第33話 案ずるより計画するが易し〜だがバトルは断る〜
異世界転生してから15年が経った――俺の名前はアダム・クローナル。王族生まれの第10王子だ。
前世で研究者として
(なんてクソ制度だ――やってられっか!)
でも、俺には1桁になれる方法がある。それは最難関校であるザダ校に入学し、
まず俺は、最年少で
さて、俺自身についてもうちょっと話をしよう。
突然の告白で申し訳ないが、俺は前世からあまり友達がいなかった。今日の入学式も前世の俺だったら、ぼっちで参加していたはずだが、今の俺は驚いたことに入学式初日から――
まず、
次に、
俺がずっと考え事をしている様子を
「ねぇ。アダムさっきから考え事してるねー? そう思うよね、サラ」
「うん。アンズちゃん、ぼくも同じこと思ってた。アダムさん、さっきからずっと自分の世界に入ってる……」
二人は合格発表の時に仲良くなったようだ。楽しそうに会話をしている。ちなみに、アンズはサラが女性だということを知らない。サラが女性だと、この学校で知っているのは俺と――今日から学校医になるオウレン先生だけだ。
オウレン先生がどこにいるのかキョロキョロ探したところ、これから新任教師の紹介が始まるようで、
オウレン先生は女医さんだ。ニボルさんの妹で――サラのことを娘のように
(本当にサラのこと、好きなんだなぁ……)
そんな感じで考察していたら、校長の挨拶が始まった。
「えぇ〜、
(おっと、いきなり
「
今すぐにでも開催して欲しかったが、半年後らしい。その間、俺は校内の研究施設に
「そうだ、大切なことを忘れていた」
『えっ。なんだろう?』と思っていたら、校長から衝撃的過ぎる発言が。
「
(戦うって
声には出さなかったが……舌打ちしてしまった。
俺は身長172cm、体重65kgと人間の平均身長・体重だし、それに俺のスペックとして、戦闘能力は備えていない。異世界転生した時に、女神様から授かった能力は、転生前の知識を身につけることができる能力と……あとは「女神様!」ってお願い事をすると、自分の欲しい実験器具とか装備が出せるぐらいだ。これらの能力は、研究者としては高スペックだが、戦闘には圧倒的不利――こんなところでつまずくとは……俺は研究所設立の夢が叶えられないかもとショックで、幽体離脱したかのように頭が真っ白になっていた。
それに、王位戦の話が終わったから、校長の言ってることが全然頭に入ってこない。最後に、校長はお茶目な挨拶をして締めくくっていた。
「詳細は担任の先生から話があると思うから、みんな学校生活を楽しんで。アディオス!」
入学式を終えた俺たちは、クラス発表の名簿を見る。驚いたことに、俺たち3人はみんな同じクラスだった。
「えっと、1-A組らしい」
アンズは「同じクラスになれるなんて、私幸せ〜」とほっぺたに手を当てて、喜んでいた。サラもニコニコしながら、会話に入る。
「やったー! アダムさん、アンズちゃんと同じクラスだ〜。嬉しいなぁ。席はどこだろう?」
俺は教室の入り口付近に貼ってある座席表を見て、俺も含め3人分の座席を確認する。
「サラは一番後ろで窓側だ。端っこの席か……大当たりだな。俺はサラの隣、アンズは俺の前。みんな後ろの席だ……」
「アダムすご! 状況判断能力、高いね?」
「ね! アダムさんのおかげで助かるよ〜!」
二人がすぐ褒めてくれた――前世で大学の先生をやっていて、受験シーズンの時によく試験監督をしていたから、こういう座席表の解読は得意なのだ。
俺たちは3人で仲良く教室へ入り、該当する席に座ろうと思っていたのだが、俺の席に女子生徒が座っていた。彼女は金髪のツインテールに、ピンク色の
「そこ、俺の席だけど……」
「あ、ごめん〜。全然考えずに座っちゃったわ! ここ景色がよかったから〜」
(は? 座席表を見てなかったのか? まるで電車のように、好きな席に座りましたみたいなノリで言われても……それにここ、教室だし)
思わず、その彼女と二人してシーンと静かになってしまった。すると、後ろから二人がサポートしてくれた。
「初めまして、ぼくはサラ。よろしくね」
「初めまして、アンズだよ! 女子同士仲良くしようね」
アンズとサラは初対面の人に対しても感じが良いし、俺が困っているとわかってくれたようで間に入ってくれた。例の図々しい彼女は突然俺たちに妙なことを聞いてきた。
「あなたたち……王族?」
(この女子、もしかしてどこの出身かでマウントを取ろうとしてるのか?)
俺は自分のことだけを回答することにした。
「俺は王族だが、二人は俺の大切な友人だ」
実際、サラは貴族だけど「アダムさん、内緒だよ!」と約束をしたため、言わないことにした。俺の
「ふぅ〜ん。面白いじゃない、気に入ったー! 3人とも卒業したら、アタシの領土で働かない?」
驚いたことに、なんと就職の案内をし始めた――彼女は思いつきでお喋りするタイプだ。それに言い方が「お前のものは俺のものだ!」と言わんばかりだ。俺ら3人はこれからの学校生活を楽しみたいし、就職とかは全く考えていないため、キョトンとした表情でスルーすることにした。
(それより、俺の席だから早く退散してほしい……)
彼女は空気が読めなくても気まずいとは思っていなさそうだ……。俺の席に座ったまま、いきなり
「そうだ、言ってなかったわ。アタシは第4王女のケイ・クマリー! 我がクマリー家は、父が土地の再開発に成功した市長で、庶民から大出世した王族よ! よろしくね、
そう漫画のようなセリフを言った後、『
俺は驚いた。彼女の言っていることが正しいのなら、ずっと先祖から
彼女はまるで――
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