再会、そして復活
この声は……ミレーラ?!
「サラ、僕ちょっと鉱山を出て良い?サラはここに居てね」
「良いけど、なんかあったの?」
サラには、この僕を呼ぶ声が聞こえていないのか。
「いや、なんか知り合いが来た気がして」
「そう。気をつけて」
そして鉱山を出ると、やはりそこにはミレーラがいた。
「何ですか?もしかしてミレーラさんも僕を……」
僕は疑いの目でミレーラを見る。
すると、ミレーラが突然地面に膝をつき、ボロボロと涙を流しはじめた。
「……私を……殺してください……」
「な、なんですか急に!」
「……わ、私はあの時、アティラ様を裏切ってしまった……私に、生きる資格はありません……」
あの時って、僕が追放された時かな。
しかし、困ったな。そんな事言われても……
まあ、ミレーラは僕を”黄金の虎”に呼び戻すためにここに来たわけではないっぽいし……とりあえず鉱山に入れるとしよう。
「ミレーラさん、この鉱山に入ってください。事情を聞きますので」
「あ、ありがとうございます!」
そして僕は、ミレーラを鉱山の中に案内した。
しかし僕は、鉱山に入った途端ものすごい異臭に気づく。
「ウップ……く、臭い!」
「そ、そうですね。臭い……」
「ねえ、サラ、この匂いの原因わかる?」
すると、サラは鼻と口を押さえながらノアの部屋を指差した。
「ノアがヘレンと共謀して何かよく分からんものをつくってるのが原因だと思うよ。私も止めようとしたんだけど……臭くて近づけない……」
「何つくってんだろう」
ノアの部屋に入ると、ノアとヘレンが嬉しそうに、鍋で料理?をしていた。
鍋の中身は禍々しすぎて見てられない……
それに部屋全体がいつの間にか汚れている。
僕が外に出ている10分とかの短時間でこれは……逆に才能なんだけど。
「あら、アティラ様!今、昼ごはんをつくっているところですわ!めちゃくちゃスペシャルな昼ごはんになりそうですわ!」
「そうじゃぞ!大量の薬草に加えて木片や虫の死骸など、栄養がありそうなものを大量に追加したのじゃ!妾は薬草しか入れるものを思いつかなかったが、このノアがそういう栄養のありそうなものを大量に持ってきてくれたのじゃ」
おぇ……
聞くだけで吐き気が……
「ああ、僕はその昼ごはん、要らないかな。つくってくれるのは嬉しいけど、なんか、お腹空いてないし」
そう言うと、ノアが目をウルウルとさせて僕を見上げてきた。
「お願いです。食べて欲しいですわ……」
こ、これは断りづらい……
♢
――――――アティラの居るところから遠く離れた、魔王城にて
「ようやく復活できたけど、ボクをボロボロにやってくれた奴ら、許さないんだからねー!」
そう、魔王は言う。
魔王は”黄金の虎”のせいで死にかけたものの、邪神の手によって復活を遂げた。
「特に、ボクを食い物にしたあのイザークとかいう威張り腐ったヤリチン、絶対に許さないんだもん!……でもー、まずはあの子供かな……アレはもう、間違いなくボクじゃ勝てないね!なら……。ま、まあとりあえず、あの子供の居場所を突き止めないとね」
そう魔王は決意した。
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