21話.全てが正反対

優等生と劣等生……?


『……何故そう思ったのですか?』


予想外だったのだろう、試験官がそう尋ねる。

それに対して真面目君が放ったのは……俺の神経を逆撫でするのには十分だった。


「いや余りにも……”バカ”だったので。」


その瞬間、今まで理性的に抑えていた感情の箍が外れる。


「っ!その言い方は無いだろ!」


俺は言葉を荒げる。


「え?事実を言って何か悪いんですか?」


「言わせておけばっ……!」


『まあまあ落ち着いて。』


ヒートアップした俺を止める為に試験官がそう言って制止させる。


『……答え合わせをしましょうか。』


試験官が話を本筋に戻す。


『私は、二人に足りてない物を互いに補って欲しいと言う意味でこの選出にしたんです。』


「それはどういう……」


『実を言うと合否は実技試験を突破した時点で既に決まっているのですよ。なので後はクラスを決めるだけ。この面接の出来次第でね。』


『そして君達二人の行動を見ていると…とても対照的に写ってね。冷静で常に表情を変えない冷酷だが目標達成の為に効率的動く君と、感情的だが情に厚く目の前の脅威に進んで立ち向かって行く君。私は思った、これは二人にとって良い教材になるとね。……そして、今の面接で確信した。』


「……まさか私にコイツと組めと言うんですか!?」


『…何か不満かな?』


「冗談じゃない、こんな能天気馬鹿とパーティー組むなんて嫌です!」


……コイツ殴っていいか?

発する言葉の節々に棘があって俺を常に小馬鹿にしている様で腹が立って仕方がない。


『嫌なら不合格にしても良いんですよ?』


「いやそれは……っ」


『……ではパーティーを組みますか?』


あー、真面目君は俺と組むのがそんなに嫌なのか。

よしよし、良い事を思いついたぞ。


「俺は別に構わんが、お前は?」


俺は真面目君に問う。

奴の計算違いと言うか想定外と言うか……そんな複雑な表情に向かって、俺は煽る様に余裕の笑みを見せつける。


「~っっ!!」


『小競り合いしない!これから二人で共に頑張っていくんだから。』


奴は少し悩んでから…「分かりました。」と渋々承諾した。


『決まりですね。私は君達を歓迎しましょう、ようこそ王立魔法大学校へ。今からあなた達は生徒です。』


俺はその言葉を聞き、もう少し煽っていたいと言う気持ちを抑えて真面目君への自己紹介に移る。


「改めてヨロシク。俺は鳴海圭、ケイって呼んで。」


「……アルギス・クロノ。」




俺は差し出された手に応じて握手をする。

順調か不順か分からない全く新しい学校生活が今、スタートしたのだった。

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