第13話

「ねぇ、夜叉って?」




何それって顔をして聞いてくる彩奈。




「ごめんごめん、夜叉ってのは暴走族でそのチームの名前だよ。さっきの双子も虎太郎もそのメンバーなんだ」

「暴走族…」

「そうなんだよ、もしかして怖い…?」




心配そうに聞く虎太郎。

まぁ普通の女子高生なら暴走族って聞いたら怖いって思うのは当たり前だ。

この学校にいる奴らは、入学する前から夜叉のことを知ってて入学する人がほとんどだし。




「怖くないよ!正直、びっくりはしたけど、虎太郎くんのことを怖いって思うことなんてないよ!」

「…よかったぁぁぁ!俺嫌われるかもってちょっと覚悟しちゃったよ」

「嫌うなんてありえないよ!せっかく友達になれたのに!」

「…見た目通りマジでいい子…」

「虎太郎が暴走族なんて見えないよな」




感動している様子の虎太郎を無視して彩奈に話しかける。




「うん!虎太郎くんが暴走族なんて想像もできないよ」

「えぇ!?それどういうこと!?喜んでいいのかわかんないんだけど!」

「そのままの意味だ、金髪だけどお前は暴走族には見えない」

「じゃあ何に見えるんだー!」

「俺にはゴールデンレトリバーに見える」

「え」

「あ、それ私もわかる気がする」

「え?犬?」




困惑している虎太郎を見て笑う。

そういう姿も全部なぜかわからないけどゴールデンレトリバーに見えるんだよな…。

なんでだろ、金髪だからかな…。




「まぁいいじゃん、怖くないって言ってくれたんだから」

「そうだな!嫌われなくてよかった!」




嬉しそうな虎太郎を見てなぜか俺も嬉しくなる。







…ほんとはこんな感情抱いていいわけないのに。

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