2話.まさか本当に異世界に転移出来るとは
「来た!成功した!」
「うっ……」
何処だここ?一体どうなったんだ?俺は困惑しながらも曇った視界で周りを見渡す。
そこには大きな杖……を持った、いかにも魔術師の様な人物が二人。一人は老人、そしてもう一人は女の子だ。女の子は………多分俺と同じ位の年じゃないか?
「あの…ここは?」
女の子に質問する。…女の子は少し慌てながらも答えてくれた。
「あっ、はい!ここはサンガルド王国王都……の外れにある研究所です。」
サンガルド王国?一応それなりの教養はあるつもりだが、サンガルドと言う国は聞いた事が無い。
「其方…今まで何しておった?」
女の子よりも一回り大きな杖を持った、いかにも物知りでありそうな老人が俺に話し掛ける。
「えっと…何か別世界に行く?機械に乗った後、光に包まれて気づいたらここに居ました。」
「ウム…やはり実験は成功と見て良いな。」
成功?一体どういうことだ?
……ああもうますます意味が分からなくなって来る。頭がパンクしそうだ。
「其方は
「え?いやいや……マジ?」
「マジじゃ。」
まさか本当に異世界に転移出来るとは。転移されると言っても、何かこう……もっとハイテクノロジー的な世界に飛ばされる物だと思っていた。
俺はずっとあっけに取られてだらしない状態で話を聞いて居たので、体制を立たせようと体を持ち上げる。
……あれ?体が持ち上がらない。
「っちょ..…大丈夫ですか!?」
「ありゃま。」
そのまま俺は頭から崩れ落ちる。
……そうだった、俺は心臓病を患っていたんだった。ここには生命維持装置も無い。そもそも、ここに来る前の時点で息絶えるのも時間の問題だったくらいには俺の状態は悪化していたのだ。
意識がみるみる遠ざかっていく。あーこれは死ぬ奴かも。もう呼吸もままならない。
【回復魔法......】
そう老人が言った瞬間、俺の体は浮き上がって、光の球に包まれた。
そして老人が唱えると同時に出現した光輝く植物が急速に成長して花を付け、その花から雫が滴り落ちる。
「おぉ……」
雫が俺の体に落ちた瞬間、体中の痛みが消え、今まで感じた事のない暖かい感触を感じる。
「ふぃー危なかったのヌシ。もう少し遅れとったら死んどったわい。……それにしても上位魔法は老体に堪える。」
俺は空中から地面に降り立つ。
……痛くない。今までは常時痛みを感じていたが、それが消えている。
あの老人がやってくれたのか?
「えっと、あの…ありがとうございます。」
「良い良い、死んでしまってはできるもんもできんからな。…改めて其方、名は何と言う?」
「…俺は鳴海圭と言います。」
俺はその老人に近寄り、握手を交わす。
「ケイか、良い名じゃな。儂は考古学の研究をしとるグラフィンと言う。んであの子は、」
「えっと、セリルと言います!」
「よし、自己紹介も済んだことだし、ちょっと休憩がてらティータイムとしようかの。それにケイにこの世界の事について色々と説明してやらないといかん。セリル、休憩室に案内してやりなさい。」
「はい!了解ですっ。」
そして俺は、セリルに休憩室へと案内された。
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