13話.そして試験は訪れる

あれから三週間後。




「えっとこれとそれと……よし!全部ある。」


俺は持っていく荷物の最終確認をして、忘れ物は無い事を確かめる。


「……では、行って来ます。」


「ふぉっふぉっ、吉報を待っておるぞ。」


「絶対合格してよねー!!」


一ヶ月間グラフィンやセリルと特訓した成果を今日この場で出す、緊張をほぐす様に俺は何度も深呼吸をし、覚悟を決めて魔法学校の門をくぐるのであった。








・~・~・~・~・~・~




「ケイ=ナルミ様ですね、少々お待ちください。」


受験受付の担当者に受験票を渡す。


「ケイ様は留学生入試を受験されるので、会場はこちらになります。」


俺が受ける留学生入試は、グラフィンが言うに筆記のテストは無く簡単な面接と実技試験だけの破格の条件の入学試験らしい。ちなみに俺は極東の小国から来た留学生と言う設定にしてもらっている。

……本当、何から何までしてくれたグラフィンには頭が上がらない。


「っと……試験会場は案外近いな。」


こっち方面…だな。貰った地図と試験会場を照らし合わせながら歩く。

開始時間も案外余裕は無いし早いとこ行ってウォーミングアップを済ませておこう。





「確かこの辺…っあだっ」


俺は試験会場と書かれている場所周辺に着いた…と同時に背後から何かがぶつかる様な衝撃を感じる。


「あっ、ごめんなさいっ!前見て無くてっ。」


俺が何事かと振り向くと……そこには綺麗な瑠璃色の瞳をした女の子が立っていた。


「俺は大丈夫だけど……君はケガとかして無い?」


「えと…はい!大丈夫です!」


「それは良かった。」


服装…結構独特だな。

幾何学模様が入ったその服は他の受験生と比べて強い存在感を放っている。きっと俺と同じで他国から来た人なのだろう。


「その見た目……あなたも留学生入試を受けに?」


彼女が俺に話しかけて来る。


「ああ、遠路遥々ここへ来たよ。」


遠いって言っても別世界だけどな。


「私も同じなんです。良かったぁ同じ人がいて…」


「同じ人?」


彼女が発した言葉が少し俺の中で引っかかる。同じ人ってどういう事だ?留学生入試は外国人が受ける試験だろ?


「知らないんですか?留学生入試を受ける人ってそこまで純外国人の人は多くないんですよ。」


「どういう事?」


「魔法学校にどうしても入学させたい親が子供を入学させる為に国籍を変えて無理やり子供に留学生と言う肩書きを作るんです。そしたら子供はより簡単に受験する事が出来るので。」


「……うわぁ。」


いつの時代もずる賢い奴はいるもんなんだな。

俺も厳密には留学生では無いので人の事は言えないけど。


「だけどあなたは特徴的だったのですぐ外国の人だなと気付けました。杖を五本も鞄に括り付けてるなんてどう見ても普通じゃ無いので。」


「ああ…これね……」


確かに傍から見たら異質だ。杖を五本備え付けてあるなんて相当特殊だなと俺も思う。

……とその時、



『試験開始五分前になりました。まだ試験会場に着いてない受験者は早急に集合して下さい。繰り返します……』



受験者に招集を掛けるアナウンスが鳴る。


「やばっ!もうそんな時間!?」


早く試験会場へ向かわなければ。


「俺達も早く行こう。えっと……」


「あっ、私ルベラって言います!」


俺も同じく簡単な自己紹介をして、ルベラと一緒に走って試験会場へと向かったのだった。

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