第1話 風雅の都

 藍彩王国あいさいおうこく王都風雅の都は水蘭帝国の帝都【薄明】で起きた化け物が人を食い殺したあの出来事から逃げて生き延びた人達と化け物である【黒煙】を殲滅する為の部隊【黎明隊】によって水蘭帝国の帝都【薄明】から救出された人達が暮らしていた。

 そんな藍彩王国あいさいおうこく王都風雅の都から少し離れた所にある高台に位置した白と黒色の二色でデザインされた大きな建物が黎明隊の所在地であった。


「ではこれより水蘭帝国の帝都。薄明にいる今尚、捕らわれた者達の救出作戦の出動メンバーを発表する」


 任務遂行会議が行われている会議室に黎明隊隊長の影虎大和の通った声が響き渡る。

 私、鈴代凛華は隊長大和の次の発言を息を呑み待つ。他の黎明隊の者達も真剣な顔で大和を見つめていた。


「水蘭帝国帝都、薄明救出作戦の出動メンバーは天野蘭、久我恭介、鈴代凛華、朝霧正宗、そして私、影虎大和の5人のメンバーで出動する」


 名前を呼ばれた私含む黎明隊員達は大和からの発表を聞き終えてすぐ、敬礼をし『御意!』と返答する。

 会議が終わり、部屋を後にしようと歩き出そうとした時、同じ黎明隊の先輩である久我恭介から声をかけられる。


「凛華、今回は前回よりも危ない任務になりそうだが大丈夫か……?」

「はい、大丈夫です。前回はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

「ああ、それはもう気にするな。まあ、大丈夫なら良いんだが。じゃあ、また明日な」

 

 恭介は凛華にそう言ってから会議が行われていた部屋から出て行く。

 私はそんな恭介先輩を見送ってから思う。

 恭介先輩は私が前回の任務で化け物と対面した際、過去の出来事がフラッシュバックし、過呼吸を起こしてしまったから心配しているのだろう。


(もう二度と前回のような迷惑をかけないように訓練を積んだからきっと大丈夫)


✴︎


 水蘭帝国の帝都薄明に向かう為、風雅の都を発つ当日の朝。

 出動メンバーである黎明隊〈天野蘭、久我恭介、鈴代凛華、朝霧正宗、影虎大和〉達は風雅の都に残る黎明隊員達と王都風雅の都にいる人々に見送られ、藍彩王国あいさいおうこく王都風雅の都を出発した。

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