愛は、ぐるぐる姿を変えて。姫は、追放した王子様がお好き
冒険者たちのぽかぽか酒場
第1話 「この世界で、正解?」強すぎる姫、王子様を追放してしまいダジャレ反省。別異世界に召喚されて、わかったのは?
ファンタジーの姫は、強い。
いや…。
王子様が、弱い?
姫と、おつきあいをしていた王子様が大げんか。
「こら、姫!イスの上に、ブーブークッションなんか置かないでくれよ!子どもじゃ、ないんだから!」
彼に言われ、怒りの彼女。
「何だと、低レベル王子!」
「て…」
王子様を泣かせて、城から追放。
彼は、別世界にいってしまった。
「悪いことしたな。王子のいる世界にいって、謝ろう…」
くやむ、彼女。
同い年で、仲良く城で生活できていたのに。
「似た者王族カップルですね」
そう言われていたころが、なつかしい。
「私たち、良い感じだったのにな…」
互いに似ている思い出が、胸に刺さる。
「もう、いないんだよね…」
今はだれも座る者がいない王子様のイスを、ボーッと眺める。
「私、強すぎた。ごめん…」
追放してしまった彼の横に座っていたころを思うと、泣けてきてしまう。
「王族魔法学校に入学して、気分転換をしよう!」
数人のハイクラス魔術師に、きたえられ。
彼女は、世界を超える召喚術をマスターする。
どうしても別世界にいきたい、姫のほのかな気持ち。
「私、今すぐ覚えたこの術を使う!」
「姫?別世界に、いくのですか?」
「王子をふり向かせに…何でもない」
「姫!」
「何?」
「王子を追うのですか?」
「…うん」
「あの魔法でいく世界は、追放された者たちの…。いえ、何でもございません」
「追放の世界?望むところ!」
魔術師の制止を振り切り、召喚術を唱えた彼女。
「追放の世界よ、私を呼んで!」
身体が、緑色に輝く…!
「呪文は、成功?」
どこかの世界に立つ、彼女。
「この世界で、正解?」
ダジャレ気味に彼女が一本道を進むと、めそめそと泣く青年が座り込んでいた。
「あの…」
小さく、声がけ。
で、ええ~?
青年は、彼女が追放した王子様だった。
彼女には、気付いていない。
彼がつぶやく。
「悪いことしたな…。姫に謝ろう。この世界を、超えたい…」
たしかに、似た者カップル。
2人とも、同じようなことを考えている。
「…良いよ。 2人で超えよう。私が、連れ帰ってあげる。その魔法、私が先に覚えたから」
言うと、彼が彼女のほうをふり向いた。
「…あ、ふり向かせた。また、私の勝ち!」
この 2人、上手くいきそうだね。
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