第9話

授業が始まるチャイムが鳴ると、転校生の周りに集まっていた奴らは自分の席に戻っていった。




「なんか大変だな!いろんな奴らに囲まれて!」




その隙を逃すまいと後ろを振り返って話しかける虎太郎。




「やっぱり転校生って目立つよね」

「俺、桐島きりしま 虎太郎こたろう!そんでそっちのイケメンが椎名しいな りつ!よろしくな!」

「私は仁科にしな 彩奈あやな、よろしくね。桐島くんと椎名くん」




転校生は仁科というらしい。

確かに虎太郎の言う通り可愛い。


クリクリでぱっちりした大きな瞳に、白くてきれいな肌、栗色の綺麗な髪で、落ち着いてて可愛らしい印象を受ける。


ただでさえ転校生というだけで注目の的なのに、こんなに可愛かったら大注目になることは間違いないな。

その証拠に虎太郎も笑顔を向けられて顔を少し赤くしている。




「虎太郎でいいって!律も名前の方がいいよな!」

「どっちでも」

「じゃあ虎太郎くんと律くん」

「おう!」

「遅くなったなー、喋ってる奴は誰だー」




ちょうどそのタイミングで教室に入ってくる担任の渡辺わたなべ



虎太郎はすぐに前を向いて会話は終了した。

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