第42話 エロゲかも
「え!?」
お、俺が甘えるまで、このまま俺のことを離さない!?
「ど、どうしてそんなことを!?」
白百合先輩は、力強く言った。
「
「っ……!」
言いながら、さらに白百合先輩は俺のことを抱きしめる力を強める。
それによって、俺の顔はさらに白百合先輩の胸元に埋められる形となった。
前白百合先輩にされた時は短い間だったが、今回はそうでは無いため。
白百合先輩の大きな胸に関する変な思考が過ぎりそうになるが、俺はそれを必死に抑える。
本当に、ここまで優しくしてもらっているのに、何もお願いしないというのは逆に申し訳ないから、何かお願いできることを考え────そうだ!
「白百合先輩。そういうことなら、甘えさせていただくのを先送りしても良いですか?」
「……先送り、ですか?」
俺の顔から胸元を離し、俺を抱きしめる力を緩めて聞き返してきた白百合先輩に対し。
俺は、頷いて言う。
「はい。もし俺が本当にしんどくなって、体調を崩してしまった時は白百合先輩の優しさに甘えさせていただきたいと思います」
「……それは、疲れて体調不良になってしまった律さんのことを、私の望む形で好きに介抱させていただいても良いということですか?」
「そうです」
俺が頷くと、白百合先輩は少し間を空けてから。
「そもそも、私がこうしてほとんど毎日律さんと屋上でお会いさせていただいている以上。律さんが体調不良となってしまうほどに疲れさせてしまうような事態は絶対に防ぎますが、もしそうなってしまった場合はそのようにさせていただきたく思います」
「ありがとうございます」
これで、そんなことが起きる可能性は低いと思うが。
一応、俺が体調不良になった時には白百合先輩に甘えさせていただくという形で話が落ち着いたため。
その後、俺と白百合先輩は普段通りに食事をして過ごした。
────放課後。
最近はまた毎日バイトをしていたが、今日はバイトが休みの日であると同時に。
いつかのように、
俺は今、柊と二人で柊の部屋に居た。
「────それで、俺でも柊に勝てそうなゲームが見つかったって話だったが。本当なのか?」
自分で、次に柊の家で遊ぶなら「俺が柊に勝てそうなやつがいい」なんて言ったが。
正直、俺がプロゲーマーである柊に勝てるゲームなんて全く思いつかないため。
俺が素直に疑問を呈すると。
いつも通り鮮やかな青髪をしていて、首にヘッドホンをかけている柊は、頷くと落ち着いた声色で言った。
「うん。でも、対戦要素があるFPSとか格闘ゲーム、あとレースとかでも私が
「シミュレーションゲーム……?戦略を考えたりするやつか?」
「それもシミュレーションゲームの一種だけど、今回私が買ったのはそういうのじゃなくて恋愛ゲームだよ」
「恋愛ゲーム……?それで、どうやって勝負するんだ?」
恋愛ゲームをやったことも無ければ、見たことも無いため。
対戦要素があるのかどうか不思議に思いながら聞くと、柊は口を開いて言った。
「恋愛ゲーム自体には対戦要素とか無いけど、どっちが早く攻略対象を落とせたかとか。どっちが好感度上がる選択肢選べたかとかで勝負すれば、ゲームの腕関係なく勝負できて面白いかなって思った────んだけど」
と、続けて。
「実は、空風に一個謝らないといけないことがあるんだよね」
「俺に……謝らないといけないこと?」
特に、柊に何か謝られるようなことをされた覚えもないため。
俺が困惑していると、柊は落ち着いた声色でとんでもない言葉を口にした。
「まだわかんないけど、もしかしたら────あれ、エロゲかも」
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