第19話:村人たちの挑戦

宿泊施設と温泉を満喫し、「飯ダンジョン」に再び訪れた村人たち。彼らはリクリエーションエリアの噂を耳にし、興味津々でその場所へと足を運んでいた。


「ゴーレムを自分で操作して戦えるんだってさ。そんなの村じゃ絶対に見られないだろう?」

「でも、私たちにできるのかな……機械とか、魔法とか、ちょっと難しそうだよね」


不安そうな声が上がる中、先導役の冒険者が笑いながら振り返った。

「大丈夫だって!あそこのカスタマイズコーナーでリリィが丁寧に教えてくれるから。簡単な操作だけで楽しめるぜ」


その言葉に安心した村人たちは、次第に期待を膨らませながらリクリエーションエリアの入口をくぐった。


広大な円形の闘技場が中央に据えられたリクリエーションエリア。周囲には観客席が取り囲み、闘技場を彩るライトと音楽が訪問者たちを興奮させる。


「うわぁ、これが新しいエリアか……!」

「見て、あのゴーレム!本当に動かせるのかな?」


カスタマイズコーナーには多くの人たちが集まり、それぞれが真剣な表情でゴーレムをカスタマイズしている。その隣では、ドワーフ整備士が忙しそうに工具を片手に動き回っていた。


「おいそこの若いの!そのナックル、ちゃんと取り付けないと威力が落ちるぞ!」

ガルドは、カスタマイズ中の冒険者に鋭い声を飛ばしながら、慣れた手つきでゴーレムの調整を進めていく。


村人たちはその姿を見て感嘆の声を漏らした。

「あの人、すごいな……ゴーレムのこと、何でも知ってるみたいだ」

「近くで見たらちょっと怖いけど、頼りになる感じがするよな」


そんな彼らの会話を聞きつけたガルドが振り向き、豪快に笑い声を上げた。

「ははっ、怖がることはねぇよ!困ったことがあったら何でも相談しな!」


村人たちもリリィに案内され、ゴーレムを選びながらカスタマイズを始めた。無料でできる基本的な調整から、有料の強化まで、選択肢は多岐にわたる。


「このパーツをつけると、攻撃力が上がるんですね。でも、これって結構なお金が必要なんですよね……」

「そうですね!ただ、無料でも十分戦えるように作られていますから、まずは試してみてください!」


リリィの説明に従い、村人たちは慎重にパーツを選びながらゴーレムを調整していった。一方、隣の冒険者たちは惜しげもなくお金を投入し、豪快に強化を進めている。


「俺のゴーレムは『エンチャントクリスタル』を三つ積んで魔法攻撃特化だ!」

「俺は『全方向シールド』だ。どんな攻撃も受け流してみせるぜ!」


その光景を見ていた村人たちは羨望の眼差しを向けた。

「すごいな……あんなふうに自分流のゴーレムを作れたら面白いだろうなぁ」


そんな様子を見守っていたガルドが、村人たちに声をかける。

「おい、若いの!最初は無料のパーツでも十分楽しめる。あとはお前の腕次第だ!」


その言葉に勇気をもらった村人たちは、さらに真剣にカスタマイズを進めていった。


カスタマイズを終えた村人の一人が、初めてのバトルに挑戦することになった。対戦相手は経験豊富な冒険者だ。観客席には多くの冒険者や村人たちが集まり、バトルの行方を見守っている。


「さぁ、次のバトルは新人村人の挑戦です!対戦相手は、強化型タンクゴーレムを操るベテラン冒険者!」

リリィの実況が闘技場に響き渡り、会場が歓声と拍手で包まれた。


村人が操るのはストライクゴーレム。初心者向けの近接攻撃型だが、基本性能が高く、どんな戦況にも対応できる万能型だった。


「よし……いくぞ!」

村人は端末を握りしめ、ゴーレムを操作して突進させた。ストライクゴーレムの鋭いパンチがタンクゴーレムに命中するたび、観客席から歓声が上がる。


「やった!当たったぞ!」

「だけど、相手の防御力が高い……次の手を考えないと!」


村人は必死に操作を続け、ストライクゴーレムの素早い動きでタンクゴーレムを翻弄する。しかし、相手の強化パーツによる堅牢な防御を崩すのは簡単ではなかった。


最終的にバトルは冒険者の勝利で終わったが、村人の健闘には観客全員が拍手を送った。

バトルを終えた後、村人たちは興奮冷めやらぬ様子で話していた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る