WHにおける基本設定

龍之世界

第1話 創世神話と希望のかけら

 時が動き出すよりも前。そこには上位存在とされる膨大なエネルギー態があるだけだった。そんな中、その上位存在の中から形を持つ“世界”が生み出された。エネルギーは存在するといってもそれらは無規則なグループに分けられており、その中の1つがこの世界を創造したのである。なぜこんなことが起こったのか。形がないとはいえ、上位存在とは確かに存在しており、存在するものはみなより安定したものへと変化しようとする。原子が不安定な自らを安定させるために、電子を取り込んでイオンとなることに似ている。しかし、上位存在にとってはこうした安定した存在になるためには外側ではなく内側のエネルギーを利用した方が効率が良かったのである。そんな世界の中には後に生命が誕生する。生命はさらに進化し、多くの種が生まれていった。進化を続けた生命の中から高い知性をもった種族である“人類”が誕生する。この世界を創造した上位存在はこの生命というシステムに惹かれ、自らもまた生命ある存在へとなり、人類の前に降臨した。人類は文明を発展させ、その中でこの世界を生み出した上位存在を当時の宗教的概念における最高位である神から自分たちの前に降臨した真の神であるとして“真神”と呼んだ。そしてこの世界を創造し、自らもまたこの世界に降臨した真神は自らを“ルガール”と名乗り、以降この世界のために人類たちと協力して行動していくことになる。

 世界を創造する前、単なるエネルギーに過ぎなかったルガールはそれ故に滅びることもない永遠の存在だった。しかし世界を創造し、自らもまたその世界の中に生命あるものとして降臨したルガールは周囲の生命と比べれば遥かに永い寿命を持ちながらもそれには限りがあることに気付いていた。自らが消えることを恐れたルガールは己の力を凝縮し、第一の神器を呼ばれるようになる命の神器ガルマーノを生み出した。さらにルガールは人類の女性との間に子をなした。子供は男女の二人であり、このうちの女児はよりルガールの真神としての力を濃く受け継ぎ、後に女神ルベールと名乗るようになる。また、男児ヴィクトルはより人に近く、彼によってアルル王国が建国された。

 アルル王国の建国に伴い文明もより発展すると、人類たちの間でとある考えが生まれる。誰もが幸せであり、自由で平等な場所を人類は“理想郷”と呼びあこがれるようになった。国王となっていたヴィクトルはこの理想郷を何とか作れないかと父であるルガールに打診、不可能だと言うルガールではあったが、人々の願いに耐え兼ね、第二の神器となる理想の神器ガルアデラを生み出す。このころになるとルガールの力もかなり衰えが進み、この世界へといきわたっていたその力は、また新たな形をとる。それは生命の持つ思いに感応して生み出された存在であり、一人は“希望”、もう一人は“欲望”の力を持っていた。彼らはそれぞれ名をレックス、カルラと名乗るようになる。

 ガルアデラが生み出されたことによっていよいよ人類の理想郷計画は本格化、ついにアルル王国のルストブルムにて最初の実験が行われた。しかし、実験は失敗。自由で平等という起こりえない事象を理想によって無理やりかなえようとした結果、何者もい続けることのできない無機質な場所へと変わり果ててしまった。実験の失敗によって王国内部でも悲観的な考えが広まり始める。そんな中で新たに“絶望”の力をまとった存在であるアジ=ダハーカが誕生し、暴れ始める。アジ=ダハーカは人々の恐怖や恨み、怒りといった負の感情を増長させ、世界中を戦乱に陥れた。そこで立ち上がったのがレックスとカルラ。二人はアジ=ダハーカに対して戦いを挑むも、カルラはその中で重傷を負ってしまう。そんなカルラはルストブルムに放棄されていたガルアデラに取り込まれ、そこで休眠を始める。

 残されたレックスはアジ=ダハーカに戦いを挑むも一歩及ばず敗北。彼の持つ希望のちからもまたこの時、粉々に砕けてしまった。これこそが後に“希望のかけら”と呼ばれるようになるものの正体である。対抗手段を失った人類は再びルガールに助けを請う。しかし、この時ルガールが生み出したものはアジ=ダハーカはおろかルガール自身すらも滅ぼしてしまうほどの力を有した第三の神器となる物。破壊の神器ガルゼノスだったのである。ルガールは自分の命もろともこの世界をリセットしようと考えたのだった。

 ガルゼノスの半ば暴走のような攻撃は世界を根本から引き裂くほどであり、これによって多くの世界戦が生まれることになった。また、アジ=ダハーカはこの世界の隙間に侵入し、深手を負いながらもなんとか逃げ延びる。ルガールはこの時に滅び去り、残されていた力は創世文字としてこの世界に力ある存在として散らばっていった。が、ルガール自体が完全に消滅したのではなく、ガルマーノの中のバックアップデータとして眠りにつき、そこから新たな生命の営みをしばし傍観することになる。ヴィクトルもまた、この攻撃で死亡してしまい、残された人類とルベールは協力してルストブルム神殿にてガルゼノスを封印、このことは“破壊の炎”と呼ばれるようになる。やがて世界線の隙間には属性エネルギーが満たされ、神流と呼ばれるようになった。

 一時的とはいえルガールの消滅により、それまで静観をしていた他の上位存在達もこの世界に降臨する。彼らはそれぞれにこの世界における目的を見出し、行動を開始する。各地に散らばった希望のかけらや創世文字たちは神流を通じて目覚めを待つようになった。

 ここから創世の地であるアルル王国で初めての希望のかけらがフィークスによって希望のちからへと覚醒したことにより、レックス復活の兆しが生まれ、世界の運命が動き出すのであった。

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