第2話 佐藤京の了承

時は遡ること昨日の夜。中学からの付き合いである中田颯真から一件の着信があったとこから始まる。


『突然だが明日飲みに行かね?』


颯真からの誘いに僕は『行く。店、僕が決めていい?』と返信した、というか即答した。

我ながら珍しいと思った。普段の僕なら「用事があるから」とか「忙しい」など適当なことを言うため、このような誘いに対してあまりいい返事を返すことはないのだが、どうやらこの時は久々に友人に会いたいと言う気持ちでもあったのだろう。

とりあえず店の予約を取ることにした。自分から店を決めると言った以上当然の義務である。


「……どこにしよ。僕も颯真もそんなに職場遠いわけじゃないし、でもかといって遠出は流石にな…………あ」


ぼーっと携帯のマップをなぞっていると、ふとある店の名前が目に留まる。その店は僕が大学に入ってからよく通っていた店で、最近ニュースに取り上げられてから人気が急激に上がって噂では予約が殺到しているとかいないとか。

少々悩みはしたがとりあえず電話をかけてみることにした。


『はいもしもし、はるよしです!』

「あ、すみません予約を取りたいんですけど……大丈夫ですか」

『はい!大丈夫ですよ!いつになさいますか?』

「えっと、明日の六時って空いてますか」

『はい……、はい!大丈夫です!では明日六時お待ちしております!』

「ありがとうございます失礼します」


店の予約は案外あっさり終わった、どうやらタイミングが良かったらしい。

その日はそのまま寝ることにした。






「お~い佐藤君、佐藤君?」

「え、あ、はい何すか」

「何すか、じゃないよ。どうしたのボーっとして?」

「あぁいや、別に。ちょっと今日楽しみなことがあるだけです」

「ふぅ〜ん?あ、そうそう佐藤君。君にいいお知らせがあるよ」


そう言って三枝さんはパン、と手を合わせた。

いいお知らせ?何だ?


「何ですかいいお知らせって」

「それはね………。なんと!うちの文房具が企業コラボすることになって、そのデザイナーが君に決まりました!」


…………この人今なんて言った?

え、コラボ……?こら、ぼ……?……ぇえ!?


「え……?!マジすか!?」

「マジ、大マジ」

「……で、その企業さんは…?」

「それはね――――――――――――」



そうして話と仕事が進んでいくうちに時は進み、予約時刻の一時間前まで時刻は迫ってきていた。


「お先失礼します」

「お疲れ様ー」



会社を出てすぐ携帯を見ると、颯真から『こっちは終わったよ』と書かれた文が送られてきた。


「……あ」


その後すぐ、僕は颯真に集合場所を伝えそびれていたことに気づきメールに集合場所のURLリンクを送る。

するとすぐに『了解!』と書かれたスタンプが送られてきた。


携帯をスリープモードにすると画面には少し口元がニヤけた自分の顔が映し出される。

どうやら僕が思っている以上に僕はこの時を楽しみにしていたらしい。


さて、待たせるのも悪いし僕もそろそろ行こう。







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