第6話 壊滅都市 東京へ
明朝0500に作戦は開始された。
東京へ向かうGATEは停止されているため、東海地方から迂回し、神奈川を経由して東京へ入ることになる。
「せめて、近隣からでもGATEを使えるなら日帰りだってできそうなんですけどね〜」
【テツヤ】は銃の手入れをしながら口を尖らせていた
「ははっ、転送先の安全が確保されていない状況でそんなことしたら、転送した瞬間に帝国のやつらに取り囲まれて蜂の巣にされちまうぞ」
「まあ、帝国の美しいお姉様方なら、そのまま捕まるのはむしろご褒美かもしれないがな」
「それゃいいな!お姉様達の奴隷か!」と一同は笑い声をあげる
「おいおい、ウチにだって見目麗しいお姉様はいるじゃないか」と【テツヤ】が悪びれた顔をしながら言うと、一同は「ないない」と首に横にふって笑いだした
「お前…いい加減に…」
【明日香】が口を挟もうとしたところ
「【海斗】、お前だって隊長よりは帝国の美しいお姉様がいいよな?」
【テツヤ】がニヤニヤしながら、運転席にいる【海斗】に問いかける
「いや、隊長は普通に美人だろ。」
運転席からチラリと助手席に座る明日香をみながら
「訓練によって鍛えられ、引き締まったウエスト、引き上げられたヒップ、顔だって化粧っ化がないだけで整った顔をしてるだろ」
そう言った瞬間、海斗はみぞおちに鈍い痛みを感じ、後部座席の仲間達は呆れた顔をしていた。
「お前達!ふざけるのもいい加減にしろ!」
顔を赤くしながら明日香は隊員達を怒鳴りつける
「いつモンスターが出てもおかしくない状況だぞ!もう少し緊張感をもて!」
「はっ、失礼しました!」
一同は背筋を伸ばし、周囲への警戒を強める
「隊長、モンスターを討伐した際なんですが、回収は行っても?」
モンスターの素材というのは高額で取引されていたため、隊員達にとって良い収入源となっていたのだ。
モンスターの素材から作られる防具には、魔法に対する抵抗が確認されており、それから作成される防具は非常に高額な値段で取引されていた。
そのため、民間人の中にもハンターと呼ばれる者達はモンスターの討伐を生業としていた。
モンスターの中には豚のモンスターのオーク、怪鳥コカトリスの肉などは食用としても人気が高く、危険を犯してでも討伐しようとする者が後をただないのだ。
そのため、テツヤとしても討伐できる機会があれば、素材を回収したいと考えていたのだか
「ダメだ。今回の作戦は時間との勝負であり、抗戦は可能な限りさける。仮に討伐したとしても回収に時間を割く余裕はない。」
テツヤは肩を落とし、他の隊員もガッカリした様子だった。
「せめて帰還後の楽しみとして、お姉様のお店に行く予定だったのに…ウチにいる筋肉質のお姉様じゃなく、柔らかーい肌のお姉様との戯れが…」
ガチャンと拳銃の引き金が引かれる音が車内に響く
「どうやら、討伐対象として皮を剥がれたいやつがいるみたいだな…その皮で防具を作っても全く効果はなさそうだが、肉のほうは多少なりとも値がつきそうだな」
これはマズイ…本気で怒っていらっしゃる…テツヤは慌てて海斗のほうに視線を送り、目をパチクリしている
仕方ないなと…海斗は口を開いた
「筋肉質と言えば、聞こえは悪いかもしれませんが、スタイルはいいですし、そんなに気にしなくてもいいんじゃないですか?」
「んなっ!?」
海斗のみぞおちにまた痛みが走る
なぜ、この人は毎回同じところを殴ってくるのか
「海斗!お前までくだらない話に参加しなくていい!運転に集中しろ!」
そう言いながら窓のほうに顔をそむけたが、窓に映る明日香の頬は赤く染まっていた。
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