14話.試験開始の合図が鳴る
「危ねー何とか間に合ったか。」
「はぁ…はぁ……よ、よかったぁ…」
俺とルベラは大体3分くらい走って、息を切らしながらも試験会場に着く。
走って来た事もあって試験はまだ始まっておらず、試験会場には受験生であろう、30人弱が集まって皆真剣な表情をしてその時を待っている。
「……緊張するな。」
受験特有のそのピリピリとした雰囲気は俺の気を再度引き締める。
そして数分経った後、
『只今より、王立魔法大学校入学試験を始める!』
試験官が開始の合図をし、試験が始まった。
『今から試験内容の説明を行う。良く聞いて置くように。』
『試験はこれより受験者が転移させられる場所での魔獣討伐だ。討伐する魔獣には点数が割り振られており、それぞれ1,5,10,50,100の点数の魔獣が存在する。基本的に点数が高くなるほどその魔獣は強くなる。そして魔獣が持つポイントは体表に刻印されているので各自確認すること。合格は成績上位者十名とし、合格者はその後面接を行う。』
試験は魔獣討伐……
……悪くない。
『気絶した者、及び試験続行不可能と試験官が判断した場合、その者は失格となるので留意しておく事。』
『制限時間は三十分!』
もう間もなく転移され、試験が開始するのだろう。俺を含めた受験生全員の足元に魔法陣が現れる。
「……お互い頑張りましょうね。」
「ああ。」
ルベラにハイタッチを求められ、俺は少し強めにルベラの手を叩く。
「次は面接会場で会えると良いな。」
『では……始め!!』
その試験官の掛け声と同時に魔法陣が光り出し、その光は俺を包み込んだ。
・~・~・~・~・~・~
光が収まったので目を開け、周囲を見渡す。
そこは一面……森。森林地帯に転移した様だ。
「ブルォォ!!」
「何だ!?」
転移した瞬間いきなり獣声が聞こえ、俺は何が起こったのかと身構えて戦闘態勢に入る。
声がした方向に視線を向けると……頭に角を生やしたイノシシに似た生物が突進して来ていた。
「はっ!」
しかし俺はその突進に当たる事無く軽くいなし、イノシシの頭にカウンターの一撃を入れる。
「ゴォォォ!!」
頭が割れて暫くイノシシは痛みに踠いていたが、やがて力尽きたのか動かなくなる。
イノシシの体には、薄く”5”の文字が刻まれていた。
「これで倒した事になったのか…?」
何かイノシシ倒した証拠を取るもの無いかと鞄を漁っていると、いつの間にか手の甲に”5”の文字が刻まれているのに気付く。
ああ、ここで確認できるのね。説明の時教えてくれたら良かったのに。
少々驚きはしたが、なんにせよ良いスタートダッシュが切れてラッキーだ、この調子で次の魔獣も早いとこ見つけてポイントを稼いで行こう。
俺は態勢を整えてから、魔獣を探しに森林の中を移動し始めたのだった。
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