して、なんとでもできると思うよ。実験とかはマーシナに協力してもらえると早いかもね。ドースデンも最初から参加したがるだろうけど」

「緊急度は彼方の方がだいぶ高いですしね。しかし、その、どうにか出来そうな何かは、もうサーチしてみたのですか?」


 まあ、ここまで期待をもたせて、実は反応が無かったとか、超ド顰蹙ひんしゅくですよね。百年の恋も醒めるとかって類かも知れません。

 そんな眼差しで見られたら変な性癖の扉も開いてしまいそうですが、幸いそちらに興味関心はありません。

 つまり、もう試してあった訳です。

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