第3話:初陣と驚きの交換アイテム

《侵入者がダンジョンに到達しました》


神の声が響き、光三郎はダンジョンの奥、ダンジョン核のある部屋で目を閉じた。意識を集中すると、脳裏にダンジョンの全景が浮かび上がる。まるで監視カメラの映像を見るかのように、ダンジョン内の様子を俯瞰できるのだ。


「来たか……最初の挑戦者はどんなやつだ?」


画面に映し出されたのは三人組の冒険者。粗末な装備に簡素な剣を携えた若者たちだった。


ダンジョン内に足を踏み入れた三人組は、慎重に通路を進む。だが、最初の落とし穴トラップが発動。


「うわっ!」

先頭を歩いていた剣士らしき若者が、あっけなく落ちていく。


「おい、大丈夫か!?」


声をかける仲間たち。だが穴の中でうめく声を聞く限り、大怪我ではなさそうだ。


「……悪くないスタートだな。侵入者の恐怖、結構DPが稼げそうだ」


光三郎はステータス画面を確認する。

現在のDP:20(+10増加)

トラップでの恐怖心がポイントに変わったのだ。


冒険者たちは慎重さを増しつつも進み続け、次の部屋でスライムたちと遭遇。予想以上に手間取る若者たちの動きを見て、光三郎は思わず笑ってしまう。


「スライムに苦戦かよ……初期のやつらは大したことねぇな」


最終的にボス部屋まで到達するも、そこに待ち受けていたゴブリンに敗北。冒険者たちは引き返していった。


《侵入者が撤退しました。獲得したDP:50》


「よっしゃ、合計70か。意外と稼げるじゃねえか」


光三郎は満足げにうなずいた。だが、その瞬間、新たなウィンドウが目の前に浮かび上がる。


【ショップ】

• ダンジョン用アイテムやモンスターを購入可能。

• 一部の特殊カテゴリでは、異世界には存在しない「現代の物品」も購入可能。


「……現代の物品?」


興味を引かれた光三郎が画面を開くと、そこには驚くべきラインナップが表示されていた。


【現代の物品カテゴリ】


• カップラーメン(DP:10)

• コーラ(DP:5)

• チョコレート(DP:8)

• ポテトチップス(DP:8)

• 家庭用炊飯器(DP:500)

• 発電機(DP:1000)


光三郎は目を輝かせた。異世界で手に入ると思わなかった品々が並んでいる。


「カップラーメンとコーラがある……これ、最高じゃねえか!」


迷わずカップラーメン(10DP)とコーラ(5DP)を購入。ダンジョン核から光が放たれ、次の瞬間、手元に見覚えのあるカップラーメンとペットボトルが出現した。


「本当に来た……しかも、湯気立ってる!?」


光三郎は湯を注ぎ、3分後にカップラーメンをすすり、コーラを一口飲む。その瞬間、異世界で味わったことのない幸福感に包まれた。


「これだよ、これ!異世界でも俺の味覚は現代仕様なんだな……!」


腹ごしらえを終えた光三郎は、次に備えて新たな計画を立て始めた。


「DPで現代のアイテムも交換できるなら、これを活かさない手はない。もっとポイント稼いで、便利な道具もどんどん取り入れていこう」


次の冒険者たちがやってくる気配を感じながら、光三郎は不敵な笑みを浮かべた。


「ダンジョンも食生活も、最高のものを作ってやる……異世界ライフ、悪くないな!」

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