遭遇
律織と余技打バランサーが戦い始めた直後、雪灘が
そして。
俺たちは、リティエルリがこの街の人間の誰に成っているかということを、――突き止められなかった。
◇
「
南の大通りへ向けて、路地の脱出口へ歩を向けながら、リフと合流するため、あるいは
『――律織の元へ向かってほしい。雪灘、
「分かった、気をつけるよ」
ルート案内する。
そんな彼の声を聞いた、路地から出た、その瞬間だった。
直刃の刀を吊るす
「――――
シキには視認できない死角。壁に囲まれた通路を抜け、通りに出たすぐのところで。
まるで雨宿りでもするように。閉めきられた酒屋の屋根の下に、一人の女性が佇んでいた。
情緒さえ感じられる緩やかな歩調で、屋根の下から姿を現す。
無造作に腰に差していた剣は、いつの間にか抜かれていた。
【峰打ち】を抜き放ち、無駄な力が抜けていることを確認、認識しながら、構える。
そして、彼女は口を開いた。
「私が妖精だと思った? 残念、それは間違い」
違うのか?
てっきり、この人こそが、そうだと――。
「緊張してて大丈夫?」
ゆらりとした動きで剣が構えられた。
一瞬、瞳を交わし合う時間もなく。
そして、彼女は警告も無しに、冷徹で無機質な声で、何事かの言葉を紡いだ。
「
そして。
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