第10話
「律~、昼食おうぜ!」
昼休みになって学校全体が賑やかになる中、虎太郎は席を立って俺の前の席に座る。
基本的にいつも俺の前の席の奴は昼になると席にいなくなるから虎太郎が貸してもらってる。
「今日は購買行かなくていいのか?」
「あぁ、コンビニで買ってきた」
「そっか!じゃあ待ちに待ったお昼ご飯だ!」
椅子の向きを変えて俺の机に向かって自分の弁当を広げる虎太郎。
その視線は、急に弁当から仁科の方に向く。
仁科は1人でお弁当を広げようとしていた。
「仁科さん!よかったら一緒に食べようぜ!」
虎太郎が声をかけると仁科は驚いた顔をして、すぐに嬉しそうな顔で頷いた。
「私も一緒に食べていいの?」
「もちろんだよ!」
「ありがとう」
「席、こっち持って来れば」
仁科は自分の椅子とお弁当をもって来て俺の机にお弁当を広げる。
さすがに3人分の昼飯が並ぶとせまいな…。
クラスの女子はもうすでにグループができていて、誰も仁科を誘わなかったらしい。
クラスの女子は大半が派手な見た目をしてるし、声をかけるのは難しかったのかもしれない。
「私のことも彩奈でいいよ」
「マジ?じゃあ彩奈ちゃんで!」
「うん!律くんもね!」
「彩奈さん?」
「なんか他人行儀!」
「じゃあ彩奈ちゃん?」
「律がちゃんって似合わねぇ!」
「何だよ、じゃあ彩奈で。それでいい?」
「もちろん!」
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