戦場とイケメン

第14話

彩奈が転校してきて1週間。

転校してきた日から俺らはいつも一緒に昼飯を食うようになった。





「今日購買行くんだけど彩奈も行く?」

「購買?行きたい!」

「まだ行ったことない?」

「そうなの!ちょっと気になってたんだ!」

「じゃあ一緒に行こ」

「うん!」





トイレから戻ってきた虎太郎と彩奈と3人で購買に向かう。




「多分めちゃくちゃ混んでるだろうから彩奈ちゃん突き飛ばされないように気を付けてね」

「え、そんなに混んでるの?」

「そうなんだよ、購買で売ってるパンがおいしくて安いから学生に人気なんだ」

「そんなにおいしいなら私も1コ買おうかな」

「女子も男子も関係なくほぼ戦争状態だからほんとに気を付けてね」

「わかった…!」




虎太郎がこの学校の購買について彩奈に説明してる。



確かにここの購買は戦場だ。

俺も週に何回か行くことがあるけど毎回人の多さに酔いそうになる。





「おいそれ俺が先に触ったやつだろ!!」

「買ったもん勝ちですー!!」

「それあたしの狙ってたやつ!」

「ここじゃ先に手に取ったやつのもんだ!」


ギャーギャーワーワー





昼休みになって数分経っているにもかかわらず、まだパンの奪い合いが行われている。

中には1つのパンを引っ張り合ってる奴らもいる。

しかも生徒たちの頭上をパンが飛び回ってる。




「うわー」




つい口から出た言葉。

この中に入るのは嫌だな…。

毎回のことながらだるすぎる。




「すごいね、これ…」

「そうだろ?これの為に体を鍛えてるっていう人もいるらしいよ」

「そうなの!?そんなにおいしいのか…」

「彩奈もあの中入る?」

「き、今日はやめとこうかな…」




苦笑いで言う彩奈。

この光景を見て諦めたらしい。




「今度来るときは昼休み入ったらすぐ来よう。そしたらパンの種類も豊富だと思うよ」

「そうする!今日はお弁当もあるし」

「じゃあ今度は計画的に行こうぜ!俺めっちゃ走って購買行って買いたいやつ取るから!」

「ありがとう」

「じゃあ俺は行ってくる」

「おー!」




手を振る虎太郎を背に戦場に入りこむ。

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