料理が語る、お金と心の本当の物語

第13話 お金の性質を知り、お金に人生を助けてもらう

　日差しがぽかぽかと降り注ぐ昼下がり、「心の食堂」に訪れたのは、若い女性の真理さんだった。真理さんは働き盛りの会社員で、忙しい毎日の中でお金のやりくりに悩んでいた。

　「最近、なんだかお金に追われている感じがして……。毎月のお給料は悪くないのに、いつも足りない気がするんです。」

　彼女はそう言って、テーブルに座り込んだ。

　「それなら、今日は『金のパンケーキ』を作りながら、お金の性質についてお話ししましょう。」

　テルは温かい笑顔で迎え入れると、材料をテーブルに並べ始めた。

　「お金が追いかけてくるときと、逃げていくときがあるのは、お金の性質を知らないからなんですよ。」

　「性質……ですか？」

　「そうです。お金は空気のような存在になるのが理想です。空気が足りないと感じたら苦しいし、気にしすぎるとそればかりに囚われてしまう。適度に流れていると気づかないくらいがちょうどいいんです。」

　テルはボウルに卵、牛乳、砂糖、サラダ油を入れてホイッパーで混ぜながら話を続けた。

　「パンケーキの生地のように、日常の中に必要なものをバランスよく混ぜ合わせると、ふんわりとした豊かさが生まれます。でも、材料が多すぎると重くなりすぎるし、少なすぎると味気なくなる。お金も同じです。」

　「なるほど……。じゃあ、私は必要以上にあれこれ考えすぎてたのかも。」

　「ええ。それと、お金は使い方次第で性質が変わるんですよ。良い使い方をすれば、自分の人生を助けてくれる頼もしい味方になります。」

　テルはフライパンに生地を流し込み、きれいな丸い形に広がる様子を見せた。表面に気泡が浮かび上がると、慎重にひっくり返して焼き色をつける。

　「この焼き上がったパンケーキに蜂蜜をかけると、さらに特別な一品になります。蜂蜜は疲労回復だけでなく、あなたの気分を柔らかくしてくれる効果もあるんですよ。」

　出来上がったパンケーキを皿に盛り付け、たっぷりの蜂蜜をかけたその様子は、まるで金色に輝いているようだった。

　「さあ、どうぞ召し上がれ。」

　真理さんは一口食べると、優しい甘さに目を細めた。

　「ふんわりしていて、甘くて……なんだかほっとします。」

　「パンケーキのように、お金もあなたを支える存在です。お金に助けてもらうためには、まずお金を信じて、大切に扱うことが大事です。」

　真理さんは深く頷いた。

　「お金に振り回されるんじゃなくて、上手に付き合うことが大切なんですね。」

　「そうです。お金は命懸けであなたを助けてくれる存在になれるんです。そのためには、お金を払うときにも感謝の気持ちを忘れずに。」

　食堂を後にする頃、真理さんの表情はどこか晴れやかになっていた。

　「お金のことで悩むより、もっと自分の力を信じてみます。今日のお話とパンケーキ、本当にありがとう。」

　テルは柔らかく微笑みながら見送った。その背中に向かって、そっと一言。

　「お金を通じて、きっと新しい豊かさがあなたを待っていますよ。」

　真理さんが笑顔で手を振る姿が、日差しに溶けていった。