異世界召喚されたけど、魔王がいない!?~平和になった世界で魔法を極めて遊びます~
REN
1話. プロローグ
「今から貴方に実験的治療を施します。やめるなら今ですよ?」
「……はい。でも大丈夫です。もう決めた事なので。」
俺は鳴海圭。16歳の高校二年生だ。しかし、高校と言っても学校行って授業を受けるのでは無く、通信制高校で授業を受けている。
……何故なら俺は、生まれながらにして不治の病を抱えている。俺はそこにある生命維持装置に繋がれたままじゃないと生きていく事が出来ない。
「では、始めるよ。」
そんな俺にもう寿命と言う物が来たらしく、先月余命宣告された。……まあ、何と言うか、そうなんだって感じ。一生病院暮らしの俺にとってはあんまり実感がなかった。
……しかし、それと同時に俺にこの様な話が来たのだ、担当医から、「成功するかどうか分からないが、ある実験的治療をやってみないか?」と。
『エネルギー数値、正常。プログラムヲ、起動シマス。』
何やらこの世界よりも化学が発展した別世界……つまりパラレルワールドに俺自身を転移させて、そこで治療を受けるらしい。
……何故こんな馬鹿げた事を、と思っただろう。
20XX年、人類は増えすぎた、余りにも多く。そして致死性の高い未知の感染症が流行し、病床が枯渇。医療崩壊が起きて、世界で数千万人程が死んだ。
そこで世界、いや国が決断したのだ。今現在治療困難な患者を後回しにして、今治療可能な患者に病室を開けることを。
その為に実に多くの方法が開発された。
コールドスリープ、電脳化、人体の再構築など……
そしてその中で生まれたのがこの別世界転移だ。……もうぶっちゃけもうヤケクソになっている気がしてならないが、逆を返せば世界はそこまで追い詰められているらしい。
『転移、開始マデ、アト20秒……』
この実験は俺が被検体#1として抜擢された。
良く言えば俺は最初に最先端の治療を受けることが出来るかも知れない。
……悪く言えば捨て駒だ。
『10秒……』
俺は静かに目を閉じる。思えば特に何も無い人生だった。物心付いた時から、喉にはチューブが繋がれ、俺の隣には常に生命維持装置があった。
両親はもうとっくに愛想を尽かして、数年前から病室にも来なくなった。きっと両親がこの提案を吞んだのも俺が早く居なくなって欲しいと願ってのことなのだろう。
『5…4…3……』
来世はどうか健康に生きられますように。楽しく人生を全うできますように。
『2…1………』
その瞬間、目を閉じていても分かる程に周辺が光り、俺は全身が浮遊感に包まれ、意識が遠ざかって行った………
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