乾杯
椿カルア
第1話 中田颯真の提案
十二月初頭、先月の気温乱高下からうって変わり街は冷え込み人々は皆それぞれの温かい格好をする季節となった。
そんな中俺、
事の発端は昨日の夜。メールで俺が『突然だが明日飲みに行かね?』と誘ってみることにした。京は性格上、あんまりこういうのに来るようなタイプじゃなかったかも、とその後すぐ思ったのだが、京から『行く。店、僕が決めていい?』と思いのほか良い返事が返ってきた。
………そういや京ってどんな店行くんだろ、前に何回か聞いたことあったけど「……教えない」って毎回言われちゃうんだよな。なんかサークルの飲み断って超オシャレなバーとか行ってる気がする、いや流石に……でもありそうだな。
しばらくの間そんな事を考えつつ仕事をして、一段落ついたあたりで時計を見ると時計は十一時ちょうどを指していた。
「ちょっと休憩するか」
とりあえず休憩を取ろうと思い、会社の休憩スペースの自販機で何か買うことにした。
廊下を歩いていると休憩スペースの方から何やら同僚たちの会話が聞こえてきた。
「おつかれー」
「お、中田!おつかれーお前も休憩?」
「そ」
同僚と会話しながらとりあえず缶コーヒー(カフェオレ)を買う。
自販機から取り出した缶コーヒー(カフェオレ)を早速開け、内容量の三分の一程度までを流し込む。優しめの砂糖の甘味が、プレゼン資料の作成で疲弊した脳を癒すような感覚がした。
「そんで〜?プレゼン資料は順調かい中田くんよぉ〜?」
ちょっぴりねちっこいような面倒くさいようなしゃべり方をする村上がクネクネと妙な動きをしながら俺の方に寄ってくる。
「まあぼちぼち。てか村上、何だよその一昔前の上司みたいなしゃべり方は」
「本日のオレ、ちょいうざ絡みデーなう」
「ちょいうざ絡みデーて」
「あ、そういやさ中田。今日オレ等で飲みに行かね?」
「あー…、悪い俺パスで」
「あーマジ?なんか予定アリよりのアリ?」
「悪いな、今日は俺先約がいるので」
「何だと……!あれかお前ついに彼女が―――」
「いねぇよ」
その後、昼食をとったり仕事に集中しているうちに時間は五時を回っていた。
「じゃあ、お先失礼しまーす」
一旦京に『こっちは終わったよ』とメールを送る。
会社を出て少し歩いたあたりで携帯から着信音が鳴る。携帯を取り出してみてると、着信履歴には『京 より二件の着信』と書かれていた。
『【集合場所の名前】』
『ここ集合』
(了解しましたーっと)
了解と書かれたスタンプを送り、携帯をしまう。
こうやって会うの割と久々だよな……。
そんなことを思いながら、集合場所へと足を進めた。
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