発光ガラス石

 2階層へと続く階段を降りる。


 すると、1階層と同様にひらけた空洞に出た……が、1階層よりも少し暗い。


「明かりが欲しいな……」


 とりあえずスマホの鑑定アプリを開き、周辺サーチモードを起動させる。


 すると、光っている場所が数箇所出てきた。


 そのうちの1つを早速、万能ピッケルで掘る。


 すると、透き通るように透明なのに、光を放っている大きな石が出てきた。


 この石が出てきたおかげで、辺り一面が明るくなった。


 鑑定してみる。



【発光ガラス石】


 発光するガラスだが、叩くことで簡単に加工できる。また、ここでしか採れない。



「ここでしか採れない……か」


 そんなものがあるとは……


 しかし鑑定アプリは便利だ。まさか、この鉱山でしか採れないものでさえ鑑定できるとは思ってなかった。


 簡単に加工できるらしいし、色付きの照明でも作ってみよう。


 しかし、色をつけるにはどうすればいいのかな……


「外出て何か材料がないか探してみよう」


 そうは言ったものの、1階層に戻ってみたらコビーが戻ってきていた。


 コビーはさまざまな色の花を咥えている。


 そして、その花を僕の前に差し出した。


「これ、全部くれるの?」


「キュ!」


 そう鳴いて、頷いてくれた。


「この花、染料として使える!」


 僕は花の束を手に取り、発光ガラス石も持ってきて工房部屋へと入った。


 まず染料をつくるために、各色の花を少量の水でしばらく煮込む。


 それと同時に、万能ピッケルを工具代わりにして発光ガラス石を叩き、ランプを作るのに丁度いい大きさにする。


 染料ができたら、その中からオレンジ色の染料を選ぶ。


 そして発光ガラス石に火魔石を当てて、溶けた部分に染料を流し込む。


 その後、ランプっぽい形にしたら完成!


 うん、いい感じだ。


 そうだ!これとおんなじ感じで、いろんな色のグラスを作れば、光るグラスができる。


 ということで、残りの発光ガラス石でグラスをつくる。


 そして30分後、ついに完成!結局赤や水色など、さまざまな色で数十個も光るグラスを作ってしまった。


 せっかくなので、模様などもいい感じにしてみた。


「よし、じゃあこれをサラたちに使ってもらおう……ん?」


 外が騒がしい。


 部屋の外へ出てみると、魔王とイザークがサラ、ヘレン、ミレーラ、ナーラと対峙していた。


 ナーラは「ガルル!」と言って今にも噛みつきそう。


 サラとヘレンは剣を持っていて、ミレーラはイザークを睨んでいる。


 ノアはひっそりと影に隠れて震えていた。


 うん……なんでこんな状況に?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る