第13話 直近の予定
「……どんなことでも、か」
今の言葉を受けてそう呟くと、
「うんっ!どんなことでも、だよっ!」
「そうか」
軽く相槌を打った俺は席を立つと……
俺は、後ろに居る、いつの間にか目を明るくして明るい表情になっていた杏と向かい合って言う。
「それは、今すぐでも良いのか?」
「い、今すぐ……!?」
驚いた様子を見せながらも、杏は頬を赤く染めた。
そして、少し間を空けた後。
恥ずかしそうにしながらも、俺の目を見て言った。
「色々準備とか、したい気持ちはあるけど……お兄ちゃんが今すぐが良いって言うんだったら、私は……今すぐでも良いよ!」
「わかった……なら」
「っ……!お兄ちゃん……!」
俺が杏の両肩を掴むと、杏は嬉しそうに俺のことを呼んだ。
そんな杏との距離を少しだけ縮めると────俺は、杏のことを、俺に背を向ける形になるよう軽く回転させた。
「……えっ?」
そして、そのまま杏のことを押すと、元々杏の座っていた席に座らせ。
俺も元居た席に座ると、杏に向けて言った。
「杏のことを心配させてしまったのは悪かったが、これからはまた改めて体のことも気を付ける意識をしていこうと思う。だから、せっかくの食事の時にこんな話はやめて、いつも通り楽しくご飯を食べよう」
それが今、俺が杏にして欲しいことだ。
と付け加えて言うと────直後。
杏は、大きな声で叫んだ。
「もう〜!どんなことでもって言われたら、普通もっと他に色々とあるのに!!それもお兄ちゃんの優しさだけど、だけど……!!」
「杏……?どうし────」
「それは良いとして!お兄ちゃん!約束だからね!今後は、体のことを今まで以上に気を付けて!!」
「わ……わかった」
心配と、何かの怒りが混ざったことによって。
凄まじい気迫で放たれた杏の言葉に対して、頷く以外の選択肢は無く。
そうで無くとも、杏のことをこれ以上心配させたくは無いため、自らの心情としても頷いた。
それから、俺たちは、普段通り楽しくご飯を食べて過ごした。
その途中で、テストが終わったからと、近々久しぶりに二人でゆっくり過ごす時間を作ろうということになったため、その日も今から楽しみだ。
「……それにしても」
自室に戻った俺は、椅子に座りながらふと直近の予定を思い返す。
杏とは、まだ日程は決まっていないものの、近々二人で過ごす時間を作ろうということになっており。
「こう考えると、テストが終わった後もかなりタイトなスケジュールだな」
だが、テスト期間とは違い。
その埋まっているスケジュールを考えても、気分が沈むことはない。
むしろ────
「楽しみだな」
そう思いながら、俺はこの休日の土曜日は完全に休日としてゆっくりと過ごし。
日曜日は、少しだけバイトをすると────翌日。
週明けの月曜日となった今日は、柊と遊ぶ日でもあるが……
その前に、テスト結果が返ってくる日だ。
ということで、俺はいつもよりも気合いのようなものを込めて学校に登校して、自分の席に着いた。
すると────
「おはよ〜!
隣の席の陽瀬が、俺に挨拶をしてくる。
「おはよう。この後のホームルームで、テスト結果が返ってくるな」
「うん!前も言ったけど、私今回結構良い感じの手応えだったから、本当に負ける気しない!」
「悪いが、前も言った通り、俺もそうだ」
だが、そんな俺たち二人のどちらかが勝ち、どちらかが負けていることはもう決まっていて……
勝った方は負けた方に何でも一つお願いをすることができる。
そんなことを思いながらも、俺は陽瀬と二人で軽く雑談をしながら朝の時間を過ごしていると……いよいよ。
ホームルームの時間がやってきて……
俺たちは、それぞれ自らのテスト結果を確認した。
その結果は────
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