第22話 同心協力〜試験当日〜
とうとうこの日が来た――今日は
試験とは言ってもペーパー試験ではない。この試験では、提出した論文の内容について発表する。俺は論文を書き終えたあと、スライドを作成し、発表内容について常に確認していたため、受かる気満々でいた。
さて、あまり堅苦しい服装が好きではないが、スーツに着替えた。一応、白衣も持っていく。
試験会場は
ピンポーンとチャイムの音が鳴る。出発する準備もできたため、玄関に向かってドアを開ける。するとサラが「おはよ! アダムさん。今日は一緒に頑張ろうねー」と明るく挨拶をしてくれた。よく見ると、サラやニボルさんだけでなく……オウレン先生の姿も。オウレン先生も剣術検定を見に行くのだろうか? でもそれにしては、ジャケットを着ていてキッチリしていたため、挨拶がてら聞いてみることにした。
「おはようございます。オウレン先生、どうしたんですか? ジャケット着てるの
「おはよう。私はあなたと一緒に試験会場へ向かうわ。子供一人で行かせるわけにはいかないでしょう」
「えっ……だい」
大丈夫と言いたかったところだが、ニボルさんが
「大丈夫! 君がここまで頑張ってきた大切な試験なんだから、何かイレギュラーなことが起きても対応できるようオウレンに案内してもらうことにしたよ。彼女は
(おいおい……どこまでお
そう思いながらも場所を知っている人物がいるのはありがたいと思い、俺たちはまず4人でザダ
「アダムさん、ぼくのこと見てた? 恥ずかしいところ見られちゃった……。ごめん、ちょっと緊張してる。だから
俺はサラのことをあまり緊張しなさそうなタイプだと思ってたから、そう言われて少し驚く。そして好奇心を
「……そうなんだ。それを
「うん、すごく落ち着くんだよ。ふわふわで
(……あ、手が触れた……)
俺はふわりと彼女の指が自分の指先に触れたことで、少し動揺する。彼女は男として生きてきて、剣術を極めてきたのだろうけど、手はアンズと同じように女の子の手をしていた。ふと彼女の手の平に視界が入りじっと
「えへへ。珍しくマメができちゃったんだ。緊張はしてるけど、絶対受かりたくて今日まで頑張ったんだ! 一緒に頑張ろうね」
俺と同様に彼女も今回の試験で受かりたいんだ。そう思った俺は、彼女が安心感を求めたくなる気持ちを少しだけ理解できたような気がする。
やはり試験や検定のことを意識しているのもあって、お互いそわそわして落ち着かないながらも無事、ザダ
俺とオウレン先生は車から降りる。すると、ニボルさんが車の窓を開けて、大声で応援してくれた。サラも大きく手を振っている。
「僕たちは行けないけど、ここから応援してるからねー!」
ニボルさんとサラの温かさに
「アダムくんはこの汽車に乗ったことあるんだっけ? 終点は
(
そう思った俺はオウレン先生に聞いてみる。
「えっ、バスってあるんですか?」
「そっか。アダムくんって王宮あたり行くの初めてよね! 王宮周辺は交通が発達してるわよ。汽車・電車・バス・自動車となんでもあるの。近くに
「へぇ。都会と田舎でそんなに差があるんですね……」
「そう思うでしょ? でも格差が離れすぎるのも良くないってことで、あなたが住む前にいた前の
なるほど、それは初耳だった。この感じだと俺が16歳ぐらいになる頃にはバイクや車が普通に
その後、汽車で自分の書いた論文を確認しつつ、汽車を降りてバスに移動してからはオウレン先生と話しながら無事――
先生は近くのカフェで待ってくれるらしい。発表時間が30分で、発表を終えて30分後には合格か不合格が判明するらしい。そのため、オウレン先生と「午前11時ぐらいに入り口で再度集合しましょう」と約束をした。わかれる前にオウレン先生は
「アダムくん、あなたなら大丈夫。行ってらっしゃい」
こうして俺はオウレン先生から
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます