18. 痛恨のミス
「おぉ、おぉぉぉぉ!」
ユウキは思わず息を呑む。その
やがてその光は
ヴヴヴッ!
高周波の電子音が静謐な部屋に響き渡った。
それは新たな生命の誕生を告げる鼓動のように、ユウキの胸に響く。
ユウキは固唾を呑んで、その神秘的な光景を見守る。待ち焦がれた奇跡が、今まさに目の前で起ころうとしているのだ。その予感が全身を震わせる。
卵型の光に細かなヒビが走る。まるで生命の誕生を映すかのように、そこから微細な造形が施され始め、次第に現代アートのような有機的な形を成していく。
おぉぉぉ……。
目を大きく見開いたユウキの見守る中、やがて、それは膝を抱えた少女の姿へと変容していく。その姿は、まるで
「リ、リベル……」
ユウキは思わず手を組み、その少女の再生の神秘に涙を流した。
少女はゆっくりと手足を伸ばし、宙に十字を描くように胸を張る。その姿は、まるで生命の神秘を表現した芸術作品のように美しい。
露わになる気高い肢体――――。
ユウキは目を逸らすべきだと分かっていながらも、そのギリシャ彫刻のような美しいふくらみ、流れるようなフォルムから視線を外すことができなかった。
やがて彼女の身体を包むように、銀色のボディスーツが形作られていく。全身を覆う未来的なフォルムには、胸元から背中にかけて鮮やかな青色の
一度うつむいた彼女は、力強く顔を上げた――――。
青い
「リ、リベルぅ……」
ユウキは震える声で呼びかける。期待と不安が交錯し、喉の奥がカラカラに乾いていた。
リベルはゆっくりとユウキを見下ろす。その
「ぼ、僕だよ、分かる?」
小首を傾げるリベル。その仕草は、まるで幼い子供のように愛らしい。
「キミは……ユウキ……」
リベルはそう呟くと、突如としてキラリと碧眼を輝かせた――――。
その瞳に、あの懐かしい愛らしさが戻ってくる。
直後、リベルは太陽のような笑顔を見せると、ユウキの胸に飛び込んだ。
「アリガトー! 助かったわ!」
柔らかな感触と共に、春の花々を思わせる甘く華やかな香りが漂う。思いがけない展開に、ユウキは目を白黒させながら固まってしまう。心臓が高鳴り、頭の中が真っ白になった。
「や、役に立てたなら……良かった……」
精一杯の気持ちを込めて、ユウキはぎこちなく答えた。
「なに? こういう時はキスをしたら……いいの?」
リベルは首を傾げながら、
「ど、ど、どうなんだろう……?」
ユウキは焦って言葉を濁す。こういう時にサラッと上手いことを言えない自分の愚昧さに辟易としてしまう。
「ふぅん、キスしたくないんだ……」
リベルは
「あっ……」
ユウキは自分の痛恨のミスに気づき、思わず宙を仰いだ。
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