第8話

テンションが高いのは虎太郎だけではなく、クラスの奴らはみんなテンションが高い。



主に男でできた人だかりを避けて自分の席に着く。



「彼女いるの?」

「どこから転校してきたの?」

「なんでこんな時期?」

「好きなものは?」



隣から聞こえてくる会話が鬱陶しい。

そんなに質問攻めにしても答えられないだろ…。


実際に転校生は苦笑いして答えに困ってる。



誰もそれに気づかないくらいテンションが上がってるらしい。




「な?転校生可愛いだろ?」

「まぁね」

「…意外。律って女の子に求めるレベル高そうだったから認めるなんて思ってなかった」

「じゃあ聞くな」

「ごめんって!」




人だかりのせいで自分の席に座れない虎太郎は俺の机に座って顔の前に手を合わせている。




「この調子じゃ転校生と話すのは難しそうだなー」

「まだ話してないの?」

「そうだよ!律のことを待ってたんだからな!」

「…」




別に待たなくてもいいのに…。

あの電話の待ってるからなっていうのはそういう意味だったのか。

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