第7話 モンスターとの遭遇


一同を乗せた車は大都市名古屋を迂回し、静岡にさしかかろうとしていた


山道に入り、海斗は辺りの森の中に黒い影が映ることに気がつき


「隊長、おそらくモンスターに追われています」


車内に緊張感が走る。


「各員、警戒体制!テツヤ!後方を確認しろ!」


明日香の声が響きわたる


テツヤは素早く後方の窓から索敵を行う


「マズイですね…モンスターは狼型、数はざっとみて20はいます…」


「しかも、が2.3はいますね…」


テツヤの報告に明日香の表情が曇る


通常の個体ですら【20】という数を相手をするには厳しいのに、上位個体とされる赤色の個体までいる群に追われているのだ。


鍛えられた精鋭ならまだしも、13小隊で戦闘経験があるのはテツヤと私だけであり、まともに戦える相手とは思えなかった


「海斗!振り切ることは可能か!」


海斗はミラーに映る群をみながら


「正直、厳しいと思います。視界がよく、路面状態が保証されてるならっと言ったところで、無理に振り切ろうとしたら事故を起こしかねません。」


海斗はナビを起動させ、ある地点を指でさした


「振り切るよりも、この先にあるSA(サービスステーション)

で迎え撃つほうが生存率は高いと思います」


明日香は海斗からの助言を受けて考える、山道でコーナーも多く視界は悪い、その上、帝国との戦争の影響で、路面の状態は非常に悪く、どのようなドライバーであろうともこれではスピードを出して振り切るというのは不可能に近いだろう。

事故を起こしてしまうと、そこを強襲されてしまい、ほとんど抵抗できないまま死ぬことになるだろう。


明日香は海斗の提案を飲み、SAで戦うことを決断する。


「みんな!話は聞いてたな!敵モンスターは狼型、そして赤色の上位個体が2.3匹はいる群だ!」


一同は息をのみ、部隊の緊張感が増す


「作戦を伝える!【ウェッジ】、【ヒックス】の二人はSAの建物が無事であればそれを生かしてバリケードの構築!使用できない状況であれば、車を盾にバリケードを構築する!」


「イエス!マムッ!」


二人は敬礼を行い、命令に応える


「テツヤは私と狼型の撃退を行う!海斗は私達二人の援護を!ウェッジ、ヒックスはバリケード構築後は我々の援護だ!」


明日香は声を荒げ、一同はそれに応える


海斗は後方を警戒しながらSAへと車を走らせる。


狼達は一定の距離を保ちながら、狩をするための陣形を整えていった。


後方から索敵を続けていたテツヤが


「群はグレイウルフが17体、レッドウルフが2体。あくまでも確認できる限りになりますが…」


明日香へと群について報告をする


「初めての戦闘になる三人にはなかなか厳しい相手かもしれない。だが、安心してくれ!私とテツヤはこの程度の戦闘は経験済みだ!全員がすべきことをしっかりとやれば生還できる!だから、慌てずに、冷静に戦闘を行うように心がけてくれ!」


そういう明日香の手が震えているのを海斗は見逃さなかった。


「もう目の前では誰も死なせない。あの時と違い、俺には戦う力があるのだから」


ハンドルを握る手に力がこめられる。


そして長いコーナーを抜けるとSAが見えてきた


建物は…


無事だ!


海斗は叫ぶ


「隊長!建物!使えそうです!このまま突っ込みます!」


明日香は後部座席の方を向き


「聞いたな!建物は使用可能だそうだ!たかが狼20匹だ!難しくはない!」


車は猛スピードでSAに突入していく、そして強烈なブレーキ音を上げ、建物内へと突入していく


ウェッジとヒックスは建物内のテーブルなどを次々と窓の側にたてていき、テツヤと明日香は車を背に狼の群と対峙していた。


狼達はこちらを警戒しながらジリジリと距離をつめてくる。


ウェッジとヒックスもテーブルを全員の前に建て終わり、警戒体制をとる


「まだだ、まだ撃つな。確実に当てられる距離まで引きつける。私が合図するまで堪えろ。」


明日香の指示から全員に緊張感がほどばしり、息を飲んだ。


戦闘にいた2.3匹の狼が走りだす!


「今だ!打てぃ!」


あたりに激しい銃撃音が響き渡る。


戦闘が始まった。






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