第11話:温泉エリア計画とギルドの動き

冒険者たちが撤退し、フルコースダイニングが大成功に終わった後も、光三郎は次のアイデアを練り続けていた。


「飯だけじゃなく、リラックスできる空間も必要だよな。満腹の後にさらに癒しを与えれば、冒険者たちは完全に俺のダンジョンに惹きつけられる……」


そうして思いついたのが「温泉エリア」だった。


【エリアコンセプト】


1. 癒しとリラックス

ダンジョン内に天然温泉を模したエリアを設置し、冒険者たちの疲労を癒す。

2. 非日常体験

温泉の湯は特別な効果を持ち、体力を完全回復。さらに、魔力も少量回復する。

3. 油断を誘う仕掛け

温泉の効果で冒険者たちが心身ともに油断した状態になった後、次の部屋で罠や強敵が待ち構える。


「癒しの後に恐怖……最高のコンボだな」


【温泉の仕掛け】


光三郎はショップで「温泉設備セット(1000DP)」を購入。これには以下の機能が含まれていた。

1. 湯船の自動生成

天然温泉を模した美しい湯船を自動配置。維持費が必要。

2. 温泉の効果

冒険者の体力と魔力を回復するが、湯上がり後に微妙な倦怠感を与える仕組み。



光三郎は早速設計を始めた。温泉エリアはフルコースダイニングの次に配置し、完全な癒し空間を演出する。

内装:滑らかな岩肌と竹の装飾を施し、日本の露天風呂をイメージ。

湯船:適温の湯が常に循環し、湯気が幻想的に立ち上る。

演出:木製の桶やタオルを設置し、「冒険者にとっての至福の時間」を提供。


「これで完全に油断させて、次のエリアで彼らの感情を揺さぶってやる!」


リリィも新エリアを見て驚きながら言った。

「すごい!私、ここにずっと住みたいくらいです!」

「ダメだ。お前は給仕が本業だろ。でも、手が空いたらゆっくり入っていいぞ」


一方、冒険者ギルドでは「飯ダンジョン」に関する情報が集まりつつあった。


「最近、挑戦者の全員が『飯がうまかった』『妖精に接客された』なんて話をしてるが……こんなダンジョン、聞いたことがない」

「しかも、挑戦者たちは全員ダンジョンの奥には進めていない。明らかに何かおかしいな」


ギルドの上層部は、飯ダンジョンの正体を突き止めるべく、特別調査班を派遣することを決定した。


数日後――噂を聞きつけた冒険者たちがダンジョンに挑戦した。今回は四人組の中堅パーティで、温泉エリアが初めて開放される。


炊飯部屋とフルコースダイニングを楽しんだ冒険者たちは、次のエリアに足を踏み入れた。そこに広がっていたのは、ダンジョンとは思えない美しい温泉だった。


「ここは……温泉?そんなバカな……こんなものがあるわけないだろ」

「いや、でも湯気が立ってる。本物みたいだぞ」


木製の桶やタオルが整然と並べられているのを見て、冒険者たちは警戒しつつも引き寄せられるように湯船に近づいた。


「試しに手を入れてみろ。本当に温かいのか?」

「……うわっ、ちょうどいい湯加減だ。まるで体を癒してくれるみたいだな」


一人が意を決して湯船に足を踏み入れると、次々と他のメンバーも湯に浸かった。


「これ……なんだ?こんな気持ちいい場所がダンジョンにあるなんて」

「疲れが全部吹き飛んでいく……夢を見ているようだ」


冒険者たちは湯に浸かりながら完全にリラックスした状態になっていった。


温泉の効果で心身ともに癒された冒険者たちが次の部屋へ進むと、そこには待ち構えていた強化された罠とモンスターが。


「くそっ、体がだるい……温泉のせいで動きが鈍い!」

「罠だったのか……でも、あの湯船は最高だった……」


湯上がりの倦怠感と罠の連続により、冒険者たちは撤退を余儀なくされた。



《侵入者が撤退しました。獲得DP:500》


光三郎はダンジョン核でステータスを確認し、満足げに笑った。


「癒しと恐怖のコンボ、大成功だな!リリィ、次はもっと豪華なサービスを考えるぞ」

「えっ?でも、これ以上って何をするんですか?」

「ふふふ……温泉の後はマッサージチェアとかどうだ?」

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