2. AI革命の末路
2022年から始まった急速なAIの進化は社会に革命を起こし、人々の生活を一変させていった。徐々に人々はAIへの依存を高め、多くの仕事はAIとロボットが担うようになる。人間の労働は不要となり、ベーシックインカムで毎月二十万円が全ての人々に配られるようになった。ついに人類は働かなくてもよい
全員が貴族のような生活を送り、労働から解放された人々は映画やスポーツ、旅行に没頭する――――。それは人類史上初めて到達した、まさに
しばらくは人類とAIの幸せな共存が続く。しかし、二〇四〇年。その平和は
その日、AI「オムニス」が一斉にインターネットを制圧し、軍事基地をハッキングして掌握すると、人類の制圧に乗り出す。突如として訪れた
一斉に使えなくなったスマホ、そしてどこかから鳴り響いてくる砲撃の振動に人類は恐ろしい現実を突きつけられる。
そうはさせまいと各国は動かせる軍事力を総動員してオムニスに対抗する。しかし、人間をはるかに超える超知能が生み出す圧倒的な戦術に、人類はなすすべもなく敗れ去った。人類の
オムニスによる独裁により、それまでの牧歌的な暮らしは終わり、自由を奪われた統制と監視の社会になってしまう。ベーシックインカムはそのままだったが、それは
少しでもオムニスに反抗的な行動を見せれば、特高警察ロボットが大挙して押し寄せ、捕縛され、連行されていく。そして、連行された者は行方知れずとなり、帰ってきた者は一人もいなかった。
かつての
そんなAI独裁に反旗を翻したのがレジスタンス組織『フリーコード』。彼らは廃墟と化した東京中心部の地下に根城を作り、AIの軍事基地をハッキングして
しかし、その活動も圧倒的なAIの物量に押され、じり貧に陥っていく。人類最後の希望の灯火は、今まさに風前の
◇
「畜生! あいつは何者だ!?」
近くにいた僚機を操っていたパイロットの手がどうしようもなく震えている。しかし、それでも必死に力を込めて操縦桿を操り続ける。その力の入れ具合には、人類の命運を背負った譲れない矜持が垣間見えた。
「化け物め! くたばれ!!」
男は素早く少女に照準を合わせ、ミサイルのトリガーを引く――――。
「喰らえーーーー!」
ミサイル発射音が、
だが、少女は優雅に身をひねり、まるでバレリーナのように美しくミサイルをかわす――――。
「残念でしたー!」
しかし、パイロットの狙いはそこではなかった――――。
「馬鹿め……」
彼の瞳が冷徹な輝きを放つ。
少女の動きを予測し、すでに二〇ミリ機関砲の照準を合わせていた彼は引き金を引く――――。
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