第3話 そんなバカな、な真実をいまさら語る
「んふぅぅぅ♡♡ す、すみません! 私が、私が間違っていました♡ だからお願いです! こ、これを解除してくださいぃぃぃ♡♡」
ところは変わって女子トイレ。
俺は、ドヤ顔で敗北宣言を要求してきた早乙女妹の取り巻きの女子生徒————ではなく早乙女美鏡を蹲踞させつつ、軽くお話をしていた。
ちな、取り巻き女子生徒は手を頭の後ろに組んで蹲踞させている。害意ある超能力行使が行われたんだ、ちゃんと反省してもらわなくては。
「ハァァァァ……」
阿呆過ぎて思わず溜め息をついてしまう。
ちょこっと感度を上げて強制的に自分のイイトコロで自分を慰めさせつつ、達するのを禁止したくらいですぐに根を上げてしまう。そんな程度の覚悟で俺に巻き込んできたのか。というか、俺の超能力がヤバい代物だって身を持って体験した知ってただろうに……これもう分かんねぇな。
(こ、これが落ちこぼれの超能力だと!? 心身の支配……しかもまるで抗えないばかりか複数人を対象にしても疲れた様子すらない……! それになんて破廉恥なッ! あの時美夢様を諌めたのはマズかったか。そうすれば今頃こんな辱めを受けてなど……!)
俺(とついでに早乙女も)への抵抗と危害を禁止された、早乙女妹の取り巻き女子生徒もここにはいた。そしてこいつ、さりげなく俺を殺した方がよかったとか考えてやがる。そして今も殺そうと考えているのだろう。
人の命を踏み躙ろうとするってことは、逆に感度アップからの達するの禁止されつつ強制セルフ慰めされるという危険を常に覚悟して来てる人ってことだよな?
「————でないと、諌めなきゃよかったとか言ったりしないもんな?」
「……!? 心が読めるだと!? って、え? なぜだ! か、体が勝手に!?」
仕方ないので取り巻き女子生徒も、感度を上げつつ強制的に自分で自分を慰めさせつつ、達するのを禁止。
ちな意味はないがI字バランスだ。リアルでできる人初めて見た。
「そ、そ————んっ♡ そ、そんな理論めちゃくちゃだッ!」
「はいはい。そんで? 早乙女はどうなんだ?」
「セイハぁ、もう許してぇ♡ んくぅぅ♡♡ 分かった、白状する♡ 本当は私、セイハが好きなんです! 素直になれないからずっと酷いことしてきました♡ 本当は会った時からずっと好きなのっ! お゛っ♡」
「そうか反省する気はないと————え?」
……なにか予想だにしない言葉が聞こえたんだが?
「今、なんて?」
詳しく話を聞くために、とりあえず感度アップと強制慰めを————いや面倒だから全部解除するか。
「んおおぉぉぉ♡♡♡」
「あっ、やっべ」
なにがとは言わないが限界を迎えた早乙女はその場にへたり込んで女の子座りに。
解除したからといって、散々焦らされたせいで発情しきっているのは変わりはない。つまり途中からは自分の意思で慰めているのだ。そんな中、支配を解除されたからって慰める手を止めたりはできない。
まあ、目の前の光景が全てだな。俺は悪くない。そして、そんな早乙女の達した姿を見て、取り巻き女子生徒は生唾をごくりと飲み込んだ。I字バランスすげー。
「おーい、早乙女。しっかりしろ。傷は深いぞー」
「————はっ!? ……い、今の、見ましたか?」
「うん見た」
その言葉にリンゴのように顔を赤くしつつ、羞恥に染まった顔で俺を睨む早乙女。
……これアレじゃん。見られてはいけない学校での1人慰めをムサい竿役に目撃された結果、それをネタに脅迫されてるシーンの表情では?
……つまりそれ、俺が竿役じゃん。
「————ッ!! くぬぅ……恥をかいたついでにもうこの際だから全部言います! 私はセイハに一目惚れしてて! でも全然素直になれなくてずっと酷いことをしてたんです! さっき自分から巻き込んだとはいえ、私の力になってくれるって言われてすごく嬉しかった! でも私は本当の気持ちを伝えるのが怖かったから、フラれた時のことが怖かったから今までなにも言えなかったの!」
「マジか……」
うーん、確かにここ最近妙な反応してたから気になってはいたが、まさかそんな事実が隠されていたとは。この世の誰もがまるで想像だにしなかったであろう事実が明かされたな。
そして哀理と接していて分かったことがある。性格終わってても容姿がよくて自分に好意を持つ人を無碍にするのは難しい。
それが男というものDA!
「んぅ♡ ……なっ!? こんな場所で♡ 告白だと!? 破廉恥だぞ!♡ それに————」
「うーい、感動3倍入りまーす」
「はーい、感度3倍入りまーす」
「ま、待ってくれ! こ、これ以上はぁぁぁぁ♡♡ もう許してぇぇぇ♡♡ 死ぬ♡ 死んじゃうから♡ 苦しくて苦しくて仕方ないん————ぁぁぁぁぁ♡♡」
あと偶然先にトイレにいた女子生徒も口封じのために支配している。しかしこれといって特にさせることもないので、取り巻きの女子生徒に新しい支配を加える時は内容を復唱させることにした。これがなかなか臨場感が出ると俺の中では評判。
うん、コール&レスポンスは大事。
「このクソ野郎! んくっ♡♡ ふざげるなぁ♡♡ この私をお゛っ♡♡ 誰だとっ♡♡ 思っている! 私は星座級の————」
「さて、帰るか。行くぞー、早乙女」
「は、はひっ!」
取り巻きのI字バランスがなにか言ってるが無視だ無視。こいつが本当に星座級でヤバい立ち位置にいるんなら、取り巻きAみたいな場所に落ち着いてはいない。
そもそもあの程度の取り巻きーズとか、精神支配の前には肉壁にすらならんぞ。ザコが集まったところで無駄なのだ!
俺の帰るという言葉に、早乙女は生まれたての小鹿がごとく足をカクカクさせながらトイレの床から立ち上がるが、力が入らないのかバランスを崩して倒れる。
だがそれをすんでのところで受け止め、彼女を支えてトイレを出ることに。
「えっ? ちょ、ちょっと待ってくれ♡♡ こ、このままなのか♡♡ せ、せめて体の自由をっ♡♡」
「ん? それだけでいいのか? 謙虚だなぁ。さすがっすわ。尊敬するっすわ エリート見事っすわ」
「そ、そそそそれだけじゃなくてぇ♡♡ 禁止も解除してくださ————」
「うーい4倍入りまーす」
「はーい4倍入りまーす」
「なんでぇぇぇぇぇ♡♡♡」
口封じのために支配していた通りすがりの女子生徒は記憶を誤魔化して解放。そして俺たちは何事もなかったように廊下を歩き出————そうかと思ったが、早乙女はまだ足下が覚束ない様子。なので落ち着くまで俺が支えつつしばらく立ち止まることに。
「……あの、生徒会のことを助けてくれるって本当ですか?」
どこか不安そうな表情で、そしてやけにしおらしい彼女は問うた。まあ、当たり前だよな。これまでの俺への対応を考えれば、普通に見捨てられても別におかしな話でもない。
「そうだな。俺に二言はほとんどない」
「むふへへ……」
そのたった一言で、早乙女の表情筋がとんでもなくゆるゆるに。しかも密着してるからか、彼女の鼓動を直に感じる。……いや、感じるほどに高鳴っているのだろう。まあ、胸部平たい族だからな。熱はダイレクトに伝わってくる。
今までだったら「どういう心境の表情なの?」と内心でツッコんでいたが、打ち明けられた今はその行動の端々にあった違和感に納得しかない。
「あっ、忘れてた」
「? なにをですか?」
「“解除”っと」
「んぐぅお゛お゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉお゛お゛お゛————♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
「ん? 今変な声が……?」
「気のせいだろ」
もちろん、あの取り巻きI字バランスの記憶は誤魔化してある。あとちょうどいいから無自覚スパイになってもらった。
===あとがき===
3000倍とか想像もつかない
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