イザーク、自爆する
「これ、どういう事……」
僕はサラに尋ねる。
「なんかあの人たちが急に入って来て、アティラを差し出せって言ってきて……訳分かんないよね」
うん、訳分からん。
しかし、魔王ってまだ生きてたのか。倒したけど、復活したのかな。
すると、イザークが僕に向かって煽るように話しかけてきた。
「おいアティラ!ここに魔王いるけど大丈夫かー?」
ナーラにあんだけやられてまだ懲りて無いのか。なんでか知らないけど、魔王がイザークの味方になってるっぽいから気が大きくなってるのかな。
もちろん僕たちがイザークらを追い返せる保証はないが、僕の夢のスローライフを邪魔されないように、なんとしてでも追い返す。
「おい!早く諦めて降伏しろよ!オレはとっとと帰りたいんだよっ!」
「降伏なんてしません!早く帰ってください!」
「あ?舐めんなよ、こちらには魔王様がいるんだぞ!魔王様、お願いします!アイツらをボコボコにしてください!」
魔王は冷めた目でイザークを見ていた。しかしイザークは構わずに熱弁を続ける。
「しかし……オレに比べたらアティラなんて虫ケラ以下なんですよ!魔王様はあんなアティラみたいなクズを連れ戻さないでも良くないですか?オレでも十分伴侶として……」
魔王はダニを見るような目でイザークを見ている。
「クズは黙ってくれないかなー?」
「そうですよね!アティラなんていうクズは一言も喋るな!分かっ……」
魔王はイザークの首にナイフを突きつけた。
「イザークには興味ないよ。勘違いしないでね?」
「ウガアアアアアアアアア!!!」
イザークは奇声をあげながら逃げていった。
あとは魔王だ。魔王さえ追い出せれば……
「アティラ様、ボクを仲間にしてくれないかな……」
魔王はモジモジとしながら顔を赤らめ、僕を上目遣いで見る。
……?
怪しい……
「ボクはアティラ様のお役に立ちたいんだ!頼むよぅ……」
目をウルウルさせながら見つめてくる。
怪しすぎるよ……
「そう言ってくれるのは嬉しいですよ。ですが、今日は帰ってくれないですかね」
「そう……やっぱりボクじゃアティラ様の仲間になるには力不足だよね……ごめんなさい」
そう言ってしょんぼりする。
うーん、困った。帰ってくれそうにない。
こうなったら無理やり帰らせるしか……
「これ預けるから、お願いだよぅアティラ様!ボク、仲間の悪魔たち全員から見放されてるんだよぅ……」
そう言って指にはめていた指輪を渡してきた。
それを鑑定すると……
【魔王の証のリング(本物)】
魔王となった悪魔に与えられる指輪。指輪には魔王の全魔力量が封じられていて、指輪をつけてない状態の悪魔は力が全て無くなる。
「これ……この指輪を他の人に渡すってことは、魔王様の力がなくなるって事ですよね?!」
「そうだよ。だって、ボクにはもう味方がいないし、アティラ様に身を委ねるつもりなんだもん!」
こんなもの預かってもなあ……
しかしこれを差し出すほど僕に従いたいなんて、よほど仲間に捨てられて寂しいのか……
怪しいけど少し様子を見てみることにするか。
僕はサラの方を振り返る。
サラは怪しむ表情をしていたが、ヘレンは朗らかな笑顔だ。
まあ……なんとかなる、うん。
「魔王様、分かりました。とりあえず、ここに住んでもいいですよ。でも絶対に悪い事しないって約束できるなら」
「やったー!!!あと、敬語は使わないで。ボクがアティラ様の子分なんだからねー」
魔王は無邪気に喜ぶ。
子分かー。つまり僕は魔王の親分ってことか。いやいや、魔王の親分なんて肩書きいらないよ、スローライフがしたい!
まあともかく、魔王をここに住まわしてもスローライフができる事を祈るばかりだ。
★
【アティラの鉱山】
階層:2
採掘ポイント:21(次の階層解禁まで19)
発見した魔石:聖魔石/光魔晶石/ダーククリスタル/火魔石/魔鋼/発光ガラス石
人口:6人(+コビー、ナーラ)
開発した機械:ストーブ、発光ガラス製ランプ
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